24 December 2008

誕生日とスクリーニング - BMJから

 今週号のBMJが届いてびっくり。
 いつものBMJの表紙は、その号の特集をイメージした現代的なデザインが多いのですが、今週号はナイチンゲールが表紙を飾り、まるでニュース関係の週刊誌の様です。
 しかも「BMJ!」 びっくりマークつきです。
 http://www.bmj.com/content/vol337/issue7684/cover.gif


 ちょうど、今働いているクリニックにおいて、子供たちの予防接種率をどうにか上げられないかなぁと考え、ダイレクトメールや携帯のText messageでのリマインダーなんてどうかなぁなんて思っていたところ、スクリーニングを促す事に関してのRCTが出ていました。

 G. Hoff and M. Bretthauer. (2008). Appointments timed in proximity to annual milestones and compliance with screening: randomised controlled trial.BMJ.337(7684). P1444-1446.
 Available at: www.bmj.com/cgi/content/full/337/dec17_2/a2794

目的:
 大腸がん検診のための受診率は、年間のマイルストーン・節目(誕生日、クリスマス、正月)を使うことで向上するか。
デザイン:
 Randomised control trial
セッティング:
 ノルウェーのOslo(urban)とTelemark county(urban & rural)
対象:
 成人12960人 (64.7%)
メインアウトカム測定:
 各週の受診率と予約を入れた月での受診率
結果:
 12月の受診が最も多かった(72.3% v 64.6%, p<0.001)。
 誕生日の週に案内を受け取った人、あるいは、誕生日の翌週・翌々週に予約を入れた人の受診率が高かった(67.9% v 64.5%, P=0.007)。この傾向は、特にOsloの都市部に住んでいる人に強かった。Multivariable logistic regression modelで解析すると、受診率が向上するのは、誕生日の週に案内を受け取るか、誕生日の翌週・翌々週に予約を入れること(odds ratio 1.15, 95% CI 1.03-1.28)ないしは、スクリーニングの予約を12月に入れること(odds ratio 1.45, 1.16-1.82)。
まとめ:スクリーニングの受診率は、12月か受診者の誕生日付近が多く、特にこの傾向は都市部で強い。受診案内送付のタイミングを図る上で、通年の節目を使うことがスクリーニングプログラムのコンプライアンス改善に繋がる可能性がある。

 なるほどー。確かに、誕生日やお正月など、節目で色々振り返るものです。
 あー、年を取るのねーって感じで。
 その振り返りついでに、体にも目を向けてね!ってことですね。

 本文中に、Limitationとして、ノルウェーの大腸がん検診受診率が、UKや諸外国(日本は記載なし)よりも高い(70-80%)ので、ほかの国に適応できるかどうか一般化が難しいと書いてありました。
 日本では、職場検診などがあるために、特定の月(年始の1月2月や、春や秋)の検診を済ませてしまっていることもあります。ただ、主婦や学生、アルバイト、あるいは退職者などの場合はそのプログラムから漏れてしまうので、女性やパートタイムで働いている人に関するスクリーニングは、やってみる価値がありそうです。

 以前働いていた医療生協の病院でも、誕生日月の検診を促しておりました。
 直感でやっていたことに、根拠は後から付いてくる、という感じです。
 んー、やっぱり、日本の検診データをもっと有効活用したいなぁ。
 びっくりするような「宝物」がまだまだ沢山隠れている気がします。

 で、この結果をどうやって現場に落とし込むかが次の問題。
 いいEBMがあっても、現場で生かされて患者さんに届かなければ意味がない。
 それを考えるのがHealthcare Administrator/Managerの仕事。
 現場で使ってみて、さらにいい方法がないか、改善できればなお素晴らしい。

<ステップ>
 まず、疾病や症候、問題のターゲットを絞ってみる。
 あるいは、スクリーニング検査、予防関連情報でもよさそう。
 で、(1)紙でも電子カルテでも、患者さんの誕生日と年齢、性別、連絡先をデータベースから引っ張りだしてくる。
 で、(2)絞ったターゲット、ないしは、年齢ごとに推奨されるスクリーニング検査・予防関連情報のセットとリンクさせる。
 さらに、(3)それを毎週・毎月自動的にお知らせする仕組みづくり。
 しかも、(4)コスト(人的・物質的・金銭的など)がかからず、出来たら環境に優しいなら素晴らしい。
 (追加するなら、UKの郵便事情にあまり左右されたくは、ない。論文でお勧めの12月に予約を取るために郵便を送るなんて、郵便物がどっか行っちゃう危険性が高そうですし。)
 (5)もし、改善率を探るなら、当該患者さんがスクリーニングなどを実施したら、それを記録しないと、、それのコストも考えないと。

<対策>
 地域の中で、何が問題になっているか、どこを改善したら患者さんにメリットが大きいか、もう一度洗い直すことが必要そう。
 もし、子供のワクチン接種をターゲットにするということであれば、何が接種率低下のバリアになっているのかを洗い出さないと。リマインダーの手紙が効果的かどうかが定かではない、あるいは効果的ではない、ということであれば、別の方法を考えないといけない。
 (1)現在は紙カルテ運用だから、これまでのカルテをひっくり返すか、これから受診する方の基礎データを蓄積するか。あるいは、会計で使っているデータを使うか。
 (2)予防接種は年齢別推奨のガイドラインはある。年齢別の検査項目については、参照する国(日本、UK、US他)によって幅がある。あるいは、当院独自の検診項目も絡んできてしまうかもしれない。セットさえできてしまえば、リンクさせるのはそんなに大変じゃないような気もする。
 (3)(1)でのデータさえ一覧表になっていれば、ラベリングなどは簡単。あとはプログラムを組んでもらえば、さらに効率的。でも誰が?
 (4)Managementに加えて、事務、看護師さんたちの協力が不可欠。チームを作りたいなぁ。紙やインク、郵送代がどれくらいになりそうか、ターゲット、ないしは該当患者数から概算が必要。メールや携帯Text messageなら、環境にも金銭的にも優しい。
 (5)紙カルテであれば、裏表紙などに記録スペースは作れそう。それのデータベースも作らないと。
 
<最初の一歩>
 PDSA cycleに持っていくために、とりあえず、自分の患者さんだけでも、まずは現状調査をしてみて、スタッフにも聞きとり開始。そのあとに、Planを練ると。
 現状調査&チームづくり&Managementとのネゴシエーションを同時進行。
 あとは、もう少し根拠がほしいので、論文探し。

 さて、どうなっていくかしら。

23 December 2008

お母さんにやさしいFish! - Borough Market

 今日は、職場のK先生にBorough Marketに連れて行ってもらいました。
 
 Borough MarketはLondonで一番古いFood marketで、London bridgeの袂で開催されています。
 ちょうどChristmas前で開店時間を延長しているということもあり、喜々として足を運んでみました。

 おおぉー。美味しそうな匂いがー。
 カメラ持ってくればよかったー。

 雰囲気はこちらからどうぞ。
 Borough Market
 www.boroughmarket.org.uk/

 K先生の解説によると、UKだけでなくヨーロッパ各地から、さまざまな食材が運び込まれ、毎回おおにぎわいなんだそうです。
 私たちが到着した時間が遅かったためか、客足はそれほど多くはありませんでしたが、ヨーロッパ各地のチーズ、イタリアのオリーブ漬けやプロシュート、中東のお菓子、チョコレート、新鮮なお肉、お魚、野菜、パン屋さんもジャム屋さんもありました。
 新鮮であるだけじゃなく、Organicの食材も多く、野菜も野菜のにおいがします。

 お客さんといえば、バゲットやら、サンドイッチなどをむしゃむしゃ、お店から試食品をもらってむしゃむしゃやっている人たちばかり。
 私たちも、チーズをもらって、プロシュートをもらって、オリーブをもらって。。。
 やっぱり、むしゃむしゃ。
 
 で、ご想像のとおり、オリーブとプロシュートを購入。 
 まだ青々としたオリーブ漬けなんて、初めて食べました!フルーツみたいな感じ。

 これは、毎週来なきゃなりません。
 開催時間は、毎週
 木曜日: 11am - 5pm
 金曜日: 12pm - 6pm
 土曜日: 9am - 4pm
 クリスマスとお正月はちょっと変則的なので、チェックが必要です。

 さて、そのあとMarketの近くの Fish! というお店でお食事。

 Fish!
 www.fishdiner.co.uk/

 雰囲気もなかなかで、かなりお客さんも入っています。しかも、店員さんも素敵。
 二人で、MonkfishとHalibutというお魚(日本語名は食べたときは不明)をグリルで頂きました。Halibutを英英で調べても、「平べったいお魚」としか書いてなくて、平べったいといえば、ヒラメかカレイだよねぇなんて話していて、出てきた切身が分厚い。どう見てもカレイのようなペッタンコな感じではない、、Monkfishは弾力のある白身のお魚、Halibutはやわらかくさっぱりした白身魚。

 今調べてみたら、Monkfishはアンコウ、Halibutはオヒョウというカレイの仲間。
 Wikiによると、オヒョウって畳くらいあるんだそうだ。そりゃぁ、切身が分厚いわけだ。
 それに、アンコウって、あんな弾力があるのねぇ。
 どちらも美味しく頂きました。また知らないお魚にチャレンジしてみます。

さらに、ここのメニューが素敵なのです。

 左の写真がメニューの一部なのですが、右側の列が魚の種類で、その日に入荷されている魚を自分で選んで、スチームかグリルで調理して好きなソースで頂くことができます。
 その、魚の名前の右側に、小さく2匹の魚が書かれているのが分かりますか?
 
 これがまた、素敵。解説によると
Recommended for those who are pregnant or breast feeding: the FSA recommends that those who are, or may become, pregnant, should eat up to two portions of oily fish per week.

 つまり、お魚印のついたお料理は、妊婦さんや授乳中の方にお勧め!って書いてあるわけです。なんてお母さんフレンドリー!
 それに、遺伝子組み換えの食品は使っていないということも書かれています。

 ちなみにFSAとは、Food Standards Agencyのことと思われます。
 Food Standards Agency
 www.food.gov.uk/

 こちらに解説がありました。Eat well - Trying for baby
 www.eatwell.gov.uk/agesandstages/pregnancy/trybaby/
 それによると
try to eat fish at least twice a week including some oily fish. But don't have more than two portions of oily fish a week. This includes fresh tuna (not canned tuna, which does not count as oily fish), mackerel, sardines and trout

 週に2回は油の多い魚も含めて2回は食べましょう。ただし、脂の多い魚(生マグロ、サバ、イワシ、マス)は週2回まで。
 んー、ってことは、寿司はだめってことですか?
 海の近くの妊婦さんたちは、どうするんだ?
 これ、出典がないので、ちょっと後で調べてみましょう。
 日本と欧米で、妊婦さんの食生活の禁忌項目が結構違ったりするのは何でなのか、根拠は何なのか、それはそれで興味があります。(どなたか、調べがついていたら教えてください!)

 話はお店に戻ります。
 このお店のモットーがメニューの裏に書いてあり(メニューを家に持って帰ってきて判明)、その心意気に応援したくなります。曰く、
At fish! we endeavour to ensure wherever possible that the fish on your plate is responsibly sourced from sustainable stocks.
With the food chain contributing to more than 25% of UK's total emissions of green house gas CO2 our aim is to use local suppliers where possible.
We will not allow this to affect the quality of our produce and we are working hard on sourcing the best local suppliers.

 体にいいお魚を食べて、しかも環境にも優しくて、良いこと尽くめです。

 美味しいお食事とお酒に、沢山の面白いお話!
 また、連れてってくださいね!

08 December 2008

日本1周 in London

 引き続き NIKE + iPodネタで。

 NIKE+のサイトには、様々な形のChallengeがあると、お伝えしました。
 30日でどれだけ走れるか、とか、国別対抗とか。
 その中でも、面白いものがあったので、ご紹介。さっそくChallengeに加わりました。
  
 その名も 「日本一周」 現時点で、参加者数384名 

 日本の海岸線8293kmを2008年1月から10年かけて走破しよう、というもの。
 実際に海岸線を走っているわけでは(もちろん)ありませんけれども、毎日少しづつ積み重ねて、iPodに記録を残していた結果が、日本一周になるよ、という仕掛け。

 実に、日本的だなぁ、と感じてしまったわけなのです。
 なぜ?と聞かれても、困っちゃうのですが。

 Challengeを呼び掛けてくださったのは、Bacchusさんという方。
 東京から、太平洋側を通って北海道を回り、日本海側を通って九州、そしてまた東京に戻るという経路を、2ちゃんねるのこちらに掲示してあります。
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/31380/1178885192/

コピーしてみましょう。大変長くなりますが、、

駅間距離 累計距離
東京
千葉 39.2 39.2、木更津 35.1 74.3、館山 54.6 128.9、安房鴨川 33.5 162.4
大綱 70.4 232.8、成東 13.8 246.6、松岸 40.4 287.0、香取 31.8 318.8
鹿島神宮 14.2 333.0、水戸 56.2 389.2、いわき 94.1 483.3、原ノ町 77.5 560.8
岩沼 56.2 617.0、仙台 17.6 634.6、石巻 49.7 684.3、前谷地 15.1 699.4
気仙沼 72.8 772.2、盛 43.7 815.9、釜石 36.6 852.5、宮古 55.4 907.9
久慈 71.0 978.9、八戸 64.9 1043.8、野辺地 51.4 1095.2、青森 44.6 1139.8
蟹田 27.0 1166.8、津軽今別 17.4 1184.2、知内 63.0 1247.2、木古内 11.8 1259.0
函館 41.2 1300.2、大沼 27.0 1327.2、森 35.3 1362.5、長万部 62.8 1425.3
洞爺 41.5 1466.8、東室蘭 35.7 1502.5、登別 17.5 1520.0、苫小牧 40.5 1560.5
沼ノ端 8.8 1569.3、追分 26.8 1596.1、新夕張 25.4 1621.5、トマム 55.6 1677.1
新得 33.8 1710.9、芽室 30.2 1741.1、帯広 13.6 1754.7、池田 24.2 1778.9
浦幌 27.4 1806.3、白糖 49.4 1855.7、釧路 27.3 1883.0、標茶 48.1 1931.1
摩周 25.3 1956.4、知床斜里 58.4 2014.8、網走 37.3 2052.1、女満別 15.9 2068.0
美幌 12.0 2080.0、北見 25.1 2105.1、遠軽 60.2 2165.3、上川 75.9 2241.2
新旭川 44.9 2286.1、士別 50.2 2336.3、名寄 22.3 2358.6、美深 22.1 2380.7
音威子府 31.0 2411.7、幌延 70.1 2481.8、稚内 60.0 2541.8、幌延 60.0 2601.8
遠別 36.0 2637.8、羽幌 45.0 2682.8、苫前 12.0 2694.8、留萌 41.0 2735.8
石狩沼田 20.1 2755.9、深川 14.4 2770.3、滝川 23.1 2793.4、美唄 26.1 2819.5
岩見沢 16.8 2836.3、江別 19.6 2855.9、白石 15.2 2871.1、札幌 5.8 2876.9
銭函 18.2 2895.1、小樽 15.6 2910.7、余市 19.9 2930.6、倶知安 39.3 2969.9
ニセコ 13.7 2983.6、蘭越 16.2 2999.8、黒松内 31.1 3030.9、長万部 20.0 3050.9
黒岩 17.9 3068.8、落部 28.3 3097.1、森 16.6 3113.7、大沼 22.5 3136.2
七飯 13.2 3149.4、函館 13.8 3163.2、上磯 6.2 3169.4、木古内 29.0 3198.4
知内 11.8 3210.2、津軽今別 63.0 3273.2、蟹田 4.4 3277.6、中沢 10.2 3287.8
青森 16.8 3304.6、浪岡 22.4 3327.0、川部 8.7 3335.7、五所川原 15.5 3351.2
越水 14.7 3365.9、深浦 44.1 3410.0、岩館 37.8 3447.8、東能代 29.1 3476.9
八郎潟 27.9 3504.8、追分 15.8 3520.6、秋田 13.0 3533.6、新屋 6.0 3539.6
羽後本荘 36.8 3576.4、象潟 25.5 3601.9、酒田 36.5 3638.4、余目 12.2 3650.6
鶴岡 15.3 3665.9、あつみ温泉 29.6 3695.5、府屋 13.9 3709.4、村上 36.5 3745.9
坂町 11.4 3757.3、中条 8.9 3766.2、新堀田 13.1 3779.3、豊栄 12.3 3791.6
新崎 5.4 3797.0、新潟 9.6 3806.6、寺尾 9.4 3816.0、巻 16.6 3832.6
吉田 8.0 3840.6、分水 8.3 3848.9、出雲崎 16.7 3865.6、柏崎 24.8 3890.4
柿崎 18.7 3909.1、直江津 17.6 3926.7、能生 25.9 3952.6、糸魚川 12.9 3965.5
入善 35.1 4000.6、黒部 12.1 4012.7、滑川 14.8 4027.5、富山 17.0 4044.5
小杉 11.4 4055.9、高岡 7.4 4063.3、石動 16.0 4079.3、津幡 13.1 4092.4
金沢 11.5 4103.9、美川 17.8 4121.7、小松 10.6 4132.3、加賀温泉 13.9 4146.2
福井 34.4 4180.6、武生 18.9 4199.5、敦賀 35.1 4234.6、美浜 17.9 4252.5
上中 20.9 4273.4、若狭本郷 23.0 4296.4、西舞鶴 29.4 4325.8、宮津 24.7 4350.5
丹後大宮 18.0 4368.5、丹後神野 23.8 4392.3、富岡 17.1 4409.4、香住 31.6 4441.0
浜坂 17.9 4458.9、鳥取 32.4 4491.3、倉吉 39.8 4531.1、下市 27.6 4558.7
米子 25.3 4584.0、松江 28.9 4612.9、出雲市 32.7 4645.6、大田市 32.6 4678.2
温泉津 20.7 4698.9、波子 25.4 4724.3、三保三隅 29.3 4753.6、益田 21.9 4775.5
須佐 25.9 4801.4、東荻 31.6 4833.0、長門市 27.6 4860.6、小串 50.6 4911.2
下関 27.1 4938.3、門司 6.3 4944.6、小倉 5.5 4950.1、八幡 11.2 4961.3
東郷 28.5 4989.、博多 27.5 5017.3、姪浜 11.7 5029.0、筑前前原 12.7 5041.7
筑前深江 20.1 5061.8、唐津 22.5 5084.3、山本 8.1 5092.4、伊万里 25.7 5118.1
松浦 22.6 5140.7、たびら平戸口 15.6 5156.3、佐々 25.4 5181.7、佐世保 30.2 5211.9
大村 39.8 5251.7、諫早  12.6 5264.3、肥前大浦 24.8 5289.1、肥前鹿島 21.0 5310.1
肥前山口 15.0 5325.1、佐賀 14.6 5339.7、鳥栖 25.0 5364.7、久留米 7.1 5371.8
大牟田 33.6 5405.4、荒尾 4.1 5409.5、玉名 17.0 5426.5、熊本 28.0 5454.5
宇土 10.9 5465.4、八代 24.8 5490.2、佐敷 29.8 5520.0、水俣 19.8 5539.8
出水 16.0 5555.8、阿久根 20.6 5576.4、川内 30.7 5607.1、湯之元 20.4 5627.5
伊集院 8.4 5635.9、西鹿児島 17.3 5653.2、鹿児島 3.2 5656.4、隼人 27.9 5684.3
財部 35.3 5719.6、都城 9.5 5729.1、田野 31.9 5761.0、宮崎 18.1 5779.1
高鍋 26.3 5805.4、日向市 36.9 5842.3、延岡 20.5 5862.8、佐伯 58.4 5921.2
津久見 18.9 5940.1、幸崎 27.1 5967.2、大分 18.9 5986.1、別府 12.1 5998.2
日出 13.6 6011.8、中山香 16.8 6028.6、柳ヶ浦 21.3 6049.9、宇島 23.9 6073.8
行橋 20.2 6094.0、苅田 6.4 6100.4、下曽根 7.0 6107.4、南小倉 8.1 6115.5
小倉 3.5 6119.0、門司 5.5 6124.5、下関 6.3 6130.8、長府 13.1 6143.9
厚狭 20.7 6164.6、宇部 9.8 6174.4、小郡 25.3 6199.7、防府 17.8 6217.5
徳山 26.5 6244.0、光 14.2 6258.2、柳井 21.5 6279.7、岩国 11.4 6291.1
宮島口 19.6 6310.7、五日市 9.7 6320.4、広島 12.1 6332.5、安芸中野 10.3 6342.8
西条 21.5 6364.3、尾道 51.1 6415.4、福山 20.1 6435.5、新倉敷 33.1 6468.6
倉敷 9.3 6477.9、岡山 15.9 6493.8、茶屋町 14.9 6508.7、児島 12.9 6521.6
宇多津 18.1 6539.7、観音寺 30.6 6570.3、川之江 15.7 6586.0、新居浜 30.9 6616.9
伊予西条 11.2 6628.1、今治 30.6 6658.7、菊間 21.0 6679.7、伊予北条 11.0 6690.7
松山 17.5 6708.2、伊予市 11.6 6719.8、伊予中山 12.7 6732.5、内子 13.3 6745.8
伊予大州 11.2 6757.0、八幡浜 13.3 6770.3、卯之町 14.6 6784.9、伊予吉田 11.9 6796.8
北宇和島 6.8 6803.6、近永 15.9 6819.5、江川崎 17.7 6837.2、若井 42.7 6879.9
土佐久札 19.0 6898.9、須崎 11.0 6909.9、佐川 14.5 6924.4、伊野 16.2 6940.6
朝倉 5.3 6945.9、高知 6.1 6952.0、後免 10.4 6962.4、大杉 29.0 6991.4
大歩危 21.7 7013.1、阿波池田 21.6 7034.7、貞光 24.5 7059.2、阿波山川 18.3 7077.5
鴨島 12.3 7089.8、蔵本 15.6 7105.4、徳島 3.3 7108.7、池谷 8.5 7117.2
引田 6.2 7123.4、三本松 7.5 7130.9、志度 21.3 7152.2、屋島 6.8 7159.0
高松 9.5 7168.5、坂出 21.3 7189.8、宇多津 4.6 7194.4、児島 12.9 7207.3
茶屋町 14.9 7222.2、岡山 15.9 7238.1、瀬戸 15.4 7253.5、和気 13.2 7266.7
三石 12.4 7279.1、上郡 12.8 7291.9、竜野 18.6 7310.5、姫路 16.2 7326.7
曽根 8.4 7335.1、加古川 7.3 7342.4、魚住 10.0 7352.4、西明石 6.3 7358.7
明石 3.4 7362.1、須磨 12.1 7374.2、神戸 7.3 7381.5、住吉 9.4 7390.9
西宮 8.3 7399.2、大阪 15.4 7414.6、天王寺 11.0 7425.6、鳳 15.1 7440.7
日根野 19.8 7460.5、和歌山 26.4 7486.9、海南 10.4 7497.3、初島 12.4 7509.7
紀伊宮原 6.9 7516.6、湯浅 7.3 7523.9、御坊 17.6 7541.5、印南 17.0 7558.5
紀伊田辺 23.9 7582.4、白浜 10.0 7592.4、椿 8.1 7600.5、周参見 13.3 7613.8
串本 32.2 7646.0、太地 21.9 7667.9、紀伊勝浦 4.8 7672.7、紀伊佐野 8.5 7681.2
新宮 6.4 7687.6、阿田和 11.8 7699.4、熊野市 10.8 7710.2、三木里 19.1 7729.3
相賀 21.9 7751.2、紀伊長島 18.2 7769.4、三瀬谷 30.5 7799.9、栃原 12.8 7812.7
多気 12.6 7825.3、松坂 7.9 7833.2、津 19.1 7852.3、亀山 15.5 7867.8
河曲 12.4 7880.2、四日市 10.3 7890.5、桑名 13.4 7903.9、蟹江 14.5 7918.4
名古屋 9.3 7927.7、熱田 5.2 7932.9、大府 14.3 7947.2、三河安城 10.2 7957.4
岡崎 10.4 7967.8、三河塩津 13.0 7980.8、豊橋 19.3 8000.1、弁天島 23.8 8023.9
浜松 12.7 8036.6、磐田 11.2 8047.8、掛川 16.6 8064.4、金谷 16.4 8080.8
藤枝 12.6 8093.4、焼津 6.6 8100.0、静岡 13.5 8113.5、清水 11.2 8124.7
由比 10.6 8135.3、富士川 8.7 8144.0、沼津 23.5 8167.5、三島 5.5 8173.0
熱海 16.1 8189.1、真鶴 8.8 8197.9、小田原 11.9 8209.8、大磯 16.1 8225.9
藤沢 16.7 8242.6、戸塚 10.2 8252.8、横浜 12.1 8264.9、川崎 10.6 8275.5
品川 11.4 8286.9、東京 6.8 8293.7

 圧巻です。リストにされたことも驚きますが、これらの町をすべて鉄道でつないでしまっている日本というのも、すごいです。しかも、ほとんど遅れなしで。

 毎日続けるとか、息の長い活動とか、積み重ねていくとか、飽きっぽい私は非常に苦手なのですが、それを何とか克服出来たらなぁなんて思って、参加しています。とはいっても、その「克服したいなぁ」自体に飽きちゃったりとかしてしまいそうで、、

 今日の時点で、121.81km走っておりますので、東京を出発して東京湾を回って木更津から館山の間ですね。もうちょっとで、私のメンターの働くところに到着しそうです。今年は、鴨川あたりまででしょうか。
 青森や北海道の皆様の所までは、だいぶかかりそうですねぇ。

 毎月50km走ると、13年ちょっと。70km走れば、ちょうど10年くらいです。
 10年かぁ、、 続いたら感動するだろうなぁ。。
 
 皆様も、いかがですか?

03 December 2008

Running

 「ウオーキングだったり、定期的な運動が必要ですよね」

 なんて言っている自分が、運動していない、、、ってこと、医療者にとってはよくある話。

 尊敬する医師の一人に、地方のマラソン大会で優勝するくらいのRunnerがいらっしゃいます。地域の病院を、文字通り支えておられて、かつ、毎日何十キロも走り、かつ、英文での論文を年に何本も書いてしまうという、スーパーマンです。

 その先生に触発されたのもあり、また、かつてフルマラソンで得難い経験をしたこともあり、自分も運動しないとなぁ、、と思い立ち、一人でもいつでもどこでもできるRunningを始めることにしました。
 Londonは、あちらこちらに公園がたくさんあり、Fitness clubもたくさんあります。
 実際に、街中いたるところでランニングしている人たちが大勢います。
 休みになると、London中心部のHyde Parkでは、Runnerだらけになります。

 さぁやるぞ!と思ってちょっと走り始めたら、あっという間に膝が痛くなり、ランニングシューズを新調しました。 スポーツショップには、自分の走りをビデオに撮ってくれ、走りの癖や足の形に合わせてシューズを選んでくれるサービスがあります。
 新しい靴で走ると、実に快適。道具から入るって言うのも、大切です。

 さらに、Motivationを維持するためにと思い、新調したNIKEのシューズとiPodをリンクさせて、自分の走った記録を残せる NIKE+ iPod を導入。


 NIKE + iPod
 http://www.apple.com/jp/ipod/nike/

 これはですね、Addictiveです。
 非常にハマリます。

 小さな発信器を靴に仕込んでおき、iPodに受信機を取り付けて、走っている間中フィードバックを受け続けながら走ることができ、その記録を、NIKE+というWebにリンクします。(iPodとiTuneをリンクさせると、自動的に転送できるようになります。)

 NIKE+ webでは、世界中のRunnerたちが、独自の目標を設定したり、グループを募ったりして、お互い励まし合いながら、競い合いながら、毎日走っているのが分かります。
 Professionalでやっている人あり、ビギナーあり、ウォーキングありの、其々がそれぞれに頑張っているのが励みになります。

 現在、いくつかの"Challenge"に取り組み中で、30日間でどれだけ走れるか、とか、クリスマスまでに50km!とか、5km一番早く走れるのは?とか、チームを組んで一番長距離を走ったチームは?といった感じで、「よし、今日も走ろう!」と思える仕組みがたくさんあります。

 AppleとNikeのコラボレーションですが、カスタマーとのWin-Winだなーなんて思います。
 非常にうまい仕組みを考えたものです。
 こちらの世界の出来事を、あちら(Web)の世界で結びつけ、さらにこちらの世界に役立てるという、うまい仕組みだと思います。

 もうひとつ、Win-Winのコラボがあるのですが、それはまた次回に。

 左のガジェットに、走った記録が反映されています。
 まずは10kmを60分以内というのが、とりあえずの目標! 
 頑張りますっ!

25 November 2008

「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス

 「積ん読」状態になっている本のなかから。
 
「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
  • 発売元: 光文社
  • 価格: ¥ 777
  • 発売日: 2006/02/16
  • おすすめ度 4.0


 著者の好井 裕明(よしい ひろあき)さんは、筑波大学大学院人文社会科学研究科の教授をされています。
 
 この本では、いわゆる質的研究の手法について書かれているのではなく、好井さんやほかの社会学者の方々が行ってきた研究をベースに、社会学的な質的研究を行う上での「センス」について書かれています。社会学者が、どんな視点で人々の日々の生活をみて、その中でどんな振り返りをし、どんな問題を社会に投げかけているのか、そういったことが書かれています。
 語られている研究テーマは、部落の人々、在日韓国人、ゲイなどのセクシュアルマイノリティ、地域の民俗など、多岐に及んでいます。

 目次
第1章 数字はどこまで語れるか
第2章 はいりこむ
第3章 あるものになる
第4章 聞きとる
第5章 語りだす
第6章 「あたりまえ」を疑う
第7章 「普通であること」に居直らない

 読みながら、常に頭の中にめぐってきたのは、
 「この、社会学の視点は、臨床医の視点そのものなんじゃないのか?」
 ということ。
 とくに、長いこと一人の患者さんや家族、地域と付き合っていく家庭医の(あるいは、持つべき)視点に非常にそっくりだと。

 診察室へ来る患者さんは、「患者さん」とひとくくりにすることは、なかなか難しい。
 「糖尿病の患者さん」ということで、治療方針はガイドラインとして提供されているものがあり、それにのっとって治療することが勧められている。
 でも、その患者さんたちの中に共通する何らかのカテゴリーはあるかもしれないけれど、医学的な薬への反応なんかの違いだけではなくて、その人の生きている環境や病気のとらえ方、ものの見方、医療との距離の取り方なんかは、患者さんそれぞれ、なんだよね。
 そんな、非常にユニークな人々のそれぞれのニーズに合ったように、手持ちの「医学」という道具箱から、それを少しモディファイしながら、長い時間を過ごしながら、応援していくっていうのが、プライマリ・ケアなのかなと。
 
 以前、ゲイやレズビアンといったセクシュアル・マイノリティの人たちへの医療提供について、医者たちと話になったことがありました。
 診療を行う上で、月経・性交渉についてやセクシュアル・パートナーについて聞きとる必要が多くありますが、結構な割合で「セクシュアリティについては、聞かないなぁ」とか、「性にまつわることは、ちょっとね」ということで、話題にのぼらない(のぼらせない?)という話でした。
 なんでかなー?ご飯を食べるのと同じくらい、日常的なことなんじゃないのか?
 医療のProfessionalとして、聴取しないのは問題なんじゃないのか?
 って思っていました。

 この本を読んで、ははぁと思ったのが、そうした話題、あるいは、そうしたことに何らかの問題を抱えている人に対して、「聞かないなぁ」という医療者は、どのように対応したらいいのか分からなかったり、対処する経験がなかったから、「話題が出ることに怯えている」のかもしれないなぁ、と。
 
 目の前の患者さんに、他に何かありますか?と聞いたときに、「私、ゲイ/レズビアンなんですけど、何か気をつけたらいいことってあります?」と問われて、固まってしまう、ということの不安があるのかなと。
 
 知識を積み上げたら、その不安が解消するというわけではなくて、自分の「日常」に入っていないカテゴリーが目の前に現れたときに、どうしていいか分からなくなるかもしれない、という不安なのかなと。

 好井さんは、社会学を勧めていく上で、非常に大切な視点も指摘されています。
 社会学的調査を進めていくと、
調べれば調べるほどに、”生かされた”カテゴリーをめぐる人々の経験がもつ”闇”が広がっていき、他方、「道具」としてのカテゴリーを安易に用いていた自分のこれまでの経験が思い知らされ (P240)

 るということ。
 そして、調査する人は、調査をするということそのものが、
”闇”を広げてしまう営みだということぐらい、きちんと認識したうえで調査すべきであり、個別のできごとや問題の中で、調査するものの対応やセンスが問われていく (P240)

 と指摘しています。
 また、姿勢として、
調査をすることの権力性や自分自身の居場所を、調査する過程で常に反省的にとらえ直しているだろうか、調査結果を明らかにすることが、対象者に対して持つ意味をどれくらい想像できるているのだろうか (p241)

 と自分に問いかけ、
決して硬直してはならない。そうではなく、できるだけ柔軟に、調査することを見直し、調査する私を見直す。もし「普通であること」に私が少しでも居直っているとすれば、それを反省し、「普通であること」を疑い、どこが問題であり、どう変革すれば、相手の”生きられた”世界と繋がることができるのかを模索していく(P241)

 ことを勧めています。

 これは、社会学者のセンスとして書かれていますが、「調査をすること」という言葉を問診などの「話を聞く」とか「治療」ということに置き換えれば、おそらく、「よい臨床家」となる上でも、非常に大切な視点なのかなと、思いました。

14 November 2008

Baby Pと貧困

 ニュースで話題になっていることを一つ。

 ロンドンの北部で2007年8月に17か月の男の子が虐待のため死亡した、という事件。
 死亡した時には、背骨と肋骨が折れ、全身にあざがあり、血だらけだったとのこと。
 しかも、法的理由により、この子には名前が付けられておらず、Baby Pとして話題に取り上げられています。つい先日、政府の方針に対しても国会の答弁で議題になり、小児医療・ケアに対する軽視が生み出したものだと、批判されているようです。

 現在、母親とそのパートナー、および同居していた男性(15歳の家出少女と共に母親のもとで暮らしていた)が、虐待あるいはその幇助ということで逮捕されています。

 このケース、Social Workerや小児科医が介入していたにもかかわらず、虐待死が防げなかったということで、地域の行政に対する批判が高まっています。また、死亡する直前に検診を担当した小児科医が、GMC(General Medical Council:医師登録などを扱っている機関)でその診察が適正だったかどうか、調査を受けています。
 虐待が始ってから、少なくとも60回にわたってSocial workerが家を訪れ、8回にわたり母親がGPやBaby Pの治療のために病院を訪れていましたが、最終的には、母親のもとに子供は返されていました。

 母親は、Baby Pが生まれてから2度も虐待の疑いで警察に拘留されていますが、最終的にはBaby P は母親のもとにかえされ、最終的に虐待死を遂げることになってしまいました。
 経過は、このWebを参照。
 http://www.guardian.co.uk/society/2008/nov/11/baby-p-death

 母親となった女性は、薬物およびアルコール中毒の母親に育てられたあと、Baby Pの父親と出会い、Baby Pを出産しました。Baby Pが生まれてから数ヶ月後に、Baby P の父親は家を出て、その数ヶ月後には母親がPubで出会った男性とともに暮らすようになっていたようです。また、15歳の家出少女とともに別の男性が家に暮らすようになり、この男性と母親のパートナーの間でいさかいが起こるようになり、その状況下で虐待が進行していったのではないかとされています。

 問題点として明らかになっているのが、Baby P の状態が悪くなるたびに母親がGPや病院に何度も子供を連れて行っていた際に、あざを確認しても、「年上の子供に突き飛ばされた、犬に引きずられた、階段から落ちた」などの母親の言い分を聞いてしまったこと、また、同居の男性がいるということを把握できなかったこと(この男性と同居するようになり、虐待が始った疑いがもたれています。)また、病院を訪れたり、Social Workerが訪問するときに、母親がチョコレートなどで傷を隠していたことも分かっています。
 さらに、システム上の問題として、Child protection registerというリスト(虐待の可能性があり保護が必要とされる子供のリスト)から、「Social workerとコンタクトを取る」という条件で削除されたこと、最終的にBaby Pを母親のもとから引き離す決定が下されたのが遅くなったこと、関係した医療者及び行政機関の間での情報のやり取りがうまくいっていなかったことが挙げられています。

 これらは、日本でも虐待死があった時に聞かれることです。

 今回、ここまで地域のChild protection serviceへの批判が高まっているのは、2000年に同じ地区で少女が虐待死を遂げていたことが上げられます。このときに、UK全土でのChild Protection serviceの見直しがあり、システムの改善が図られていましたが、残念ながら今回のBaby Pの虐待死を防ぐことができなかったことが、Child Protection Serviceのシステム、および教育体制への批判が増大した理由の一つです。
 Social workerたちへの批判が高まる中、彼らの仕事への無理解や援助の乏しさも挙げられています。

 多くの記事が、地域の行政サービスとしてどうやって子供を守るかというところに集中していますが、どういった理由が虐待する親を生み出してしまうのか、という議論がないのが気になります。虐待する人がいるのは仕方がないから、そこから子供をどうやって守るか、という議論に見えて仕方ありません。

 驚くべきことに、先進国の一つであるはずのUKでは、約3人に1人の子供が貧困の中で生活しているというreportがあります。
 End Child Poverty
 http://www.endchildpoverty.org.uk/
 Joseph Rowntree Foundation
 http://www.jrf.org.uk/child-poverty/default.asp

 貧困と低いEducation levelはリンクしていることが明らかとなっており、低いEducation levelは就職の上で不利となり、貧困の輪から抜け出すことができません。前首相のブレアさんは、2010年までに子供の貧困をなくすという政策を打ち出していますが、あと2年で390万人いるとされる貧困の中に生きる子供たちへの対策を打ち出すのは、この不景気が直撃したUKでは、かなり難しいだろうなぁ。。。

 先進国の子供たちの状況を知る上で、UNICEFの以下のレポートが参考になります。
 An overview of child well-being in rich countries (UNICEF 2007)
 A comprehensive assessment of the lives and well-being of children and adolescents in the economically advanced nations
 http://www.unicef-irc.org/publications/pdf/rc7_eng.pdf
 
 日本に貧困はない、と思っているのは、恵まれた環境にいる人に事実が見えなくなっているだけのような気がします。レポートによれば、日本の0-15歳の約15%は、平均収入以下の家庭で暮らしています。(がっかりなのは、日本のデータが多くの場合欠落していること。つまり、現状すらわかっていないということ。現状調査=測定ができなければ、改善は難しい。)

 医師、医療者は政策には直接関係ないという声もよく聞きますが、患者さんは(自分たちも)国の政策の中で生活をし、問題を抱えて目の前にやってくるわけで、情勢や政策が見えていなければ、本当のサポート、あるいは状況改善のための手立てを取ることは難しいのではないかと思います。

29 October 2008

Organic Food

 UKに来てからしばらくは、とにかく食費を安く!と思って、スーパーでもとにかく安いものを!と買っていました。
 が、一度Organicのmilk(こちらには、牛乳、スキムミルク、スキムと牛乳のハーフ&ハーフという3種類があります)を買ったら、断然おいしい!

 で、それからは、なるべくOrganic foodを買うようになりました。
 値段は大体10%上乗せくらいになりますが、自分の体への投資だと思えば安い!?

 UKでは普通のスーパーマーケット(Tesco, Marks&Spencer, Sainsburyなど)でも、たくさんの種類のOrganic Foodを扱っています。
 乳製品、精肉、野菜、果物、パスタ、パン、ワイン、お菓子などなど。
 パスタやパンでは、
 
 Organic foodのかなりの割合が、UK内の生産者からのもので、不必要なコスト(輸送費、貯蔵場所、冷蔵など)が省かれていると思われますし、どっちにしても地球にやさしそうです。

 検索してみると、UKにはSoil Associationという団体があり、1946年(第二次世界大戦の直後!)から活動をしているようです。
 このページには、UKの各スーパーマーケットがどれくらいOrganic foodを扱っているか、その障害となっているものは何か、などを分析してレポートしています。
 
 Shopping survey

 ここ数年で、Organic foodの売り上げが伸びているようです。
 地元で採れた旬のものを新鮮なうちに頂く、というのが、もっと広がって行ったらいいなと思います。

 以前住んでいた千葉の房総では、農家の軒先で採れたての野菜を買い、海岸線沿いの魚屋さんでは美味しい干物が安く手に入り、地元特産のお米を買うことができていました。 つくづく、そういう文化は大切にした方がいいようなぁと思います。生産者の皆様に、感謝感謝です。

26 October 2008

良く見る疾患、 各科専門医との関係

 今日でSummer timeが終了しました。
 ということで日本との時差が1時間のびたということですね。

 さて、現在私はGPとしてLondonで働いているわけなんですが、日本にいたときよりもはるかにバラエティーに富んだ症状を抱えた患者さんたちがいらっしゃっています。

 いわゆる風邪などの上記道炎の次に、最も多いのは、おそらく皮膚疾患。
 UKに来て、えらく乾燥した気候に、湿度の高い環境で育ってきた日本人の皮膚は負けてしまうようです。
 乾燥してるなーと思っているうちに、皮膚がカサカサしてきて、寝ている間などに首や足をかきむしって、気付いたら湿疹になっていたり、悪くするとトビヒのようになってしまい、「なかなか治らない」と、クリニックにいらっしゃいます。

 多くの方は、ステロイドとがっちり保湿剤を使ってもらう事で良くなりますが、もともとアトピー性皮膚炎をもっているような方は、なかなか湿疹がよくなりません。
 入浴後の保湿剤でも改善しない時には、バスタブに入浴用オイルなどを使ってもらいます。

 次は、尿路感染でしょうか。
 女性の膀胱炎症状を訴えて来られる方が、実に多い。そして、培養では、Amoxicillin耐性のE.coliが半数ほどを占めています。
 日本では、患者さんが泌尿器科に行っていたからなのか、あまり患者さんの数として多いように感じませんでしたが、この数週間はおそらく毎日診察している気がします。
 これも、乾燥による体の脱水も影響しているのかもしれません。
 多くは女性なので、この機会にPap smear(子宮頚がん検診)を勧め、Safer sexについてなども話をします。
 また、閉経後の方で繰り返すような方には、Estrogen creamなどの代替療法を紹介しつつ、性交痛や不正出血の有無、腹圧性尿失禁の有無などについても話をしていきます。
 性にまつわることや婦人科のことも、話を勧めていくうちに患者さんの方からどんどん質問が出てきます。「こうした話はタブー」と思っているのは、医療者側なのかもしれません。
 
 さらには、外耳炎。これも、日本なら耳鼻科に行くので、内科のクリニックで良く見るものではなかった気がします。
 点耳薬で改善する人が多い中で、「毎日耳かきしないとだめなんです!」という方が意外に多く、かなり繰り返しています。

 こうした、いわゆるマイナー科の患者さんが多いです。
 他にも、打撲や骨折、捻挫なども多いですね。
 こちらに来て、「家庭医ってかんじー」と思うことが多いです。

 そんな中で、治療に反応がいまいちな場合、あるいは、重症で専門治療が必要と判断した際には、各科の専門医に紹介になります。
 私のいるクリニックはPrivateなので、Private Hospitalの各科専門医を紹介することになります。多くの方は、旅行者保険に入られているので、ほぼカバーされているようです。
 NHSの専門医の紹介であれば、おそらく数カ月は待つことになるであろうものでも、1-2週間で診てもらえます。
 ちょっと難渋なのは、紹介状を英語で書かなきゃならないことですが、、、

 UKの作法なのか、あるいはPrivate Hispitalの専門医だからなのか、紹介をするときちんと報告書が帰ってきます。最初の報告書には、患者さんの既往から現病歴、診察での所見、そして今後の方針が書かれています。
 しかも、ほとんどの先生方は、診察の度に患者さんの状態や症状の変化、方針の変更、手術記録などを報告してくださいます。

 これが、実に勉強になる。自分の振り返りには、もってこいなのです。

 自分の見立てや処置は正しかったか
 患者さんがどのような経過をたどるのか
 どういった身体所見をとるべきだったのか
 そして
 さまざまな症状や状態を英語で記載するときの実例として参考になるのです。

 こうした各科専門医からの詳細にわたる報告が受けられるというのは、Primary Careを担っていく上での重要な点でもあります。だって、その後どうなったのか、本当に気がかりですし、また次に同じような患者さんに出会った時に、教訓が生かされます。

 UKでは、GPのクリニックが、地域で暮らす方の最初に足を運ぶ医療機関として定められているため、完全なかかりつけ制度になっています。ですから、専門医でどのような治療が行われ、どのような経過をたどったのかをGPが把握できるように報告書を書くことが、礼儀なのかもしれません。

 日本では、各科専門医に紹介すると、患者さんが戻ってこなくなることが多かったように思います。それは、専門医でもかかりつけ医として継続的に治療することが日常であり、また、患者さんの専門医志向がそうさせているのかもしれません。
 ただ、Primary Careを担うものとしては、日本でも、経過のすべてにわたって詳細にわたる報告書が専門医から届く制度が整備されたら、患者さんとも、各科専門医とも、非常に良好な関係が作れるのではないかと思います。
 それには、報告書を書く時間、というのを確保できるような働き方を作り出さないといけないですね。

 日本でも、総合医・家庭医を専門医として確立すべく、厚労省の様々な審議会で議論が重ねられ、医学会も動き出しています。
 厚労省では、医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班で議論が始まりました。
 他にも、以下の審議会などで、家庭医に関する資料を読むことができます。

 「安心と希望の医療確保ビジョン」第6回会議議事録
 第5回 医道審議会医道分科会診療科名標榜部会
 医師の需要に関する検討会
 
 また、プライマリケアを担う医療者の学会である、日本家庭医療学会日本プライマリ・ケア学会日本総合診療医学会は、数年以内に合併をするために議論が重ねられています。
 専門医制度を生み出すだけでなく、患者さんと各科専門医との良好な関係を築き、患者さんと各科専門医から信頼されるに足る能力を身につけ、それを研鑽し続ける制度も、同時に必要になってくるように思います。
 専門医を作りました、はい、終了 な、わけではありませんから。

 日本には、日本の医療文化に合ったPrimary care専門医制度が必要でしょう。
 世界には、家庭医を専門医に位置づけて、長い歴史をもった国々がたくさんあります。成功も失敗も、学ぶことができます。日本の家庭医制度の確立のために、UKから沢山持ち帰れるような学びを、今後も続けていきたいです。

23 October 2008

Jack-O'-Lantern!

 そろそろハロウィーンですね。
 ショーウィンドーが、もっとハロウィーンぽくなるのかなぁと思っていましたが、そうでもないみたい。 ちょっと残念。 クリスマスに期待。

 さて、いつか「カボチャ提灯:Jack-O'-Lantern」を作りたいと思っていたのですが、町中のスーパーに山ほどカボチャが積み上げられて売られていたので、チャレンジしてみました!

 

 いかがでしょう? 「あははははー」って聞こえてきそう。

 日本の食用カボチャとは違って、Lantern用のカボチャは中がスカスカで、スプーンで簡単に中身を削れます。

 <作り方!>

1)形の良い、顔がちゃんと作れるくらいのカボチャを選ぶ。

2)小さなナイフなどでヘタのところを丸くくりぬく。 あとで蓋にできるように、空気穴をあけておく。

3)中のタネとワタ(ふわふわした種の周りのもの)を、スプーンを使って壁からこそぎ落とす。

4)壁の厚さが1cm位になるまで、ゴリゴリと削りだす。

5)ボールペンなどで、顔の輪郭をちょっと小さめに書く。

6)慎重に、顔の輪郭をナイフでくりぬく。

7)小さなローソクを入れて、はい!出来上がり!

 このカボチャは、クリニックの正面にでも飾ってもらうことにしましょう!
 んー、1つじゃさみしいから、家族分、あと2つ3つ作ろっかなー。

17 October 2008

学術的情報の探し方

 大学院での課題が出たときに、一番最初に取り掛かるのが、手元にある教科書の該当しそうな項目を読んでみること。
 そのあと、そこのBibliographyやReferenceから、関連しそうなものをピックアップして、さらに本や論文を読んでみる。
 さらに、その論文のreferenceを孫引きして、、、というのが、だいたいのパターン。
 この孫引きでは、年代をさかのぼる感じでテーマにそった論文を探すことができる。
 たとえば、何かの理論体系について知りたいときには、その理論がどんな変遷で現在の形になったのか、というようなことが論文をたどっていくことで見えてくる。

 では、最新のものにたどりつくにはどうするか。
 論文は、多くのものがInternet上で参照できる。 多くのJournalではAbstractのページに、その対象になっている論文を引用(Citation)した論文を探し出すリンクがあるので、これであれば、最新のものに近い論文にたどりつくことができる。
 ただし、Subscribeが必要なこともあり、UKであればNHSや大学に所属していないと、多くの論文を読めないのがちょっと欠点かも。
 
 医学関連で有名なデータベースは PubMed 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/
 その中でもPubMed Centralはフリーで読める。
http://www.pubmedcentral.nih.gov/
 マネジメント系では Emerald があります。
http://emeraldinsight.com/

 いくつも論文を探し出していくと、テーマによってよく掲載されるJournalが決まってくるので、それをBookmarkしておくことも、Tipsかも。 さらには、そのテーマの権威である研究者が分かってくる。

 そこで、今度はGoogleの出番。
 その中でも、Google scholarは、非常にありがたい検索エンジン。
 Googleのメインページの左上に、moreというリンクがあるので、その中からScholarを探すとどの言語のGoogleでも見つかるはず。
 Google Scholarは、学術論文のみを検索してくれるので、検索時間が短縮できる。

 キーになっていそうな論文の題名で探すと、その論文をCitationしている論文がずらりとならぶし、権威である研究者の名前を入れると、その人が書いた論文の一覧が参照できる。あるいはキーワードで探せば、テーマの周辺にある研究の傾向も見てとれる。

 それでもいま一つテーマについてよくわからない時、あるいは、どこから手をつけたらいいか皆目見当がつかない時には、キーワードに続けて拡張子を付けてGoogleで探すという手があります。

 拡張子とは、パソコンで利用するファイルの特徴を示す英語3文字程度で表わされる記号のこと。
「.pdf」:Adobe Acrobatで作成されたPDFファイル
「.doc .docx」:Windows Wordのファイルやほかのテキストエディティングのできるファイル
「.ppt .pptx」:Windows Powerpoint、Powerpoint 2007で作成されたファイル
「.xls .xlsx」:Windows Excel, Excel 2007で作成されたファイル
などがあります。

 たとえば、Healthcare managementというキーワードに、pptをつけてGoogleで検索すると、Internet上にUploadされている、Healthcare managementという単語を使ったPowerpointのスライドが探し出せます。 スライドを読むことで、誰かのレクチャーを参照することができる、という具合。Uploadしてくれている方に、感謝。
 さらに、pdfで検索をすると、学術論文やスキャンした資料、PowerpointをPDF形式で保存したものが検索できます。これなら、フリーで読める論文がすぐに探せます。

 かなりの情報がInternetで手に入り、どうしても本を参照したいときだけ図書館に行くというので、大学院での課題はこなすことができました。

 まぁ、Internetがないと、どうにもならない、ともいえますが、、
 Internetがない時代は、論文を探すというだけでも、どれ程の労力が必要だったんだろう。。 
 逆に、Internetでこれだけ探すことができるので、「先行論文・関連資料がない」と、そう簡単に言えない、という状況になってきていますね。

16 October 2008

使えるサイト - Get Body Smart

 現在の診療所では、GPとして働いていて、必要に応じてPrivate Hospitalの専門医に紹介をします。その時に問題になるのが、紹介状を英語で書かなきゃならないということ。
 ちゃんとした紹介状なんて、英語で書いたことがないので、毎回時間がかかる、かかる。。

 特に、解剖学的用語や症状を説明するのに適した言い回しというのが、なんとも難しい。
 
 で、いろいろ探していたら、こんな素晴らしいサイトを見つけました。(英語です)

 Get Body Smart
 http://www.getbodysmart.com/

 もう、鳥肌がたつほど感動的です。

 どの筋肉がどのような動きを担うか、どの神経がどの領域を支配するかなど、実にわかりやすい。しかも、動画で動きを見られるので、非常に頭に入りやすい。

 こんな風に解剖学を勉強したら、もっと頭に入っていただろうにと思います。

 患者さんに説明するときに、こんな動く動画を見せながら説明したら、非常にわかりやすいだろうなぁ。

 ほんとお勧めです。

 

04 October 2008

社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

 Dissertationで利用した文献をご紹介します。

 これまた、いつもお世話になっている N先生の「書庫」から選び抜かれた良書です。
 
社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)
社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)
  • 発売元: PHP研究所
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 2000/06
  • おすすめ度 4.0


 著者の 山岸 俊男 教授は、社会心理学に関して非常に多くの論文を書かれていて、社会心理学に関しての最先端の研究をしており、新しい理論を構築している人としてその世界では有名のようです。
 http://lynx.let.hokudai.ac.jp/members/yamagishi/index.html
 何ともありがたいことに、Webから論文を無料でダウンロードできるようになっています。
 あー、dissertationを書いているときとか、もっと早く気付いていたらと、後悔、、

 さて、この本の副題は「環境破壊」とか「いじめ」とか、キャッチーなコピーになっていますが、中身としてはそれよりも、社会のなかで(山岸先生の研究テーマである)「信頼」というものが、どのように働いているのか、それを「ゲーム理論」などから発展した理論でもって解説されています。
 一般向けに書かれている本ですので、非常にわかりやすく、また、教育の限界あるいは目標の設置について、新たな視点を得ることができると思いました。

 キーワードとしては、
 ・みんなが主義
 ・社会的交換モジュール
 ・本当のかしこさ
 ・かしこい非合理性
 ・コミットメント
 ・互恵性原理:社会的交換ヒューリスティック
 ・感情

 読み進めていくと、コミュニティの一員として、管理者として、教育者として、家族の一員として、家庭医として、自分個人としてなど、いろいろな役割の中でこれまで自分がとってきた行動について、何か胸につかえていたものがすっきりしました。

 また、管理者として組織行動や文化、パワーバランスなどを分析する時や、認知行動療法を勧めていく家庭医として、あるいは、後輩をサポートする教育者として、自分の中に何か大きな変化をもたらしてくれそうな「理論」が、ここにあるような気さえしてきます。

 あっちこっちのバラバラな理論達の、大きな枠組みが少しずつ重なり合っている部分の一つが、この山岸先生の提唱されている新しい社会心理学的理論の一つなのかもしれません。

 面白いですよ。

 しかし、N先生の「すごい本を探す嗅覚」には、いつもため息が出るほど感動します。
 また、よろしくお願いします!

 

 

UKでの地域差ーマイバック利用率

 ManchesterからLondonに移ってきて2か月が過ぎました。
 Londonは英国第1の都市、Manchesterは、Birminghamと毎年のように第2位と第3位を取り合っているような感じです。
 
 明らかに、London, Manchester, Birminghamは雰囲気が違います。
 
 LondonとManchesterで圧倒的に違うのは、町の清潔さ。

 路上にゴミが舞い散っているのは、まぁ、UKならどこでもそうなのですが、Manchesterは本当にびっくりするようなものが路上に落ちていました。

 たばこの吸い殻、お菓子の包み紙、新聞紙、ビールの空きビンとか、「ひえー」って思うのは、フライドチキンの骨とか、サンドイッチの食べかけ。片っぽだけの靴とか、どっかのBarのガラスコップ(まだビールが入ってたりする)とか、まぁ、とにかく凄い。
 Londonは、確かにたばこの吸い殻とか新聞紙は舞い散ってますが、こまめにお掃除の人が掃除をしています。デッキブラシで集めて、スコップを「ちりとり」代りにして集めてるの。あの、ディスニーランドとか、そういうところで使ってるような「ちりとり」じゃないのよね。

 さらに「違うなー」って思ったのが、リサイクルバックの普及率。

 Manchesterで、自分で袋を用意している人って、本当に見かけなかった。
 実際に、お店の前でObservationしたわけじゃないからはっきりは分からないけど、明らかにLondonの人たちの方が、お店に買い物袋を持参している人が多い気がする。
 年配の人だけじゃなくて、男性とか、学生とか、こじゃれた格好をしているキャリアウーマンぽい人とかも、おもむろにバックから手提げ袋とか、再利用のビニール袋をとり出す。

 大きなショッピングセンターとかだと、日本で年配の方が押したり引っ張ったりして持っているような、キャリアーのついた大きなバッグとか、お店でプロデュースしている大きな買い物袋とか、自分で作ったのかなぁって思うような、おっきな布製の袋とかをもってきてたりする。

 Tescoとかのスーパーでは、買い物袋を持参してビニール袋をもらわないようにするとポイントがつくので、私もせっせと貯めています。 

 私の場合は、仕事帰りにお店によることが多いので、カバンの中に風呂敷を持ち歩いてます。重くないしかさばらないしね。
 お店では、空いたかごに風呂敷をひいて、レジを済ませた商品をそこへ入れ、きゅっと縛って持って帰ります。(雨が降ったらかぶったりしてるけど、日本人の友達から「それはやめろ」と言われちゃいました。)

 レジのところで、ぶわーっと風呂敷を広げると、結構皆さんびっくりします。
 なんじゃそりゃ、みたいなね。

 で、最後に、端をきゅっと縛って、さっさと持ちあげちゃうと、「It works!」とか「Nice!」とか言ってもらえちゃったりします。 
 ちょっと、誇らしかったりします。でしょ?でしょ?みたいな。

 Londonに来てから風呂敷について、ものすごくよく聞かれます。たった2ヶ月で、5回は聞かれてる。あるおばさまは、バスの中までついてきて「それって、どこで買ったの?」とか「どんな構造になってるの?」とか、「汚れたら洗ったらいいのよねぇー」なんて会話になりました。思わず、あげちゃいそうになりましたけど、餞別でもらったものなので、ごめんなさい。
 なので、「カーテン生地みたいなしっかりした布を四角にして、端を縫ったらできますよ。私の国では昔から使ってるものなんです」って、教えてあげます。あら、これって、商売になる?みたいに思ったりしちゃいますが(笑)

 でも、Londonでも、ど真ん中のCityなんかでは、あまりマイバックはみかけないです。
 お昼時などは、みんなお弁当を買い出しに行くのですが、サンドイッチとコーヒーだけなのに、紙袋に入れてもらってそのままゴミとして捨てちゃいます。 なので、お昼時には公園のゴミ箱は、紙袋でいっぱいになります。もったいないなー。(ま、道端にそのまま放置するんじゃなくて、ゴミ箱に捨てるだけ「まし」ですけどね。)

 なんか、こう、ゴミを減らす方法って、もうちょっとあってもいいと思うんだけどなー、なんて思いながら、タンブラー持参したり、袋を持参したりしながら、(一人でやっててもちょっとむなしくなったりしますが)、生活してるって感じでしょうか。

02 October 2008

「健康にいい生活」っていのは、やっぱいいらしい - BMJから

 このところ、Londonはぐっと冷え込んできて、皮ジャンでも寒くなってきました。
 そろそろ手袋が必要かも。
 「ちょっと風邪気味で―」っていう患者さんも増えてきました。
 はやいとこ、インフルエンザのワクチン接種を始めたいところです。

 さて、現在British Medical Association (BMA)に登録しているので、毎週British Medical Journal (BMJ)が送られてきます。General Practitioner (GP)として登録しているので、GP versionが送られてくるんです。すごいですねー BMJって。
 それに加えて、American Academy of Family Physicians (AAFP)のジャーナルAmerican Family Physicianは月2回送られてきて、Family Practice Managementも月2回、で、Society of Teachers of Family Medicine (STFM)のFamily MedicineというJournalは2か月に1冊。
 そこへ、日本からもプライマリケア学会と家庭医療学会と、その他のマネジメント系学会からも雑誌が送られてきてます。
 っていうことで、どんどん読んでいないJournalが山積みです。

 医学は日進月歩、とは言い古された言葉ですが、目の前に具体的に雑誌が積みあがっていくと、いやぁーUpdateって大変ー(泣)って感じです。。
 二次資料をいかに使いこなすかが大事だなぁって、思います。

 この間までの人類科学とか社会科学系の、特に質的研究の論文を英語で読むのに比べたら、医学系の量的研究の論文は型が分かっているぶん、随分と読みやすく感じる。
 これは、先輩達に読み方を教えてもらったおかげ。感謝、感謝。

 それじゃぁせめてBMJとAFPだけは読破したいと思っても、いやー、当分無理そうだなぁ、こりゃ。。

 さて、本題。 最近の(BMJ)から。

Dam, R. M., Li, T., Spiegelman, D., Franco, O, and Hu, F. B. (2008). Combined impact of lifestyle factors on mortality: prospective cohort study in US women. BMJ. 337(7672). p742-745.
Available at:http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/337/sep16_2/a1440

 印刷されているものよりWebバージョンのPDFの方が、詳しく書いてあります。

Objective To evaluate the impact of combinations of lifestyle factors on mortality in middle aged women.

Design Prospective cohort study.

Setting Nurses’ health study, United States.

Participants 77 782 women aged 34 to 59 years and free from cardiovascular disease and cancer in 1980.

Main outcome measure Relative risk of mortality during 24 years of follow-up in relation to five lifestyle factors (cigarette smoking, being overweight, taking little moderate to vigorous physical activity, no light to moderate alcohol intake, and low diet quality score).

Results 8882 deaths were documented, including 1790 from cardiovascular disease and 4527 from cancer. Each lifestyle factor independently and significantly predicted mortality. Relative risks for five compared with zero lifestyle risk factors were 3.26 (95% confidence interval 2.45 to 4.34) for cancer mortality, 8.17 (4.96 to 13.47) for cardiovascular mortality, and 4.31 (3.51 to 5.31) for all cause mortality. A total of 28% (25% to 31%) of deaths during follow-up could be attributed to smoking and 55% (47% to 62%) to the combination of smoking, being overweight, lack of physical activity, and a low diet quality. Additionally considering alcohol intake did not substantially change this estimate.

Conclusions These results indicate that adherence to lifestyle guidelines is associated with markedly lower mortality in middle aged women. Both efforts to eradicate cigarette smoking and those to stimulate regular physical activity and a healthy diet should be intensified.

 全米の看護師さんたちを対象にした、大規模Studyです。
 34歳から59歳の女性を対象に、健康に関する5つの要素(喫煙、肥満、運動、食事、アルコール)が死亡にどのように関連しているかというのを調査しています。

 リスクが低い、という定義は、
 喫煙:これまで喫煙歴なし
 肥満:BMI (Body Mass Index) 18.5-25.0
 運動:毎日、中等度の負荷で最低30分
 アルコール:1-15g/day 毎日1グラス位
 食事:1項目10点で合計70点で計算し、上位40%の集団を対象。以下の項目に近いほど10点。
    野菜(5品目/day)
    果物(4品目/day)
    ナッツ・大豆(1品目/day)
    魚・鳥肉対赤身の肉(4:1あるいは赤身の肉は2回/月以下)
    穀物線維(15g/day以上)
    トランス型不飽和脂肪酸(マーガリンとか:全エネルギーの0.5%以下)
    多不飽和脂肪酸(リノール酸、DHA)と飽和脂肪酸の割合(1:1)

 本文中には、全死亡数の28%がSmokingに関連、14%が肥満、17%が運動不足、13%が貧困な食生活、7%がアルコールを飲んで「いない」ということに関連していたとの記載あり。

 面白いのは、「酒は長寿の秘薬」っていうような結果。
 毎日アルコールを飲む人は、全く飲まない人に比べて、心血管による死亡率が低いらしい。
 ただし、浴びるように飲む人は、癌のリスクが上がる。
 総じて、少量から中等量のアルコールを飲んでいた人たちは、すべての死因でリスクが低くなったという結果。

 また、喫煙あり、肥満あり、運動不足、貧困な食事、ノンアルコールあるいは飲みすぎのいずれかの要素が増えれば増えるほど、死亡リスクは上がっていくという結果。

 運動不足だけど、Barでビールを毎日飲んでるからチャラになる、わけではない!
 残念でしたっ。

 どうも、Walter C. WillettとFrank B. Huが、この看護師さんたちを対象にした大規模Studyで栄養に関して注目して分析しているようです。

Hu, F.B., Stampfer, M. J., Manson, J. E., Grodstein, F., Colditz, G. A., Speizer, F. E. and Willett, W. C. (2000). Trends in the Incidence of Coronary Heart Disease and Changes in Diet and Lifestyle in Women. NEJM. 343(8). p.530-537.
 https://content.nejm.org/cgi/content/full/343/8/530?ck=nck

 ものすごく目新しい結果ではないし、「まぁ、そうだろうねぇ」っていう、非常に感覚的に納得してしまうような結果ですが、これまで以上に「食事」にもっと気を配って問診をしてみようかなと思いました。

 っていうか、自分の食生活&運動を猛反省。。 
 で、今日、スポーツクラブに入会して、桃、李、バナナ&ミックスナッツを買ってきました(笑)。

30 September 2008

Organisational culture and performance

 修士論文を書く上で、絶対に外せなかった、非常に重要と思われる論文をご紹介。
 Organisational culture(組織文化)と医療におけるPerformanceとの関連についてのレビューです。
 全文を読むには、Subscribeが必要です。

Scott,T., Mannion, R., Marshall, M. and Davies, H. (2003) 'Does organisational culture influence health care performance? A review of the evidence'. Journal of Health Services Research and Policy, (8), p.105-117.
http://jhsrp.rsmjournals.com/cgi/content/abstract/8/2/105

Objective: To review the evidence for a relationship between organisational culture and health care performance.

Methods: Qualitative comprehensive review: all empirical studies exploring a relationship between organisational culture (broadly defined) and health care performance (broadly defined) were identified by a comprehensive search of the literature. Study methods and results were analysed qualitatively to provide a narrative review with integrative discussion.

Results: Ten studies met the inclusion criteria. There was considerable variation in the design, study setting, quality of reporting and aspects of culture/performance considered. Four of the ten studies reviewed in detail claimed to have uncovered supportive evidence for the hypothesis that culture and performance are linked. All the other studies failed to find a link, though none provided strong evidence against the hypothesis.

Conclusions: There is some evidence to suggest that organisational culture may be a relevant factor in health care performance, yet articulating the nature of that relationship proves difficult. Simple relationships such as 'strong culture leads to good performance' are not supported by this review. Instead, the evidence suggests a more contingent relationship, in that those aspects of performance valued within different cultures may be enhanced within organisations that exhibit those cultural traits. A striking finding is the difficulty in defining and operationalising both 'culture' and 'performance' as variables that are conceptually and practically distinct. Considerably greater methodological ingenuity will be required to unravel the relationship(s) between organisational culture(s) and performance(s). Current policy prescriptions, which seek service improvements through cultural transformation, are in need of a more secure evidential base.
 (途中の太字は、私が付けました)

 このレビューでは、いくつかの論文をかなり詳細にわたって分析してあり、Methodologyの問題や研究の限界などに触れながら、それぞれの研究における結果をサマライズしてあります。

 たとえば、レビューされた1つの論文では、個々の小グループ同士の連携の良さはパフォーマンスにプラスの影響を及ぼしていることがわかったけれども、グループの中での(個々人の)連携の良さはパフォーマンスとは関連していない、という結果が出ていまた。

 このレビューでは、よく言われがちな「良い・強い組織文化のある所では、よいパフォーマンスが出せる」というような単純な公式は成り立たない、ということが強調されています。

 また、「文化」と「パフォーマンス」のどちらが先か、つまり、良い文化のあるところでパフォーマンスが良いのか、あるいは、パフォーマンスがいい状態が良い文化を生み出しているのか、という議論があると指摘しています。
 さらに、パフォーマンスを測定する上で、対象を分類する必要性(組織に属する個々人を焦点に当てた場合と小グループ、組織全体など)、また、その組織の属している地域からの影響(地域特性や文化、患者のニーズなど)を加味しない限りは、組織の文化・パフォーマンスを議論することに限界がある、とも指摘しています。

 学習する組織はいいパフォーマンスを出せる、と様々なビジネス書に書かれています。なんとなく大枠では「ただしそう」ですが、厳密に研究をするとなると、疑問がまだ残るようです。ただし、レビューにもありましたが、はっきりとしたプラス方向のEvidenceがないからと言って、Organisational cultureとPerformanceに関連がないとは言えない、とのこと。
 今後、さらに研究手法を工夫したリサーチが必要とのことです。

 うーん、、 
「質を改善する」ということを突き詰めていくと、本当に迷い子になってしまいます。

25 September 2008

MMR接種率

 Londonにはフリーペーパーがたくさんありますが、そのうちほぼ毎日貰ってくるのがThe London paperとLondon Liteという新聞。 サッカー記事とゴシップだらけですが、それなりに今の情勢をつかむのには、まぁ使えると。 
 それぞれに数独というパズルが3問づつのっていて、それを解きながら家に帰るのが日課です。



 さて、Liteから記事を一つ。
 [ London Lite, 24 Sep 2008, p4 ]
 
 全英の5才以下のMMRワクチンの接種率は74%ですが、London市内に限っては49%。今年の6月には10代の子供がはしかで亡くなっており、大流行をする前に接種することが望まれている。London市内の各PCT (Primary Care Trust)に対して6万GBP (1GBP=200YENとして1200万円)の予算をつけて、18歳以下の子供たちへのワクチン接種を勧めている、という内容。
(London市内にはPCTが31あるので、合計で約3億7千万円の予算が投じられているということになります。)

 本日のコラムには、辛口の内容。Shame on the selfish parents who shun MMR
 [ London Lite, 25 Sep 2008 web ]
 
 いわく、MMRワクチンを子供に接種しない親は、自己中心的で、反社会的である。 NHS (National Health Service)のコンピューターが不具合を起こしていたとしても、あるいはMMRワクチンの接種によって自閉症が起きる可能性があると思いこんでいても、それはいいわけである。 とのこと。
 
 MMRワクチンとは、measles:はしか(麻疹)、mumpus:おたふくかぜ、rubella:風疹の3つの種類が入ったワクチンのこと。 英国では、生後13カ月前後で1回目を接種し、3歳から5歳の間に第2回目(ブースター:免疫を活性化させる)を打つことになっています。
 接種のスケジュールがいろいろ変わったり、また13 billion GBP (2兆6千億円)かけたITシステムがうまく機能していないせいもあり、医療者も患者さんも混乱しているというのも低い接種率の一因かもしれません。
 日本やドイツで以前使われていたMMRワクチンでは髄膜炎が発症する可能性が指摘されていましたが、英国で使用されているMMRワクチンのなかのmumpus株(Jeryl Lynn株:ワクチンの種類)ではその可能性は限りなく低い(100万人に1人)とのことで、MMRワクチンを勧めることになっているようです。
 また、自閉症との関連性では、1989年にLancetで論文が発表されてから医療現場でも混乱があったようですが、その研究自体に疑問があり、現在では否定的な意見が多いようです。

 現在、私の勤めている診療所でも、NHSよりMMR予防接種のCatch up programmeを勧めるよう通達があり、該当するお子さんを持つ親御さんに予防接種を勧めているところです。
 The MMR catch-up programme

 日本から英国に来られているご家族では、日本での接種時期を逃したまま英国に住んでいるという方もおり、何かで受診されるごとに声をかけている、という現状です。

 少し古いですが、日本の予防接種行政に関しての問題提起を、感染症の専門医である五味先生が寄稿されています。
 日本の予防接種行政を考える
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2003dir/n2547dir/n2547_03.htm

 日本では、WHOよりはしかに対しての最も対策の遅れた国として指摘されており、2006年よりはしかワクチンの2回打ちが施行されました。が、2006年の国立感染症研究所感染症情報センターが実施した全国調査においては、就学前児童のワクチン接種率は29.4%とかなり低い結果が出ています。
 また、
 昨年、日本では大学生のはしか大流行があったばかりですが、国立感染症センターの統計では2008年9月17日現在で、すでに10,774件報告されています。
 国立感染症センター 麻疹発生状況 2008年第37週
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

 麻疹を撲滅するには95%以上の接種率を目指すべきとWHOが勧告を出しており、日本は2012年までにそれを達成するべく取り組みが行われている、ということですが、、

 いずれにせよ、毎日患者さんを診ているPrimary careの現場の医療者たちが、本腰を入れて取り組まないといけない課題の一つです。 子どもを診ている小児科医だけでなく、子供のいる親を診療したならば、あるいは孫のいる祖父母を診たならば、「お子さん(お孫さん)の予防接種はお済みですか?」と一声かけることも、家庭医としては必須です。

 これからインフルエンザワクチンを接種する時期に入ってきます。
 英国や米国では、1度に2種類以上のワクチンを打つことは普通ですが、日本ではまだまだ実行が難しいかもしれません。それでも、スケジュールを組んで、しっかり勧めていきたいですよね。

 ただでも忙しい診療の中で、どうやってワクチン接種を勧めていくか。これは、システムを改善する必要もあるでしょう。電子カルテでアラートが出せるなら、18歳以下の患者さんが来たときに、自動的にワクチン接種歴について問診するアラートを出すとか、紙カルテの間にリマインダー用紙を挟む、受付の時点でハンドアウトを渡すなど、診療所・病院全体での取り組みが必要になってくると思います。接種希望があった際に、すぐに打てるよう在庫を管理するなど、薬剤部との協力も不可欠です。
 日本でも、英国でも、あるいは世界のどこでも、その地域を守る意味でPrimary careを担うものとして、心して取り組みたいと思います。

羊が一匹、羊が二匹、、


 LondonとManchesterを往復するにはNational Railを使うのですが、その間の田園風景が本当に心を和ませてくれるので、私はとても大好きです。
 
 右の写真は、電車の中からとったものです。
 白く見えるのが、みんな羊です。
 7月、8月にはいたるところで羊が放牧されていました。いまは、飼料を刈り取って冬支度をしている平原が多くなってきました。

 こうした風景を見るたびに、「あぁーUKだなぁー」って思います。

 もともと移動中が一番仕事がはかどる(原稿書きやら資料づくり)のですが、列車の中でがーっと仕事をしている合間に、フッと外に目をやると羊がのんびり草を食んでいるのが見られるので、ホッと一息つくにはもってこいです。

 それに、レンガが崩れそうなくらいに古い民家や教会など、UKの田園地帯をながめるのは本当にほっとします。

 いつか、ゆっくり田園地帯を旅して、「なぁんにもしない旅行」というのを計画したいなぁなんて思います。

21 September 2008

先に見える扉 その1:Anthropology

 Healthcare managementというものの見方で1年間学びを続け、含まれるSubjectのすべては網羅できなくとも、なんとなく「こんなかんじ?!」というのがわかったようになり、少なくとも、どの分野についてはどのJournalがいいとか、どのあたりの本を探せばいいのかという見当はつくようになりました。

 Dissertation(修士論文)を作成するにあたり、思考があっちに行ったりこっちに行ったりしながら様々なAcademic subjectsに出会いました。

 その中の一つが、Anthropology (人類学)です。
 ま、これは、「あなたの興味の分野はAnthropologyじゃないの?」とMentorやら先輩方から指摘されて気がついた、というものですが。。

 そもそも高校生の時に「人って何なのか、知りたい」という動機から、なぜか医学部を受験したことを振り返ると、最初からSociology(社会学)やAnthropologyが学びたいことだったのかもなぁ、、なんて思っています。
 けれども、医師という仕事、家庭医という役割、Healthcare Managementという見方を経験した今が、一番Anthropology/Sociologyを学ぶのに適した時期、なのかも、しれないです。

 さて、じゃぁ、Anthropologyってなんだ?ってことで、大学の図書館から借りてきました。
 その名も、
 What is anthropology
 Thomas H. Eriksen (2004) London:Pluto Press

 その中に定義として、一言で言うならば、Anthropologyとは、
the comparative study of culture and society, with a focus on local life.

 と書かれています。(Eriksen, 2004:p9)

 以前は、人類学というと、どこかの未開の地に行って新しい人類の生活スタイルを発見するとか、人類の文化に序列をつけて、どこの地域(文化)がより発達してるとかしてないとか、って言うことを議論していた(18世紀まで)そうなんですね。
 それが、19世紀に入り、その特定の地域に存在する文化はその地域独自のものであり、他の文化と比べてどちらが優位とかいうものはなく(Cultural relativism)、その地域に特異的で独自の歴史的発達を遂げており、どの文化も通過するといったような発達段階などはない(Historical particulatism)というような考え方が出てきたんだそうです。(個人的には、こうした「序列なんてない」という考え方が、USのAnthropologist(Franz Boas)から提唱されたのが興味深いですが。)
 
 自分の「外」や「違うもの」を認識することを通じて、普段はなかなか意識に上ってこないような('homeblindness' (p15))自分の「内」や「あたりまえ」というものが、その地域や習慣に基づくものだという認識をすることが、Anthropologyを学ぶにあたって大切なんだそうです。

 また、研究方法の一つとして、研究対象の地域にどっぷり浸かって一緒に生活しながら研究を進めるというparticipant observationというのも、この分野の研究手法でよくつかわれるもののようです。

 まだほんの少ししか読んでいませんが、こうしてみると、家庭医として働いているということで、Anthropologcalな視点が育つなぁなんて思いました。その地域にどっぷりつかり、その地域で生活し、その地域の独自性を認識しながら、その地域の問題に対処していこうとするのですもんね。常に頭の中は、「何で?どうして?」を考えているあたりなんかもね。(あ、ちょっとこじつけですか?)

 Anthropologyの中にも、またいろいろわかれているようなので、それはまた後々ってことで。 
 

20 September 2008

7つの習慣: 7 habits

 今さらって感じですが、英語で読んでみて、なるほどーって思ったので、日本語ではどんな風に表現してるんだろうと思って、再度読み返してみています。

7つの習慣―成功には原則があった!
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 昨日、Londonで大変お世話になってるN先生とも話したのですが、これって、これまでの哲学者やいろんな著名人達がいい伝えてきたものを上手くサマライズしてくれてます。

 でも、
 「それはわかってるけど、それが出来ないっていうのが困ってるんじゃん!」
 ってかんじ。

 ただ、「人にはそれぞれの使命があり、それを達成するために一番大切にすべきことを中心に、生きていきましょう」というのには納得。
 本の中の例で、マネジャーは森を切り開くときに、効率よく切り開くための方略をつかさどっており、リーダーというのは、その森を高いところから見て、切り開くべき森かどうかを見極める、というのがあります。
 自分自身の中にマネージャーとリーダーがいて、えてしてマネージャー(いろんなツールを使って効率よくタスクを進めていく)が主導権を握り、リーダー(どこに向かって進んでいくか)がしっかりしていないことがあります。そうすると、間違ったところに早く着くだけで、結局本当の目的地には、たどりつけない。

 Time managementやいろいろなツールは、「自分自身が何を一番大切に思っているのか」という自分のミッションステイトメントがあって、初めて生きてくるものなんだよなぁーって、痛感。もうちょっと、右脳(直感)だけじゃなくて左脳(分析)も使わないとな、うん。

 いろいろな自己啓発系の本や教育学、マネジメント系の本を読んで、うーんって頭がごちゃごちゃになっているときに、再度読み返してみると、ふっと繋がるところがあったりします。
 あぁ、そうだった、そうだった。私が目指しているのは、こっちじゃなくてあっちだった、みたいな、ね。

Infection control vs Environment

 UKで生活をして1年がたちますが、今もまだ、毎日1つは驚いてしまう日々を送っています。
 そんな中、UKで医療を行うようになって、何しろ驚いたことの一つ、それは

 外来で使用する医療器具は基本的に「全て」ディスポーザブル

 ということ。

 たとえば、小さな傷を縫うとき、日本であれば、洗浄・消毒して滅菌されたセッシ(ピンセット)やはさみを使います。 利用し終わったら、また洗浄・消毒の上、滅菌します。切れ味が悪くなれば刃を研ぎます。大きな病院では、医療材料部などの部門が、せっせときれいにしてくれています。

 が、UKでは、1回使いきりで、その後は全て「医療廃棄物」として捨てます。
 水いぼを取ったピンセット(ステンレス)も、ガーゼを切っただけのハサミ(ステンレス)も、膣内を観察するのにつかったクスコ(プラスチック)も、傷を縫うために使ったカンシや持針器(ステンレス)なども、すべて「ゴミ」になります。
 使う時には、滅菌済みの紙袋から取り出し、使ったら、すべて医療廃棄物用ゴミ箱行きです。
 ですから、処置台の上にセッシ立てやガーゼカストなんてものは見当たりません。

 思わず「もったいないなぁ、、」というのが感想。
 洗って消毒すれば使えるのになぁ、医療廃棄物として捨てるとなると資源は回収できないようなぁ、埋立地はどうしてるんだろう、、などと考えてしまいます。

 また、点滴の容器やチューブも、分別ではなく、すべてのルート(点滴パックから点滴の針まで)を一括してゴミ箱行きです。

 なぜそうした処理方法になったのか、この医療廃棄物はどのようにして処理されているのか、などについては、これから調べてみようと思っていますが、いやぁ、全部捨てちゃうというのはなぁーという感じ。
 いずれ地上のすべての鉱物の原材料がなくなった時、こうしたステンレスを掘り返すことになるんだろうかなどと、えらい先のことまで考えてしまいます。

 再利用するにもコストがかかりますが、捨ててしまうのにも当然コストがかかる。
 おそらく、医療事故などのコストも考えた上での判断なのでしょうが、何しろびっくりです。 全部洗って、消毒して、医療器具が足りなくて困っているところに出荷したらどうだろうなんて、考えてしまいます。(たぶん、医師法違反でしょうね、これは。)
 
 何かいいアイデアはないもんかと思ってしまいます。

17 September 2008

Healthcare Management

 まずはHealthcare Managementの守備範囲について、また今現在議論になっていることなどについて網羅したものを読むとしたら、これ。

 
Healthcare Management
Healthcare Management
  • 発売元: Open Univ Pr
  • 価格: ¥ 6,116
  • 発売日: 2006/11/30


 MSc Healthcare ManagementのHealth Policyについて講義してくださった Kieran Walshe が編集されたもので、まずはこれを読むことで、大枠について理解ができます。

 課題のEssayを核にあたって、まずこれを読んで、それから参考文献を当たり、どんどん孫引きをしていくという方法をとりました。

目次
1) Introduction: The current and future challenges of healthcare management
2) The politics of healthcare and the health policy process: implications for healthcare management
3) Financing healthcare: financing systems and healthcare costs
4) Healthcare systems: An overview of health service provision and service delivery
5) Managing healthcare technologies and innovation
6) Health and Well-being: The wider context for healthcare management
7) Managing in primary care
8) Managing in acute care
9) Managing in mental health
10) Service and capital management
11) Healthcare system strategy and planning
12) Healthcare commissioning and contracting
13) Information technology and information systems: so beguiling, so difficult
14) Human resource management in healthcare
15) Working with healthcare professionals
16) Governance and the work of health service boards
17) Managing in partnership with other agencies
18) Performance measurement and improvement
19) Leadership and its development in healthcare
20) Organisational development and organisational design
21) Personal effectiveness
22) Appreciating the challenge of change
23) Managing resources
24) Managing the people: the dynamics of teamwork
25) The user perspectives and user involvement
26) Quality improvement in healthcare
27) Research, evaluation and evidence-based management
28) Conclusion: complexity, challenge and creativity in healthcare management

Finish!


 またまたご無沙汰をいたしました。
 日本ではまだ残暑が厳しいと聞いています。台風の接近も心配ですね。

 さて、先週の土曜日、この1年間のMasters programmeの最後の課題であるDissertationを提出いたしました。
 Time managementについて人に語ることもあるというのに、やっぱり直前まで(提出日の午前10時まで)あーでもない、こーでもないと書き直し続け、最後には、とりあえず形にして提出、という感じになってしまいました。

 PassかFailかは、11月にならないと分からないですが、なんとかPassしてたらなぁと願っております。

 テーマは、なぜ日本のPrimary care の現場では、数多くの患者さんを待ち時間が少ない状態でManage出来ているのか、ということをCase studyとして解析するというものです。

 そもそもは、英国のNHS(National Health Service)での(日本の感覚からは)想像を絶する待ち時間(Waiting lists)があるということがどうしても理解しがたく、最初の授業を受けたときからずーっと疑問になっていたからなのでした。
 本来なら、NHSを舞台にResearchをしたかったのですが、さまざまな制約があり実現しがたい現実があり、逆に、なぜ日本では可能なのか?という質問に置き換えて、かつてお世話になった日本の診療所についてのCase studyという形をとりました。

 Researchは、質的研究の手法をとり、Overt Observation(観察されている人たちが観察されていると分かる状況での観察研究手法)と、Group interviewという方法をメインに、診療所の背景や研究機関に診療所をおとづれた患者さんの数などを提示し、なぜ多数の患者さんの診療を、検査なども含めて「その日のうちに」終了させることができているのか、看護師さんたちの働き方に焦点を当ててStudyをすすめていきました。

 Observation、Interviewを通じて、これほどまでに「できる」看護師さんたちに囲まれて仕事ができていたのだと、本当に感謝し、またさらに、どうしてこうした看護師さんたちが生み出されるのか、どういった要素が彼女たちのモチベーションに影響しているのか、さらに興味がわいてきました。
 日本の看護教育の特徴や、日本語の持つ言語の特徴、ものづくりなどに代表されるPerfectionism、Networking理論、組織文化、Operation managementなどなど、関連する分野は多岐に及び、到底Masterレベルで決着のつくものではない、ということがわかっただけでも収穫でした。

 このDissertationを勧めるにあたり、私のTutorになってくださったのは、Dr. Gill Harveyで、UKの看護に関する質改善のエキスパートでもあり、最近NHSにおけるQuality improvementに関するレポートをまとめた一員でもあります。仕事におけるキャリアもさることながら、小さなお子さんを抱えるお母様でもあり、またUKでも偉大なRole modelに出会うことができました。

 今後のBlogでは、Manchesterで出会った友人たちからの学びや、Moduleで使用されたText、論文を書くにあたって参考になった文献などを紹介していこうと思います。

 そうそう、2008年7月より、Londonにて仕事を始めました。
 日本人クリニックでGeneral Practitionerとして、臨床現場で働いています。
 やはり、患者さんと向かい合うということは、本当に刺激的で興味深くて、こうして医師として働けていることを有難く思う毎日です。

 それでは皆様、当分ご無沙汰でしたが、またお付き合いくださいませ。

 

28 June 2008

御無沙汰でございます

 気がついたら、2か月も更新しておりませんでした。 すみません。
 その間も、訪問してくださった方がいらっしゃったようで、ありがとうございます。

 Draftはたくさんあるので、Uploadできる形にして、少しずつ上げていくようにしたいと思ってます。

 いまは日本に帰ってきていて、またまた色々感じることがあります。

 やっぱり、日本のお米はおいしいなぁとか、
 電車は本当に遅れないなぁとか、
 みんな赤信号で待ってるなぁとか、
 お店の店員さんは丁寧だなぁとか、
 魚がたくさん売ってて美味しそうだなぁとか、
 湿度が高くてお肌がしっとりだなぁとか、
 やっぱり温泉は何にも代えがたいよなぁとか。

 改めて気がついて、びっくりしたというか、不思議な感じになったことがいくつか。

 電車やバスに乗って、乗客の皆さんを見渡すと、みんな髪の毛が真っ黒なんですね。当たり前ですが。 でも、英国も、この間訪問したスイスでも、「真っ黒」っていうことは、まずない。
 たまに、茶色く染めた人がいたりしますが、でも、そんな「真っ黒な頭たち」を見ていて、あぁ、やっぱりアジアなんだなぁって思ったりします。

 それから、化粧品売り場で、ファンデーションを見ていた時、すごく色の種類が少ないなぁって思った。 多民族がいるところだと、本当に真っ白な色からこげ茶くらいまでの色が、ずらーっと並ぶ。 それに、なんだか日本人のモデルさんの顔立ちとかメイクが、「同じ」に見える。 

 ちょっと変わった髪形をしたり、服装をしたりすると、日本ではすごく「見られている」気がする。 スッピンでGパンにシャツだと、ダメかしら? 振り返られちゃうことがあるくらい。 
 Manchesterでは、まずそんな経験はしたことがない。 だって、肌の色も、洋服も、髪形も、メイクも、みんなそれぞれ全然違うんだもの。 半袖の人とダウンジャケットを着た人が同時に道を歩いているってことが、普通にあり得る。

 「同じことが当たり前」っていうことが、「違うことが当たり前」って言うところに行くことで、初めてわかる。
 「違うことが当たり前」って言うことに慣れてくると、「同じことが当たり前」っていうことが「あり得る」ということを忘れちゃったりする。 で、忘れちゃってるってことに、気がつく。
 2つの国を行ったり来たりすることで、毎回いろんなことに驚いたり、ありがたく思ったり、妙に納得したり、発見がたくさんある。

 どっちがいいとか悪いとかじゃない。
 ただ、もっと「違う」ってことを楽しんだり、「同じ」っていうことを試してみたり、してもいんじゃないかなぁって思う。 

 文化でも、習慣でも、学問でも、生活でも、違うものの間を行ったり来たりすることで、新しい発見って、もっとできるんじゃないかなぁ。
 

24 April 2008

Elegant かどうか - Lean Thinking

 ただいま、フランスはパリで開催されている International Forum on Quality and Safety in Health Care に参加しています。
 http://internationalforum.bmj.com/

 もともとは、ヨーロッパとアジアで分けて開催されていたそうです。
 BMJのMLでお知らせがきて、大学院の課題が目白押しだというのに、その魅力的な内容と大学のLecturerのお勧めもあって、急遽参加することにしました。

 1日目は、Better quality through better measurement というコースに参加し、
 2日目は、Cutting Edge research for improvement in health care、Lean thinkingという2つに参加しました。
 まだ明日もありますが、コースでの学びは順次記載していこうと思います。

 ともあれ、今日のコースであまりにも感動的なことがあったので、薄れないうちに書いておこうと思います。

 午後からのコース Lean Thinking では、Sweden, Canada, UK (Bolton-NHS England, Liverpool-NHS England, Wales-NHS Wales)の5つの地域での、実際にLean Thinkingを医療の現場にあてはめて成功した事例が紹介されました。

 Lean Thinkingとは、「作業の流れ(Flow)の中で無駄を省いて質を最高まで高める」という質改善の考え方。Toyota方式に代表される、もともとは製造業で発達してきた質改善の考え方・手法です。Leanとは、ぜい肉をそぎ落とすという意味。1980年代に、米国のResearcherがToyotaを代表する製造業を研究したあと、1990年代に米国で広まり、その後日本に戻ってきたという、逆輸入された(行って、戻ってきた)考え方です。

 この考え方を、医療の質改善にも取り入れようということで、英国でも数年前から NHS Institute for Innovation and Improvementという機関が旗振り役となって、積極的に取り入れられるようになってきました。
 www.institute.nhs.uk/ServiceTransformation/Lean+Thinking

 5つのケースでは、患者さんの待ち時間の短縮、日帰り手術のフローの改善など、目を見張るほどの改善がありましたと報告されました。
 どれも素晴らしい「Kaizen:改善」には違いないのですが、どれを聞いていても、
 
っていうか、大規模なProjectにするまえに、誰かが工夫とかしなかったのかなぁ

 という疑問がわいてきました。

 たとえば、
  •  日帰り手術では、1日平均16件の手術を行う時に、朝一番にすべての患者さんが病院に到着し、数時間待ってから手術に入る
  •  流し台の周囲に水あかがこびりついて、感染の温床となっている
  •  予備の物品置き場が乱雑で、物がどこにあるか分からない
  •  病棟の器具(車いす、点滴台、輸液ポンプなど)が一か所にまとめておかれて、ごちゃごちゃ
 こうしたことを、院内の大規模プロジェクトとしてやらないと、改善できないものなのか?っていう疑問。
 次の人が使いやすいようにちょっと気を配る、っていうことはしないのか?っていう疑問。
 汚い状態を誰かが片付けるとかしないのか?っていう疑問。

 日本の医療機関だと、看護婦さんたちが日常業務の中で、どんどん工夫していっていると思うんですけど、いかがでしょうか?
 たとえば、包交車(病室でのケアの際にガーゼや注射器、薬などをまとめて移動できるようにセットされた作業台)の脇などに手製のマルチポケットがくっつけられていたりとか、在庫置き場には戸棚ごとにラベリングされていたりとか、なんていいますか、日常的に少しずつ改善していっているように思います。

 もちろん、5つの事例では、こうしたプロジェクトを行ったことで、
  • チームワークの向上、
  • 医療者が質改善に対して積極的になる、
  • 改善することで職員と患者さんの満足度が上がる、
  • フローが改善して回転が速くなることで時間外労働短縮、
  • 収益の増加にもつながる
 という、素晴らしい結果となったことは、プロジェクトとしてやったかいがあったというものです。

 ただ、こうした質改善の試みを持続的なもの(Sustainable)としたり、プロジェクト以外の部分への質改善の広がりという観点からみると、プロジェクトに注目した質改善だけではなくて、Lean Thinkingのコアの考え方(というか、哲学?)の一つである 5-S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を組織の文化(Organisational Culture)としていくことが大事なんじゃないかなぁと思ったわけです。

 「整理・整頓」なんて、小学校の時に黒板の上にでかでかとクラスの目標みたいにして掲げられてたよなぁ。 
 そうそう、本当に小さなときから、この5つって、礼節・作法の一つとして教え込まれてきたように思います。
 物や行為がきちんと流れて、それが「美しいかどうか」というのが5Sの根底に流れているように感じます。
 竜安寺の石庭や茶室に代表されるような日本の美しさと、製造業の質改善と、一見つながらないように見えるのですが、思うに、職人さんたちの仕事に対するこだわり方や和食の下ごしらえの方法や盛り付け、お母さん達の掃除の仕方なんかにも、「美しさ」っていうのが、根底に流れているような気がしています。

 で、セッションの最後に、感想として「Lean Thinkingを、MethodsとかStragetiesとかっていう見方だけではなくて、5Sに代表される個人の態度にまで注目して、組織分化の変化というレベルまで持っていくことが、継続的な質改善(Continuous Quality Improvement)へつながる重要なポイントじゃないかと、日本人として思うんですけど、いかがでしょうか?」って聞いてみました。

 プレゼンターからも、その組織分化の変化の重要性はかなりはっきりしてきているというコメントをいただいて、さらには、座長から、「Lean Thinkingでは、Elegantかどうか、ということがとても大切だ」とまとめていただきました。

 この、Elegantかどうか、っていうこと。

 NHSなどでLean Thinkingの導入に際して失敗した原因を分析している論文で、Elegantなんていう言葉は、まず見つからない。 大抵は、システムの構造が違っていたとか、Top managementが気を配っていなかったとか。 Elegantかどうか、っていうのをどう評価するんだっていう問題があるので、はっきりさせることができないというのも、一つの理由だと思います。

 でも、このElegantかどうか、つまり、美しく洗練されているかどうか、っていうのがLeanの要だと思ってきたので、座長からこの言葉を聞いたときは、「それです!通じてる!」って思って、鳥肌がたつほど感動しました。

 セッション終了後、座長に駆け寄って話をしていたところ、さまざまな国の方々とLean Thinkingに流れているものの見方について意見交換をすることができました。
 質改善の論文を読んでいた段階では、日本の美しさっていうものは、「言っても分かんないだろうなぁ、伝わらないだろうなぁ」って思っていたのですが、長年にわたって医療の質改善に取り組まれてきた各国の先駆者の方々は、表現の違いこそあれ、日本の美しさへの理解がとても深い方ばかりでした。
 これは、かなりの驚きでした。 
 チェコ、スウェーデン、UK、USAの方々と、「英語」で話をしているのでなかなかしっくり表現できないもどかしさはありましたが、それでも、とても大きな収穫でした。

 じゃぁ、次の疑問として、「Japanisation:日本化」しないとLean thinkingは継続できないのか?
 そうだとすると、軽く2世代分の時間はかかるでしょう。

 どの国の文化にも、無駄を省くことや、時間を大切にすること、美しさについてなどの格言があるように、日本の文化と共有できる部分があると思います。 そこを足掛かりに、その文化やContextにあったLean Thinkingの導入の仕方があるんじゃないだろうか、そんな風に思います。
 

23 April 2008

天気のいい日はピクニック

 このところ、EssayだのPresentationだの、そのフィードバックが結構きつものだったりして、はぁ、、疲れたなぁと思っていたところに、クラスメートから嬉しいお誘いがありました。

 春の公園でピクニック!

 本当なら、「そんな時間があるなら、論文の一つでも読みなさい!」なのかもしれないですが、いやぁ、心が満たされるというのは、Tasksをかたずけるのにも本当に必要なことだと実感しました。

 英国の素晴らしいところの一つだと思うのが、とにかく街中に公園がたくさんあること。 春がきて、木々は芽吹いて、花が咲いて、それだけで幸せな気分になります。

 そこへもってきて、「公園に行ってピクニックしない?」っていうお誘い。 
 そりゃぁもう、「いくいく!」

 友人が大事そうに抱えて持ってきてくれたのが、バナナと山もりのイチゴと、そして温めてディップできるようになったチョコレート! 

 Oh my god!!! こんなにSweetなことって、ほかにある?! 

 友人は、いつもLogicalな議論をするのが好きで、とてもこんなSweetな発想をする人じゃないと思っていただけに、驚きです。

 
 あぁ、なんて魅力的。。。
 とってもジューシィで、それはそれは甘いイチゴでした。

 リスが走りまわり、鳩が羽ばたく公園で、イチゴをほおばりながら、お互いの国の違いや文化の違いや、なぜそういった文化背景になるのかなんていう話で盛り上がっていたところに、たまたまほかのクラスメートも通りがかって、さらに話は盛り上がる。

 政治の話や、国の開発の話、たくさん話をしました。

 私のコースのカリキュラムは、Part-time students が通学しやすいように、授業はまとめて数日で行われるので、クラスメートと実際に会って話をするという機会が、他のコースに比べて格段に少ないのです。 でも、こうしていろんな機会を作って、相手の国のこと、医療のことなどをさまざまな角度から議論するのは、本当に楽しい。
 
 これまで名前は聞いたことがあっても、地図上でどこにあるかすらも知らなかった国のことが、本当に身近に感じられるようになるし、もっともっと知りたいと思うようになります。
 その国の世界でおかれている立場を理解したり、自分の全く知らなかったところで日本との非常に強いつながりがあることを知ったり、「世界に友人を持つ」って、想像以上に刺激的です。

 私のMentorの一人は、常日頃から、たとえ同じ文化圏で育った人と交流することであっても、人を知るということは「異文化交流である」と教えてくれておりました。医師として患者さんに出会うことも、異文化交流である!と。
 本当に「異文化」で育った人たちと、自分の中にある考えを元に話をするということは、計り知れない学びがあると、実感します。

 いやぁ、難しいことは抜きにしても、本当に心が満たされました。
 
 今度は、本格的にお弁当を持って湖に行こう!
 

05 April 2008

春が来た


 Manchesterにも春がやってきているようです。
 それでも、ときに最高気温が4度なんて時もありますが。。

 街中のいたるところに芝生が植えられていて、その中の大きな木の根元などに、クロッカスやスイセンが咲いています。日本のように、小さな花壇やプランターに植えられていることはすごく稀で、多くは道端の小さな緑地や公園に群集して咲いています。 誰が手入れをしてくれているんでしょうか。
 上の写真は、いつもの校舎(Manchester Business School)の脇にある緑地で撮ったもの。
 2羽の鳥が花畑の中で追いかけっこをしていました。 かわいい。。。

 晴れた日に、芝生でお弁当なんて最高だなーって思うのですが、風がまだ冷たくてちょっと凍えそうなので、まだできません。。
 もう少し暖かくなったら、近くの川や湖に行って、散歩した後に「お弁当~!」なんてやってみたいなぁ。

 なんていう花か分かりませんが、非常にきれいな青です。吸い込まれそうな青です。







 英国でも木瓜(ボケ)の花が植えられてるんですね。
これは、教会の脇に咲いていました。
ボケってJapanese quince (Chaenomeles:Chaenomeles japonica)っていうんだそうです。
父はこの花が大好きなので、思わず父を思い出しました。
あ、父が好きなのは寒木瓜のほうだったかな?あら?




 八重の桜は咲き始めていますが、まだまだソメイヨシノ(?)のような、いわゆる「桜!」は、もう少し先になりそうです。
でもやっぱり、春は桜ですねー。 桜を見ないと春が来たような気になりません。
大学のキャンパスに桜並木があるので、満開になったら見に行かなくちゃ!

 

04 April 2008

なんて言うかなぁ。

 別にどうって事はないんですけどね。

 ← このホッチキスの止め方。

 なんて言うか、こう、「気が利かないなぁ」と思うわけです。

 ページをめくるとね、ホッチキスのところから破けちゃうでしょ。 それじゃぁ、ホッチキスで止めてる意味がないじゃん、って思うわけです。

 クラスで配られた資料なんですけどね、別に周りは気にも留めていない(様子)。
 気にとめて、「うーん、、いけてないなぁ。。」ってNegativeな気分になるほうが損してるかんじ。

 けど、もし、日本での会議とか資料とかでこんなホッチキスの止め方したら、間違いなく「気が利かない」って判断されるように思うんだけど、いかがでしょうかねぇ。

 こっちに来てから思うのが、「次の人のことを考える」っていうのを、あんまりしない気がする。
 重たいドアを次の人のために支えて待っているっていうのは、それが「礼儀だ」って決まり事みたいになっているからだろうけど、決まり事になっていないことに関しては、全くやらない。

 スターバックスでコーヒー飲んでも、ゴミはそのまま。っていうか、ゴミ箱自体が店に存在しない。(あり得ない。)
 バスに乗っても、道を歩いていても、電車に乗っていても、食べたものや新聞、ゴミをそのまま放置。最悪、ガムをそのまま吐いて捨てます(怒)

 週に何回かは、City Councilのゴミ収集車が、歩道に散らかっているごみ(チキンフライの骨、ピザのボックス、ポテトチップスの空袋、たばこの吸い殻 etc..)を集めていきます。その予算がもったいない!

 たとえば、デニッシュとか食べるとポロポロテーブルにカスがおっこっちゃうでしょ、で、なんとなく席を離れる時にナプキンとかできれいにしませんか? 食べかすをそのままにしておくのが、なんとなく引け目を感じるというか。
 けど、こっちだと、どんなに洒落たCafeでも、テーブルもソファーも食べかすでいっぱいです。

 仕事の仕方も、自分の次の仕事をする人が仕事をしやすいように、「ほんのちょっと気を利かす」っていうので、随分無駄な時間や労力が省けると思うんですけどね。ゴミの分別がいい例だと思います。

 気を利かす、気を回す、気を遣う、気に留めるっていうあたりが、ToyotaのKanban方式だったり、Leanだったりすると思うんだけど、そのあたりに触れた論文にはまだ出会ってないなぁ、そういえば。 

 え、そのあと書類はどうしたかって? 
 もちろん止めてあったホッチキスをはずして、90度回した角度で止めなおしましたよ、ええ(笑)
 

03 April 2008

ふろしき

今日は大活躍中の「ふろしき」について。

日本を出発するときに、同僚の若手医師たちから餞別としていただいたのが、大判の風呂敷。 私の大好きなSybillaのデザインで、Decoというシリーズのもの。大きさは118x118とかなり大きめです。綿でできていますが、しっかりした素材なので、少々の重たいものなら全然問題なく運べます。
プレゼントしてくれたみんな、ありがとー!重宝してます!

追加注文したのが、Grosellaシリーズの75x75のもの。

こちらに来てすぐは、なかなか使う機会がなくて、壁にタペストリーのように飾っていたのですが、すぐにその出番はやってきました。

 まず、お買いもの。
 綿や麻でできたショッピングバッグはこちらでも売っているのですが、あまり可愛くない。
 Body shopのエコバックを持ち歩いていますが、いまいちたくさん入らない。
 で、この風呂敷を持っていくことにしました。 レジでチェックしてもらったら、買い物かごの底に敷いて、そのうえにどんどん商品を入れていって、風呂敷の端をしばれば、はい!、そのまま持って帰れます。 汚れたら洗えばいいもんね。

 つぎに、お洗濯の時。
 いまは、大学の寮に住んでいるので、洗濯するときは敷地内のコインランドリーまで洗濯物を持っていかないとなりません。 クリーニング用のケースも売っていますが、最後には荷物になりそうで買うのをためらっておりました。 で、また風呂敷。 洗濯物を包んで持っていけば、中に何が入っていても見えないし、そのまま風呂敷も洗っちゃって、乾燥したらその風呂敷に包んで部屋に持って帰ればOK。

 ケーキやワインを持っていくとき。
 焼き立てのケーキを持っていくとき、ビニールだと蒸れちゃう。 でも、風呂敷なら形も自在だし、水平を保てるし、もってこい。
 さらに、ワインなんかをホームパーティに持っていくときも、風呂敷を使っちゃえば別のカバンを用意しなくていい。

 旅行の時。
 スーツケースに物を仕分けて入れる時に、ポーチとかビニールとかを使ってたけれども、ポーチが結構かさばる。で、洋服やなんかを風呂敷で包んでしまうと、スーツケースの中がすっきりして整理しやすい。ついでに、現地での買い物の時にも使えるし、「手荷物は1つまで」とかいう飛行機の搭乗の時にも、全部まとめて一包みにしちゃう。

 あとは、使わない時なんかは、プリンターとかあまり見せたくないものの上にかけておけば、カバー代わりにもなるし、Sybillaのデザインも見ていられるし、かなり気に入ってます。

 留学ときに1枚あると、なかなか便利だと思いますよ。
 

02 April 2008

お国柄 in 携帯電話


 先日まで全く気がつかなかったのですが、こちらで購入した携帯電話の文字盤に、「日本語」がないんですね。 当り前ですが。

 で、顔文字 (^-^)/~ を書こうにも、「^」が含まれていないので、書けない。 いまだに、英語でTextを打つのは慣れません。







 で、アラビア語を母国語とするClassmateの携帯電話を見せてもらったところ、なんと、アラビア文字が書かれていて、思わず写真を撮らせてもらいました。

 何度見せてもらっても、アラビア文字は全く判読できません。右から左に書くし、日本語の草書や英語の筆記体みたいに、続けて書くんですもん。
 どうみても、「デザイン」のように見えてしまいます。

 ひらがなの「て」に点が上や右にくっついた様に見えるものも、全部ちがう文字なんですよね。(文字盤6)






 うーん、やっぱり、見慣れています、こちらの方が。

 こうなってくると、ほかの言語での携帯電話の文字盤がみたいですねぇ。
 韓国語とか、ヨーロッパ言語(特に北欧)。

 

30 March 2008

Cultural Exchange

 私のクラスには、実に多くの国からの学生が集まっています。

 パートタイムで受講するのはほとんどがUK nativeさんたち(多くは、NHSで実際にManagementに携わっている方々)に加えて、フルタイムの学生は皆International!
 全部の国籍を上げてみると
  •  India
  •  Japan (私です)
  •  Kuwait
  •  Nigeria
  •  Pakistan
  •  Saudi Arabia
  •  South Africa
  •  United Kingdom
 いったいここはどこなんだと思うほど、国際色豊かです。
 英語で会話しているそばで、アラビア語やウルドゥ語、ヒンディー語が飛び交います。
 
 こうしてみんなで勉強するまでは、Nigeria人にも、Pakistanの人にも出会ったことはありませんでしたし、KuwaitやSaudi Arabiaなんて、えらく遠い存在でした。
 それぞれの国の情報は、日本語に翻訳されたニュースでほんのちょっとかじるだけで、暮らし振りや経済状況、信念や宗教、文化や言語なんて全く理解していませんでした。

 それが、クラスでのディスカッションを通じて、あるいはランチやディナーを一緒にすることで、たくさんのことを学ぶことができました。それに、ぐっとそれぞれの国が近づきました。

 みんなそれぞれ違うんだ。

 実に当たり前で、今更言うほどのことでもないのですが、普段は(少なくとも日本にいるときは)意識しないと忘れてしまうことでした。違う、という程度がはるかに大きいのです。

 たとえば、時間や約束に対しての考え方、世の中のとらえ方、問題解決の指向、家族の在り方、宗教と自分の関係、将来に関する考え方、などなど、「ほー。。」と思わずつぶやいてしまいます。

 もちろん、一人の人の振る舞いを、その国のすべてに対してGeneraliseすることは難しいかもしれません。でも、その人を窓口にして、その先の世界を見ることの楽しさというのが、本当に大きくなりました。

 先日、BBCで世界の庭園という特集をやったそうで、その翌日、数人のクラスメートから
日本にすばらしい庭園があると言っていた。いったいあれはどの庭園なんだ?実に洗練されていて、実に奥深い庭園だった! 日本に行くことがあったら絶対に訪れたい!
 うーん。一言「日本の美しい庭園」といわれても。。
 横浜の三溪園も美しいし、京都にはそこらじゅう美しいものがあるし、、
 で、思いついて竜安寺の石庭をインターネットで検索して、ページを見せると、どんぴしゃり!

 石庭の石の並びについての解釈や設計上の工夫、そこでの雰囲気、そして、日本人にとっても格別の空間であることを説明しました。禅や仏教の成り立ち、美に関する考え方など、実に話が盛り上がりました。

 それそれに、たくさんの違いがあるし、違うものを受け入れることや自分や組織、国を変えることは本当に労力を伴うことだというのは、避けがたい事実。

 でも、美を愛でる感覚、質の向上、人への気配りや大切に思う心などは、一緒です。
 違いをたくさん指摘するよりも、違いから学んだり、違いを生む背景に眼をやったりして、手を取り合えるところは大いに取り合って行けたら、どんなにか素晴らしい世の中になるんじゃないかって、クラスメートと話をするたびに、そう思います。

 Healthcare Managementを学びに来ているけれども、おそらく、それと同じかそれ以上に、クラスメートからたくさんのものをもらっていると思います。

25 March 2008

Primary Care Trustsとは何ぞや?

 はうぅ。 ようやくEssayを提出しました。
 今回は、Management and Governance in Healthcare Organisation という単位の課題でした。
 
 お題。
"Corporate boards of healthcare organisations largely ignore the quality of care either delivered or commissioned by these organisations." Address this argument by critically reviewing healthcare organisations of your choice in respect to their practice of corporate and clinical governance. Your review must draw upon the evidence base.
 まず、質問で聞かれている意味を理解するのに、私の英語力ではかなりの時間を要しました。

 要するに、医療機関のトップマネジメントたちは、実際の運営面において医療の質をかなりないがしろにしているって言われているけど、それについて、医療機関を選んで、その実際の運営やクリニカルガバナンスに着目して「批判的に」論じなさい、みたいな感じ。

  他のお題は、非医療者の医療機関の運営に参加することに関して、規制と医療者の自発性やイノベーションとの関連について、一次・二次・三次医療機関の隔たりを増大している要因について、でした。規制についても興味があったのですが、法律も絡んできて、UKの法律と格闘するも、断念。法的な専門用語(もちろん英語)が多すぎて、わからなさ過ぎました。日本のだってわからんのにねぇ。

 で、結局は、National Health Service (NHS) のPrimary care serviceの中核をなすPrimary Care Trusts (PCTs)をとりあげて、そのcommissioningとQuality of careについて論じる(と信じたい)ことにしました。

 これまでのEssayでは極力UKの医療機関について論じるのは避けてきました。
 なぜかというと、NHSがあまりにもスケールが大きく、複雑で、しかもすぐにいろいろ変更されて、とてもじゃないけど把握できなかったから。 UK nativeのクラスメートですら、「おそらくNHS全部について分かっている人なんて、いないんじゃないの?」というくらい。
 これまでと同じく今回も、日本の医療機関を取り上げようかと思ったのだけれども、何しろ運営を裏付けるデータがない、論文がない、裏付ける証拠が足りなさすぎて、無理だと判断。 結局、PCTsについて膨大な資料を読み漁ることとなりました。

 NHSの変革と簡単な構造ついての説明は、日医総研のワーキングペーパーにわかりやすく書いてあるので参考にしてみてください。
 No.140 イギリスの医療制度(NHS)改革ーサッチャー政権からブレア政権および現在ー
 森 宏一郎 2007/02/27

 まず、英国の医療は、一部を除いてすべて公的機関(NHS)となり、財源は一般財源から賄われます。
 NHSは4つ(England, Wales, Scotland, Northern Ireland)に分かれ、予算は政府から分けられて配分されますが、それぞれ組織構造も運営形態も政策も独自の方法がとられています。
 政府(日本でいうところの厚生労働省は、Department of Health (DOH)というところにあたる)からの医療政策の方針は変わりませんし、毎年の重点課題となるターゲットも同じですが、それをどう地域に反映させるかというのは、極端な話、4つともまるで違うということがあるのです。
 1998年にUKで新しい医療政策が発表されて、Primary careを中心に据えた新しいNHSへの改革が始まりました。  この新しい改革の中でClinical Governanceというコンセプトも発表され、NHSの職員はすべからく質の向上に向けて努力することが求められるようになりました。

 おもに、NHSについての話となると、一番大きなEngland NHSを指していることが多いですが、注意しないとWalesのことだったり、別のNHSでは当てはまらないことも出てきます。
 (私のBlogでは、注釈がない限りNHS in Englandでのお話となります。)

 で、NHS Englandの中に、地域ごとにNHS Trustというものに分けられて、Primary Care部門の医療とサービスを一手に引き受けているのがPCTsということになります。他にも、Mental health, Acute care, などのTrustsがあり、それぞれ独自に地域に対するサービスを提供すべく方針を立て運営されています。

 PCTsの守備範囲(?)としては、GPによる診療、薬局、Public Health、患者教育など、実に多岐にわたっており、地域に必要と思われるサービスを特定し、そのサービスを提供している施設・機関と個別に契約を結び、その成果をモニターするということが求められています。

 また、PCTsがClinical Governanceに基づいて、きちんと仕事をしているかということをチェックするために、多くの機関が作られました。
  1.  NICE (National Institute for Health and Clinical Excellence) (医療行為と医療器材についてのガイドラインを発行する)
  2.  Healthcare Commission (England のNHSの質についてAuditを行う)
  3.  NHS Clinical Governance Support Team (Clinical Governanceを現場に反映できるように援助する)
 他にも関連機関がありますが、ここでは割愛。臨床の質、経営の質というものを、患者の視点、経営の視点、運営の視点からチェックし、それを広く市民にも公開しています。
 毎年、各NHS Trusts、PCTsに対して、resourceの利用状況や経営状況、医療の質が国の定めたIndicatorに基づいて測定され、批判的な内容も含めて発表されています。

 英国は、本当にシステムを作るのがうまいなぁと思います。
 ただ問題は、これだけ綿密にシステムが組まれていても、現場にはまだまだ問題が山積しているということ。 質の改善のために、さまざまなツール(Total Quality Management, Sig Sigma, Leanなど)が導入されていますが、多くは「改善できませんでした」というレポートが多いのが実情です。

 どの国でも、どの地域でも、変化を起こすということは、時間のかかる作業のようです。
 
 (関係ないですが、NICEのManchester officeって、City Centreのど真ん中にある。いつも行きかっていましたが、全く気付きませんでした、、)

12 March 2008

ダブルブッキング

 授業も終盤に差し掛かってきて、授業内容にも、教授たちのサポート体制にも、図書館のサービスやキャリアサービスにも、大いに満足している。

 昨日の土砂降りじゃぁないけど、本当に「知識の土砂降り状態」とでも表現したらいいのか、新しい知識や考え方で「ずぶぬれ」になるくらい、というより、どっぶりつかっている状態。

 とても泳げるようになるには大分時間がかかりそうだし、窒息しないように息継ぎするのが精いっぱいだけど、でも、かなり満足している。(脳みそが「痛む」様に感じるくらい大変だけど。)

 それに、英国の時の流れ、時間の感覚にもだいぶ慣れてきた。
 えーえー、長い行列でも黙って並びますし、バスが来なくても電車がキャンセルになっても気にしませんし、1時間の時間のずれっていうのはズレに入らないんだって感じのことも、分かっております。

 でも、今日は久々にブチ切れました。
 あぁ、ずっとブチ切れないようにしてきたのになぁ。

 昨日の授業は、レクチャーの途中で部屋のダブルブッキングがわかり、結局30分も授業が中断。
 以前は、部屋を追い出されて、途方に暮れることもありました。

 通常、授業計画が発表されると、Department administrator が部屋を予約してくれます。
 授業がなくても、みんなで集まって何か議論したいときなどにも、部屋を借りることができます。 
 ダブルブッキングになるってことは、つまりは、Administrator もしくは、Booking office が手違いを起こしているわけです。

 昨日は、どうにか折り合いがついたらしく、継続して部屋を使うことができました。

 やれやれと思って、今日また学校に行ってみると、部屋の前でクラスメートがたむろしている。

 まーさーかー。。。
 そうです、ダブルブッキング、アゲイン。

 「まったく信じらんない!またですか?」という私に、クラスメートは、

まぁまぁ。 怒ったところで部屋が空くわけでもないし。。。
その通りだけどさー、昨日ダブルブッキングだったんだからさ、今日は大丈夫かなって昨日のうちにチェックするってことをしないわけ?あのね、日本にはね、二度あることは三度ある、っていう諺があるのよ。

ちょうどいいじゃん!コーヒー飲みに行こうよ!
 みんなに責任があるわけじゃないしさー。行こ、行こ!

あっちの部屋がサー、あいてるから使っちゃえばー。

少なくとも「Business School」って名前を使ってるくらいなんだからさ、もうちょっとどうにかなんないのかなぁ。

そんなに怒ると、血圧あがっちゃうよ? え、高血圧じゃない?そっかー、あははは。

えー、日本だとこういうことって、起きないの?

あのですね、日本だと起きないかどうかというよりも、問題があるってわかったら、それをどうにかしましょうっていうのをQuality Improvementで習ったでしょ? でしょ? その積み重ねなわけですよ!


 まぁ、こんな会話が続くわけです。 これ、ほんとの話です。
 慰めてくれるクラスメートにありがたいと思ったり、「これって、普通じゃん?」っていう意見に脱力してみたり、、、
 
 結局またまた30分以上授業が遅れ、おかげで授業は押せ押せで進む。

 こんなことで怒ったってしょうがないし、文句を言ったところで
「それは、こちらの部署じゃ分りかねます」
って答えが返ってくるのも、百も承知している。

 でもですね、どうにかならんもんかと思うわけです。

 待たせる、ということに関して、ひっじょーーーに無関心だなぁと、思うわけです。
 日本の山手線みたいに、30秒かそこら出発が遅れただけで「お待たせして申し訳ございません」なんて言ってくれなくっていいんです。そこまでは望みません。っていうか、英国では可能性として、かなり高い確率で、無理です。
 
 ただ、もう少しどうにかならんかなぁと思うわけです。

 おそらく、こうした小さなエラー、ちょっとの時間のロスが、NHSにおける膨大なWaiting listにつながるんだろうし、Royal Mailの窓口の4重位に連なる長い行列になったり、銀行のキャッシュカード発行に4週間かかったりすることにつながるだと思うわけです。

 明らかにサービスの低下だと思うのです。
 アウトカムとして「優秀な生徒を世の中に送り出す」ということに対して、そんなに影響はないでしょう、おそらく。ただ、満足度を大いにあげる可能性があると思うわけです。

 この意見にも「別に、大学は学生の満足度って、気にしてるのかなぁ?」なんて答えがクラスメートから帰ってきて、またまた脱力なんですが、、

 「どうにかならんもんだろうか?」って思わないのか、そのあたり、本気でResearchしてみたくなります。

 Toyota方式だの、Six Sigmaだの、Total Quality Management だの、学ぶのはいいんですが、そのImplementationについて、どう考えているんだか。
 NHSでのQuality Improvementに関する質的研究の論文を読んでみても、どうしてNHSでうまくいかないのかっていう分析の論点が、どうにもずれているような気がしてなりません。 そこも問題かもしれないけど、それよりも、時間に対する感覚をどうにかしないとだめだろう、って思ったりするわけです。

 日本人が特別に「いらち:短期でイライラしやすい人たち」なわけじゃぁないと思うんですけどね。違うんでしょうか、世界標準だと。

 時間に対する感覚だけじゃなくて、非常に細かいところに気を使う、気を配る、心を砕く、というのが、どんなにか素晴らしい付加価値を生み出しているか、iPodの金属加工を見るだけでも、唸るくらいです。

 そのあたりが理解できない、体得できない、実行に移せなければ、Leanだったり、Toyota方式だったりっていう質改善の方略は、日本以外の組織においては、本来生み出されるであろうOutcomeを導き出せないような気がします。

 やっぱり、この辺をDissertationでやりたいんだけどなー。 難しいのは分かるんだけどなー。 せっかくの「怒り」のエネルギーをどうにか消火、いやいや昇華させたいものです。

11 March 2008

どしゃぶり

 いやぁ、参りました。。

 今日はResearch Methodsのクラスがあって、帰ろうと思ったら、ガラスの天井が割れんばかりの大雨。
 大学の出口は、人だかり。
 外に出ようにも、文字通り「横殴り」の雨と風。

 立て看板は飛ぶわ、ゴミ箱は宙を舞ってるわ、人はコケてるわ、いやはや、すごい嵐です。

 Manchesterの付近は(というより英国には)高い山という、雨雲や風を遮るものがありませんから、ちょうどシャワーを全開にした感じの勢いのある雨が降っているわけです。降っている、というか、ぶつけられているって感じ。

 ドアの前で待ちながら、周りの人とのおしゃべりになりました。
ちょうどさー、昨日母さんに「英国でも青い空が見えるんだよねー。そんなにブルーにならないから大丈夫だよー」なんて話したとこだったんだけどさぁ。 オレが間違ってたな。

こういう天気だからさ、天気予報なんて当てにならないんだってば。こういう時に限って、傘を持ってきてないんだよなぁ。

天気なんて、神様の思うところなんだから、そもそもそれを当てようなんて方が、間違ってる!祈るしかないのよ!

。。。。。。 そんなことよりさー、どうやって帰る?

 なんて話をしながら待っていると、10分かそこらでいきなり青空が見えてきました。
 みんな、脱兎の如くバス停へ走って行って、バスに乗り込んでおりました。 
 でも、2階建てバスは満員状態。

 さぁて、そろそろ私のバスが来るかなーなんて思っていたら、西の方からどんよりした雲がものすごい勢いでこちらに向かってきていて、その雲の下は灰色に霞んでいます。。

 やーばーいー。 また嵐が来るー。

 ものの数分後、大粒の雨とともに猛烈な風が吹き始めました。
 風に吹かれて、足元がすくわれるなんて体験、初めてかも。

 やーばーいー。 図書館の本とPCがダメになるー。

 とっさに振り向くと、スーパーのお兄さんが扉を開けて「こっちこっち!」と手招きしてくれています!
 さぁんきゅぅー!!! 遠慮なく、雨宿りさせていただきました。

 そしてまた10分かそこらで、ぱたっと雨と風がやんで、青空。
 いったいどういう天気なんだ?

 いずれにしても、雲はものすごいスピードで流れて行っていたので、また嵐がすぐにくるでしょう。
 
 今日は夜中もずっと、外は嵐でした。



03 March 2008

外のことと目の前のこと

 白衣に腕を通す時にはいつも、自分の中の何かが切り替わるような気がする。
 聴診器を手にとって、病室や診察室に向かうとき、自分が「しゃんとする」のがわかる。

 外来での診察は、たいていは10分程度。
 いつも診ている患者さんでなければ、多くの場合、その人のいつも生きている社会背景にまで話が及ぶことは、なかなか難しい。
 熱が出たから、咳が続くからと、よくある体の不調を訴えて訪れる患者さんの、その後ろにある本当に聞きたいこと、心配なことに、どこまで耳を傾けられるか。どこまで思いを巡らせることができるか。
 
 目の前にいるこの人に、自分は何ができるのか。
 
 北海道の東部では、非常に医師が不足し、大きな病院での内科病棟・診療の縮小が発表された。
 お世話になっている病院も、慢性的に医師が不足し、常勤医師たちやスタッフは疲弊する中でも、精一杯やっているのが分かる。
 そんな中で、厚生労働省は、勤務医の負担軽減のために、新たな政策を発表した。

 本当にそれで解決するんだろうか。
 本当にこの医療の流れで、現場で働く医療スタッフたちが、日々やりがいを感じながら仕事をする環境が作れるのだろうか。
 本当にその政策で、この目の前の患者さんが安心できるような、医療共有体制が組めるのだろうか。

 今、目の前にいる、この人に思いを巡らせること。
 世の中で起きていることに、注意を向けること。

 どちらもできなくなるくらい、疲弊するときがある。

 日常の診療で、あまりの忙しさになりふり構わず取り組んでいると、一人ひとりのことにまで目を向けていられなくなることもある。 目を向けると、その分、当然ながら取り組むべきこと、悩むことが増えてくるから、「これ以上は無理です」というところまで、仕事が増えてしまう。 
 目の前の人のことを思えば思うほど、体もこたえるが、それよりももっと、心が疲弊してしまう。

 さらに言うなら、目の前のことに精いっぱいで、とてもじゃないが国の政策だの、世界情勢だの、環境問題だのなんてことは、だいぶ後回しになる。

 こんなんで、いいんだろうか。 
 これじゃぁ、働く医療者にとっても、そこを訪れる患者さんにだって、いいわけはない。

 日本の医療は、世界一の寿命と乳児死亡率を誇り、低コストで、比較的少ない医療従事者で、24時間365日の診療をカバーしている。 医療へのアクセスも、おそらく世界一いい状態だろうと思う。
 それでも、国の行った調査では、国民の医療への満足度が50%程度である。
 医療に関連する訴訟の数も、年々増えている。

 低コストで、質が高く、アクセスも自由で、安全性の高い医療制度、なんていう、夢みたいな制度は、世界のどこを探しても、ない。 でも、かなりそれに近いものを、日本の医療は提供できている気がする。
 ただ、その後ろに、専門職としての時間給はかなり安く、平均寿命を縮めてまでも働いている医療従事者がいるということが、問題として取り上げられることは、ほとんどない。

 「出来ていること」は当然のものとして扱われ、「出来ていなこと」「出来なかったこと」に注目し、大問題として取り上げられる。 なぜそうなったのか、どうすれば改善できるのかというところに着目するのではなく、起きてしまった事実ばかりが注目を集め、当事者たちが責められてしまう。
 
 「出来ていること」を声高に宣伝することは、なんとなく引け目を感じるような、みっともないことのような、そんな雰囲気がある。 能ある鷹は爪を隠す、みたいに、「こんなにできるんです!」って言う事は、良しとしないようなそんな雰囲気があるからだろうか、日本の医療のスゴさっていうのを発表している論文は、それほど多いとは思えない。

 外の世界で起きている事を、自分の目の前のことを関連付けて考えて、改善のために用いること。
 逆に、目の前で起きている事を、外の世界で起きていることと結びつけて一般化すること。

 この両方を行き来できるような、両方を関連付けられるような、そんな仕事がしたいと思う。
 日本ではみっともないことかもしれないけれど、世界に対して「日本はこんな業績を残している」ということを発表できるような、そんな仕事をしてみたいと思う。
 
 そうすることで、少しでも恩返しになったらと、頑張る人たちへの応援になったらと、そう思う。
 

27 February 2008

あー、わかるわかる

 へんちくりんな日本語 3連ちゃんの最後は、ManchesterにあるChina townのお店から。

ManchesterのChina Townはあまり大きくなくて、小さな公園の周りの一角が中華・アジア・日本料理屋で囲まれている、という感じです。

これは、Chinese New Yearの時に撮ったもの。 たくさんの人出でにぎわっておりました。







 さて、そんなChina Townの一角にあるお店のメニューで、また微笑ましいへんちくりんな日本語に出会ったので、パチリ。

 Meatと書いてある下に 「内類」 と書いてあります。 

 あー、そうよね、「肉」って書きたかったのよね。
 わかるわー。

 でも不思議ですね、中国でも「肉」っていう漢字を使うと思うんですけどもね。肉を食べるというのは、吃肉と書きますしね。

 このメニューは、どうやら日本人がお手伝いして翻訳したのかなと思われるような、手書きの日本語が印刷されていて、「汁物」とか「季節のサラダ」とか、ちゃんと訳してあります。「土びん蒸し」も書かれていますね。 でも、どんな味なんだろう、、

 ちなみに、1ポンド210-220円くらいですから、味噌汁1杯が800円くらいします。 
 だとしたら、先ほど紹介した「あつい」インスタントみそ汁でも、いいかもしれないなぁ。。


 

しなさい って言われても、、

 へんちくりんな日本語 3連ちゃんの2つ目は、前からずっと不思議に思っていた製品がらみ。

 Manchesterに来てから、パーカーとかのフードに「へんちくりんな日本語」のタグがついたものを着ている人をよく見かけていて、いったいそれはどこで手に入れたんだろうと、不思議に思っておりました。

 で、ManchesterのCity Centreにあるショッピングモールにそのお店はありました!

 名前は 「SuperdryStore 極度乾燥(しなさい)」 !!!!

 
 ちょっと見にくいのですが、「極度乾燥」のあとにカッコに入って「(しなさい)」って書いてあるんですね。
 どっちかっていうと、「超乾燥してよねっ!」って感じでしょうか。

 見つけたときには、思わず嬉しくてシャッターを切りましたが、なんでそんなものを撮っているんだと、周りのお客さんは不思議そうな眼でこちらを見ておりました。

 このお店は、若者向けカジュアルファッションのお店で、結構お客さんが入っています。
 意味、わかってますかぁー

 乾燥、しなさい!って言われても、ねぇ。。

 いつも不思議なのが、こうした「日本語」を使う時に、知り合いなどの日本人に意味を確かめてみたらどうかなーって思うのですが、あんまりそういうことはしないんでしょうか。 それとも、この笑っちゃう感じをわざと残しているんでしょうか。だとしたら、かなりウワテですね。
 

ここまでやるとは、あっぱれですね

 へんちくりんな日本語 第2弾です。
 3連ちゃんで行ってみたいと思います。

 これは、Manchesterの大学の近くにあるChinese Supermarketで売っていたもの。

 その名も 「あつい」 という名のインスタントみそ汁。
 
 ここまでパクられると、なんというか、その勢いに脱帽です。
 さすが中国だ、と思ってしまうのは、私だけでしょうか。













左: お店に売っていたもの   右: 永谷園の「本物」

 ちょっと怖くて、買って味見をする勇気はありませんでした。。。
 

24 February 2008

日本の医療文化の持つ力

 Dissertationのテーマを決めなくちゃぁいけない時期になってきた。
 相変わらず、どうしようかな、どうしようかなの繰り返し。
 Dissertationを仕上げるためには、8カ月しかない。8か月で研究をして書き上げないといけない。

 コースがスタートした時には、まぁ、8カ月もあればなんとかなるかなぁなんて思っていたけど、色んなものの考え方、理論、研究を見聞きすればするほど、これは大変なことになってきたぞと思うようになってきた。頭の中でこんがらがったままになっているものを、なんとかほどこうとするのだけれども、ほどいているそばから、またこんがらがった塊が出来上がっていく感じ。

 でも、なんとかして「日本の医療に根差す文化とその利点」を明らかにすることができないだろうか、何か、少しでも普遍的なものを見出すことができなだろうか、見いだせなくともその足掛かりとなるようなものを見つけ出せないだろうか、そんな風に考えている。
 そうすることで、バッシングの嵐の中でも踏ん張っている臨床家たちの功績を見出したい、「よしまた明日から頑張ろう」と思えるような要素が、きっとあるはずだ。

 「何で日本人は長生きなのか」

 この問いにこたえるには、あまりにも関連する分野が多くなりすぎて、とてもじゃないけど始末に負えるものではない。よく言われるのは食生活が素晴らしいからだということ。けれども、日本で長く行われてきた独特の医療システムがきっと何らかの形で貢献しているに違いないと思う。
 欧米の規定するシステム論と比較して、Managementの分野では日本の医療システムに当てはまらない部分が本当に多いのだけれども、ひるがえって、そうした欧米のシステムにはないものがあるからこそ、だからこそ今のOutcomeにつながっているんじゃないだろうか。

 日本人はとても真面目で、勤勉だし、仕事がとても丁寧だ。 これは、本当によく耳にする。
 Managementを扱っている研究者で親日派の方たちからは、特によく言われる。

 製造業でのmanagement手法まで確立されたものではないにしても、日本の医療の現場で医療従事者によって日々おこなわれている要素の中に、日本の医療を支える何かがあるはずだとおもう。
 
 でも、研究するとなると、何か非常に範囲の狭い、かなりSpecificなResearch questionに落とし込まないといけない。 さて、それをどうするか。。

 感覚的にぼんやりとしているものを、いわゆる科学的な研究手法に落とし込むという作業。
 本当に、なんて難しいんだと泣きたくなってくる。
 たとえ非常にSpecificなものを明らかにしたとて、とてもそれを一般化することは難しい。
 けれども、「それが知を積み上げるということなのだよ」という教授の言葉を支えに、前に進もうと思う。
 

13 February 2008

異文化交流

 今日は授業の後に、イタリア語のクラスにでて、そのあとクラスメートのパキスタン人K君とNさん(超美人です。モデルみたい)とクウェート人のA君と日本人の私で夕食に出かけました。

 向かった先は、Manchester のCity Centerから西にあるSulfordというところ。
 K君の車で出発したのですが、High wayで道を間違えたりとか、あっちこっちぐるぐる回って、結局バスで20分のところに向かうのに、40分くらいかかりました。

 でも、その間の車の中で、普段なかなか話せないことだったり、お国柄の話だったり、食べ物の話だったり、夕方でだいぶ頭が回らなくって英語に苦労したけど、かなり楽しい時間でした。

 食事をしたのはパキスタン料理のお店。
 テーブルが80席くらいはあるかと思われる、とんでもなく広いバイキング形式のお店。
 入った瞬間、ものすごい香辛料のにおいで圧倒されるくらい。

 お客さんはサリーを着たパキスタンやインド人に交じって、誕生日会をしている白人が多い。
 食事中に「Happy Birthday to You---!!」って大声で歌っていて、お客さんたちからも拍手をもらっている。

 やっぱりここでも「並ぶ」のは英国って感じですが、お皿を持って順番に30種類くらいある料理の列を順番に回っていきます。みんな山のようにサラダ、ケバブ、ピラフ、カレーを盛り付けています。
 
 あんまり辛い食べ物が得意ではないので、サラダと少しの鶏肉のケバブ、ライスとラム肉のカレーを盛り付けてテーブルに戻ると、ほかの3人は山もりのお皿に加えて、別皿で大量にサラダを持ってきていました! ものすごい勢いで食べているので、圧倒されていると、A君から一言。
 
それしか食べないの? 調子悪いの?

い、いや、そうじゃなくって、これが普通なんです。 
この量で充分です、はい。
そんなに食べたら、胃がやられてしまいます。

 私が一皿食べる間に、彼らは2往復していました。ものすごい食欲です。もう、圧倒されます。
 彼らだけではなくて、周りのテーブルのお客さんたちも、ものすごい量を食べています。圧巻です。
 
 Nさんは、美人なうえに超スタイルもよくって、それなのに、ものすごくよく食べます。
 思わず、「そんなに食べてスタイルって、どうやって保ってるの?」と聞くと、普段は野菜が中心だけど、こういう時には、思う存分食べるの。だって、ダイエットって、楽しみがないとやってられないでしょ?とのこと。 あー、そうですか。 普段たくさん食べてなくても、食べられる体なのね、うらやましい。

 それだけ大量に食べた後、彼らは私が食べ終わるのを待って、今度はデザート。

 ケーキにアイスクリーム、それにパキスタンの伝統的なお菓子まで。
 私はもう要りませんというのを聞きもせず、ショーウインドーから私の分まで選んでくれます。


 このGULAAB JAMUNというお菓子は、あり得ない位に甘ーいのです。パンを細かくちぎって練乳に浸して、それをパンでくるんで揚げパンにして、それをはちみつとシロップに付け込んだ、みたいな、そんなかんじ。一口食べて、あまりの甘さにむせてしまったほど。

 お国では、大量に食事をした後に、軽く2個は食べるんだそうです。

 あー、どうりで。
 さっき「1個ください」ってコックさんに言ったら、「ええぇ?1個でいいの、本当に?」って聞かれたのは、そういうことなんですね。

 食事の最中には、授業の話やAssignmentの成績の話、イスラムについて、日本の医療や文化、政治についてなんていう真面目な話から、お国料理の話、民族衣装の話、そして当然?ながら恋愛についてや結婚観や人生観など、たくさん話をしました。

 イスラム圏の男性は、本当に、なんというか、女性をリードすることが当然なようで、ぬかるむ道を歩くときには女性たちを気遣ったり、料理を持ってこようとすると「いいから、いいから座っていて。それは僕の仕事だよ。」と、なんともSweetなことを言ってくれます。
 彼らに言わせると、たとえ友達でも「女性を守る役回りをするのが男性」というのがイスラムなんだそうで、イスラムについて、もう少し知るとおもしろそう です。いいから言うことを聞けというタイプの典型的な男尊女卑という感じではなく、ごく自然に役割を分担するのがイスラムだと言っていました。

 そんな中で、K君から言われたのは、
 僕にとって、Tag(私のこと)は、日本からの親善大使だからね。授業中でも、こうして話をしていても、それが全部「日本」をあらわしているんだよね。
 って言われて、あーなるほどねーって思いました。

 確かに、私にとってはK君やNさんがパキスタンを知る糸口になって、彼らのありようが「パキスタン」なわけで、A君の考え方や信念が「クウェート」なわけで、当然彼らにとっては、私の言動が「日本」なわけですね。 

 授業に出る時にはパソコンを持っていって、そこに書き込んでいたりとか、なんでもデジカメで撮ったりとかしていると、「やっぱり日本人だねー」って言われていたのは、そういうことなんですね。
 日本 = デジタル+ハイテク っていうのが、すっかり当然のように思われています。
 パソコンやネットのことで分かんない時には、Japaneseに聞け、みたいな。

 それに、Managementを勉強していると、必ずTOYOTA方式だの、KANBAN方式だのが出てくるので、そういう時には、たいていその根底に流れている文化的背景について説明するように促されるので、大げさな話ではなく、私の口から出たことが「日本」を象徴することに、いい意味でも悪い意味でも、なるんですね。

 よく、海外に出るとより自分の国のことについて目が向くようになるといわれますが、確かにその通り。
 自国の統計学的データから、自分の専門分野についての法律や制度について、歴史や宗教や様々な文化について、政策やその政策の背景にある歴史的事実の解釈などについても、「あー、もっと勉強しておけばよかったー」って思うことがしばしばあります。
 知っていれば、もっとたくさんのことを伝えられるし、自分の中でもほかの文化圏を知る手がかりとなります。 歴史がからきしだめなので、彼らの国で何かがあった時代に、日本ではどうだったのかというのが頭に浮かんでこないので、話が広がらなくて面白くない。 うーん、今度は歴史の勉強か?!

 帰りの車のなかで、すでに次回の食事会についての話になり、今度は私がお店を探してくる番に。
 おいしい日本料理を食べてもらいたいんだけど、なかなかManchesterにはないしなー っていうと、じゃぁ作ってよ!と。  ええぇ、、それは無理です、ごめんなさい。ここでも、また反省。。。

 ということで、次回は中華に決定。