29 November 2007

コース説明: Leadership and Service Improvement

 このコースの3つ目のユニットは、Leadership and Service Improvement です。
 私が最も興味を持っていることの一つでもあるService Improvement がお題なので、楽しく授業に参加しています。
 コースは丸2日間のセッションを2週間ごとに合計2回行い、4000words のAssignment で評価されます。

*目的
  1. Provide an understanding of the nature of complex system
  2. Develop a critical understanding of a range of leadership frameworks
  3. Understand how operations management models could be used to improve performance and redesign services to improve patient care
  4. Explore the concepts of service failure and recovery
*Intended Learning Outcomes
  • Knowledge and Understanding
  1. Know and understand the key academic debates around leadership and change
  2. Understand the nature of complex systems
  3. Understand the concepts of service failure and recovery
  • Intellectual Skills
  1. Critically evaluate a range of leadership frameworks
  2. Understand the relationship between complex systems and leadership styles
  3. Understand the importance of change management theory
  • Practical skills
  1. Apply operations management methods to improve performance and redesign services
  2. Appropriate examples of service turnaround
  • Transferable skills and personal qualities
  1. Understand importance of learning organisations
  2. Apply single and double loop learning to own experience

*Contents
  1. The nature of complex adaptive system
  2. Approaches to managing change
  3. Leadership frameworks
  4. Operations management models
  5. Performance measurement and improvement
  6. Service failure and recovery
  7. Service turnaround
  8. The importance of learning organisations
*推薦図書・文献
  • Burnes, B. (2004) Managing Change, Essex: Harlow.
  • Denis, J. L.,Langley, A. and Rouleau, L. (2005). 'Rethinking leadership in public organisations' In Ferlie, E., Lynn Jr, L. and Pollitt, C., The Oxford Handbook of Public Management, USA: Oxford University Press.
  • Grint, K. (2005). Leadership: Limits and Possibilities, Hampshire and New York: Palgrave Macmillan.
  • Johnston, R. and Clark, G. (2001). Service Operation Management, Harlow: Financial Times Prentice Hall.
  • Peck, E. (Ed) (2005). Organisational Development in Healthcare, Abingdon: Radcliffe Medical.
  • Plsek, P. and Greehhalgh, T. (2001). 'The challenge of complexity in health care', BMJ, 323 (7313), 625-628. (You can check on Website, Available from: <http://www.bmj.com/cgi/content/full/323/7313/625> [Accessed: 27th November 2007])
  • Talbot, C. (2005). 'Performance management' In Ferlie, E., Lynn Jr, L. and Pollitt, C., The Oxford Handbook of Public Management, USA: Oxford University Press.
レクチャーは、さまざまな理論や方法論についての概略の説明でしたが、それを自分の経験やすでにあるServiceにあてはめてそれを論じることが、Essayの課題になっています。 
私は、Operation managementの方法論が、Healthcare service improvementにどの程度役に立っているかということについてEssayを書くことにしました。 面白くなってきましたよ!

24 November 2007

Rationalists and Incrementalists - Health Policy

 MSc の最初のコースが、Contemporary issues in Health Policy だったわけなんですが、その1つ目のAssignment のテーマの一つが、政策作成の際の立場 "Rationalists" と "Incrementalists" の違いについて述べて、実例の中でどんな風に生かされているのか述べなさいというものでした。

 Policy making = 政策作成っていうのは、もちろんそんな簡単には説明できないくらいややこしいわけなんですが、Walt (1994)さんの書籍 Health Policy - An Introduction to Process and Power によると、簡単に理解できるように4つのステージに分けてあります。

1) Problem identification and issue recognition
  どうやって(現場の)問題が政策上の課題として挙がってくるのか。
  なぜ議論にも上らないような課題が存在するのか。
2) Policy formulation
  誰が政策を練るのか。どうやって作り上げられるのか。
  (その過程で)どこから(あるいは誰が)影響を及ぼすのか。
3) Policy implementation
  リソースとして使えるものは何か。誰が役割を担うのか。
  どうやって現場で実行させるか。
  (一番大事なところなんだけど、結構ないがしろにされちゃうよねってWaltさんは書いてます。)
4) Policy evaluation
  実行に移したら、どんなことが起きるか。確認されているか。
  目的は達成されているか。予想外のことが起きてないか。

 ほかにも分類の仕方はあるんだけど、これが一番簡単でわかりやすいかなと思いました。

Rationalists:
 さて、Rationalist さんたちというのはどういう立場を取っているのかというと、ある意味で「論理立てながら、あるべき理想へ向かっていく」人達です。
 どんな風に思考が働いているかということ、

 * 「議論すべき問題」というのは、他とはきっちり区別されている。 目的と手段は、はっきり区別されてる。
 * ゴールや目的は、重要度に基づいてランク付けされて、目的を達成するにあたって関連してくる事象に関しては、すべて挙げて検討する。 さらに関連事象すべてにおいて、そのCost とBenefit に関しても検討する。
 * それぞれの事象を比較検討してみる。
 * この過程の中で、目的、価値、目標に到達するにあたって一番いいものを選ぶ。

Incrementalists:
 もう一つの、Incrementalist  さん達というのは、「できる範囲のところで、目の前の問題を片づけていく」方法を取る人たちです。Lindblom (1959)さんが代表格なんですが、Incrementalist approach のことを "muddling through" (もがき進む、っていう感じでしょうか) と表現しています。

  •  ゴールの選択と方略の実施(Imprementation)は、ほとんどおんなじ意味。時に「目的」が明確じゃないこともある。 手段が目的になってたりする。
  •  問題の解決にあたっては、いくつかの方法を検討してみる。ただし、現時点で実施されているものとよく似たものを検討することが多い。
  •  決定にあたっては、(政策決定者が)みんな賛成するってことが大事なので、決定したものが一番いいものじゃないこともある。
  •  新しい政策の提案によっておきうる変化は小さいもので、将来の大きな変革は考えていない。何度も繰り返し、小さな失敗を修正しながら、前に進んでいく。
 
 どっちの考え方にも強みと弱みがあります。

Rationalist の強み
  •  しっかり検討してから目的を決定するので、方向に間違いが少ない。
  •  現在の状況下に、大きな変化が必要な時には有用。
  •  さまざまなStakeholder の意見が反映されやすい。
  •  方略を実践に移した時に起きうることが、大きく予想を外れることが少ない。

Rationalists の弱み
  •  すべての事象について検討すること自体が、現実的でない(費用、時間など)。
  •  変化が大きくなることから、政策決定者あるいは市民からの反発が起きやすい。
  •  政策決定者の間で、合意に達することが難しい可能性がある。
  •  政策決定上のEvidence が見つかるとは限らない。

 変わって、Incrementalistさんたちのほうは、

Incrementalists の強み
  •  政策決定者がよく知っている守備範囲内で政策を作るので、大外れしにくい。
  •  変化が小さいので、政策が受け入れられやすい。
  •  政策決定までの時間・コストが少なくて済む。
  •  実際の制作現場では、この方法が現実的。

Incrementalists の弱み
  •  もしかしたら、目指すべき方向が間違っているかもしれない。
  •  しかも、間違っていること、それ自体に気がつかない可能性もある。(変化が小さいから)
  •  「声の大きい」「力の強い」人たちの意見しか取り入れられないかも。
  •  変化が小さすぎて、政策の意味自体が少なくなる可能性がある。(Lindblom さんは反論として、「変化が小さいからこそ、受け入れられて、それが繰り返されることで大きな変化になりうる (Lindblim in McGrew and Wilson 1982) と言っていますが、、)

 じゃぁ、それをMix すればいいんじゃないのと言いだしたのが、Dror (1989) さんとEtzioni (1967) なんですね。
 Etzioni さんは、人工衛星をたとえにとって、全体を見回すときにはRationalistic にざっと見まわしてみて、問題がありそうな所にIncrementalist な感じでそこへフォーカスしましょうと言っています。

 でもこれって、よくある思考パターンじゃありませんか?

 医師として患者さんを診察するときのことを考えてみましょうか。

 Rationalist 的に、考えられうるすべての疾患を細かく分析して、それによって起こりうることを検討していたら、いつまでたっても診断がつきませんよね? たとえものすごく的確な判断が最終的になされたとしても、手遅れかもしれない。 
 じゃぁ逆に、Incrementalist 的に、ぱっと目についたところから手当てをしていたら、肝心なところに気がつかなくて、やっぱり手遅れになっちゃうかもしれない。

 現実には、どんな風な思考になっているかといえば、手に入りうる情報(問診と診察)から(I)、問題の可能性の高いものを挙げてそれに優先順位を付けて(R)、妥当だと思われる治療を行う(I) わけです。 で、思った効果が得られなかったときには、少し方法を変えて試していく(I)。 それでも問題が解決しないときには、もう一回最初から全体を見回してReviewしなおして、最善と思われる方法を試す(R) わけですね。

 ただしこれは、1対1での話で、政策という大きな枠組みになると簡単にはいかないわけです。
 
 日本では2000年に介護保険の導入という、それ以前の医療改革に比べるとかなり大きな変革がなされました。それについてこの2つのTheory で分析してみたわけなんですが、その話はまた今度に。


 Dror, Y. (1989) Public Policy Making re-examined, New Brunswick and Oxford: Transaction Publishers.
 Lindblom, C. (1959) 'The science of muddling through', Public Administration Review, 19, 79-88.
 McGrew, A. and Wilson, M. (1982) Decision Making, Manchester: Manchester University Press.
 Walt, G. (1994) Health Policy: An Introduction to Process and Power, London and New Jersey: Zen Books Ltd.
 

「やる事がある」事の幸せ

 MScのコースが始まって、2ヶ月たって、ようやく最初の大きなAssignmentの締め切りがありました。Health Policyについて述べるものですが、その内容は別のところに書きますね。

 指定された単語数(文字数じゃないところが日本と違う)は、4000。
 Pre-Masters Programmeで最長だったのが5000ですから、ちょっと及び腰で取り組みました。

 締め切り直前にならないとなかなか本腰になれない性分がたたり、結局、最終日は徹夜で書いて、最終的にA4で15ページくらいになったEssayを走って提出してきました。 ふぅ。

 提出日は、Manchester ではすこぶる珍しい「快晴」で、目を開けていられないほど眩しく感じました。空気もとても澄んでいて、Essayを提出できた達成感もあり、(徹夜明けでハイになっていたのもあるんでしょうが)なんかとっても幸せな気分でした。 

 すっかり葉が落ちてしまった街路樹も、デコボコの歩道にある水たまりも、大学の中心にある教会の塔も、吐く息が白くなるほど寒いのにまだ青々とした芝生も、道路をいきかう2階建てバスでさえも、とっても美しく見えました。 さらに言うなら、英国の晴れた空の下を大好きなMINIが走っているのを見たのも、幸せ倍増でした。

 Taskがあってそれを乗り越えないと幸せは感じられない、というわけではないですが、達成感を感じることでの幸せは、やっぱり何か「締切」があったほうが感じやすいのかもしれないですね。 ボーっとしていても1日は過ぎてしまうけど、眠りにつくときに「今日はこれをやりました!」って思うことができたり、起きた時に「今日はこれをやりましょう!」って事があるってことは、幸せだなぁって思います。

 仕事をしていたときには、なんだか毎日がバタバタ過ぎて行ってしまって、桜が咲いたとか、盆踊りがあったとか、お月見があったとか、そういう季節を感じる間もなく過ぎて行ってしまっていて、「休みが欲しいぃー」っていつも思ってました。 子どもたちの胃腸炎が増えたことで冬を感じたり、熱中症で担ぎこまれるおじいちゃまを通じて夏の暑さを知る生活は、やっぱり人の生活としておかしいよなぁって、思ってました。いや、今でも思っています。
 でも、翻ってみると「やる事がある」ことの幸せってなかなか感じにくかったかなぁって、今になると思います。

 日向ぼっこしている愛犬を見ては「お前はいいよなぁー」って思ったり、
 水槽の中の熱帯魚を見ては「シンプルな生き方もいいかもねぇ。。」って思ってたけど、

 いやいや、

 やっぱり「やる事」がたくさんあって、毎日めまぐるしくて、ベッドに入ったらすぐ眠れちゃって、それでもって一つ一つに達成感を感じながら時を過ごしていくほうが、どんなにか幸せかって思います。 
 ただ忘れちゃいけないのは、「やらされて、やる」んじゃなくて、「やろうと思うから、やる」。 その結果として「頑張ったわぁー」って感じる(& それを感じる時間的余裕がある!)のが、いいよなぁーってね、思います。
 

18 November 2007

なんでHealthcare Managementを勉強するのか

 そもそも何で英国に来たのかといえば、日本国内でHealthcare サイドとBusinessサイドの両方からバランスのとれたカリキュラムが組まれたHealthcare Managementを学べる修士のコースを見つけられなかったからなわけです。 Managementの勉強となるとMBAがメジャーですが、別にBusinessの世界で生きていくわけじゃぁないし、最終的に患者さんに還元できる形の学びがしたかった。

 じゃぁ、何でHealthcare Managementを勉強したくなったのかといえば、ご縁があってあちらこちらの医療機関で働くうちに、もっと患者さんたちが満足して、働く人たちがHappyになるような、もっと効率のいい医療システムって、あるんじゃないの?って思ったから。

 日本では、とにかく「医療費削減」が大前提で、その次に医療の質だ、教育だ、患者満足度だのが議論されているような気がして、非常に納得がいかなかった。-- Health Policy

 現場で必死に働く、非常に優秀な医療専門スタッフがいても、彼らが満足できるような学習環境が整ってなかったし、この先どんな風にキャリアを積めばいいのか、不安になってる人がたくさんいた。-- Human Resource Management

 毎日の業務の中で、いつも出くわす小さなトラブルが、いつまでたっても解決されずにいて、いつしかそのトラブルの上にさらに問題が加わる状況を見ていて、どうにかならんもんかと思っていた。-- Management & Leadership

 特に何か決定的な項目が出るわけでもなく、とにかく時間だけが過ぎていくような会議が多すぎると思っていたし、組織としてのはっきりした方向性が見えずらかった。 -- Leadership & Organizational Behaviour

 診療の方針が医師によってバラバラで、科を超えた協力も限定されていて、それを支えるスタッフたちも診療のことよりも医師の顔色をうかがうことに時間を割かれる現状に、違和感があった。 -- Quality Improvement & Management

 病院の中だけで問題を解決するんじゃなくて、患者さんが住んでいる地域で活動している、いろんな団体や組織ともっと協力できたら、もっと多彩な解決方法があるんだろうにと、悩んでいた。 -- Leadership & Community Health

 もっともっと、理由はたくさんあるんだけど。

 現場で頑張ってる人たちはみんな、目の前のことを対応することで本当に精いっぱいで、自分の持ち場を何とか維持しようと必死になっていて、でも、組織の上位の人たちはそれをサポートすることもできずにいて、そんな状況が、どうにも我慢ならなくなっちゃったんですよね。
 なんかもっと、客観的にきちんとした方針が立てられるようになるための知識がほしいと思ったわけです。 思いつきで「こうしたらいいんじゃない!?」っていうのではなくて、根拠に基づいていた提案ができて、それをきちんと導入するための方略も心得ていて、それで現場でもみんなでシェアして活動できるような、そんな人材になりたいと思ったわけです。

 で、だったら勉強するしかないかなと思いたって、なんだか英国まできたわけです。

 この数ヶ月の勉強でわかったことは、「Healthcare Managementにゴールドスタンダードはない」ってこと。 
 んー、、 まだまだ勉強は続きそうです。
 

10 November 2007

英国に持ってきて良かったもの

 さて、今回は渡英に当たり「持ってきて良かった―」って思ったものを書いてみます。

 まず、「おはし」
 当たり前っちゃぁ、あたりまえなんですが、お箸ってあんまり売ってないんですよね。
 China townやKoreanがやっているお店なんかでは、プラスチックでできた25㎝くらいあるんじゃないかっていうお箸は売っているんですが、木や漆が塗っているようなものとは、ちょっとお目にかかれません。 友達と一緒に食事をするときなんかを考えて、3膳ほど持ってきてたのですが、役に立ってます。

 次に、「さいばし」
 料理をするときに、いつも使っていた道具っていうのはやっぱり持ってきて良かったなと。
 竹でできた製品って、あんまり売っていないのね、英国って。(あたりまえか、、)
 こちらだと、炒めるときなどは木でできた大きなスプーンやフォークのようなもの(サラダを取り分けるときに使うようなもの)や、フライパン返しみたいなものを使うのですが、やっぱりなんというか、菜箸って便利なんですよ。
 菜箸だと、とき卵みたいに何かをかき混ぜる時も、フライパンにくっついた細かいごはんなんかを集める時も、パスタとソースをからめる時も、一番うまくいく気がします。

 さらに、「竹ベラ」
 こちらの木でできたものに比べて、ヘラの先の厚みが薄いので、フライパンとの接点が大きくなって炒めるときとかにうまくいきます。
 「弘法、筆を選ばず」と言いますが、いやいや、やっぱし料理にいい道具は必要です!

 それから、「スターバックスのタンブラー」
 アメリカとか日本では、結構使っている人を見かけますが、Manchesterではほとんど見かけないですね。何ででしょうか?英国で売っているタンブラーは、横にすると中身がこぼれてしまうような設計なのですが、スタバのタンブラー(別にスタバのじゃなくてもいいんですが)ゴムのパッキンがしっかりしているものだと、リュックに入れても大丈夫なので、重宝します。 私のはアメリカで買ったものですが、日本のスタバにも同じようなものが売ってます。
 カプチーノを飲むたびに紙コップを使うのが、なんかすごくもったいないので、学校に行くときには必ずコーヒーか紅茶にミルクをたっぷり入れて、持っていくことにしています。
 Manchesterにあるスタバでタンブラーを売ってるかなーってのぞいてみるんですが、おいてあるのを見たことがないのです。 Webでは売っているみたいなんですけど。
 今のクラスメートからも、日本から買ってきてくれないかって頼まれたりします。
 先日、大学のビルのエレベーターの中で飲んでいたら、知らない教授に「どこで手に入れたのか教えてほしい」って言われて、アメリカで買ってきたって言ったら、今度の出張で買ってこようって言ってました(笑)

 あとは、学生として留学するからっていうのもありますが、文房具を持ってきて良かったなと。
 ホチキス、ボールペン、ハサミ、カッター、穴あけパンチ、消しゴム、定規。
 別に、こちらでももちろん購入できるんですが、学校が始まってすぐに使うものとして、あるととっても便利です。 特に、カッターは重宝してます。 手荷物ではなく、預ける荷物の中に入れてしまえば、刃物でも持ってくることができます。

 それから、「爪切り」、「毛抜き」、「みみかき」
 ためしに英国の爪切りと毛抜きを使ってみたら、切れないし抜けない。
 っていうか、ちゃんと刃が合わさっていない、、、、 別に日本のものがMade in Japanじゃぁないんでしょうし、英国で売っているものがMade in UKじゃないんでしょうけど、なんていうか、「精密さ加減」が違うような気がする、、
 あとは、(これまた竹でできた)みみかきは、必需品かなと。

 どれもこれも、なくても別に生きては行けるし、代用品ももちろんあるんですが、何というか、使うたびに「持ってきて良かったなぁ」と思うわけです、はい。

08 November 2007

その名も NICE!

 英国ではNHS(National Health Service)がほぼ英国内全域にわたって医療を提供しているわけなんですが、そのNHSのなかにNICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)という独立した組織があります。

 NICE:http://www.nice.org.uk/

 NICEでは、薬剤・医療機器・検査などに関して、最新のEvidenceをもとにしたガイドラインを作成し、それを提供しています。

 ガイドラインは、おもに3つの分野にわたっています。

 1)公衆衛生:Public Health
    NHSで働くひとを含め、労働者や一般を対象にした予防医療に関するもの
 2)医療テクノロジー
    NHSで提供される、医療機器、診断や治療の手技・手法などに対してのもの
 3)臨床手技:Clinical Practice
    NHSで提供される、患者さんの特定の疾病・症候に対しての治療やケアに対してのもの

 よく「ガイドライン」というと、特定の疾患に関しての診断・治療に関するものを連想しますが、このNICEのガイドラインは、それを大きく上回る規模があります。

 しかも、どのガイドラインに対しても、常にアップデートが行われていて、一体どれほどの人員と予算をかけてこのシステムを作り上げているのか、非常に興味あります。

 NHSの医療機関や医療従事者は、このガイドラインを遵守する義務はないようですが、このガイドラインに基づいてAudit(質管理)がされてそれにより組織への予算配分に影響するために、必然的にガイドラインに近い診療を提供することになるようです。 (ちなみに、NHS全体の予算配分は、ものすごくおおざっぱに言うと、NHS本体から4つ(NHS in Northern Ireland, Scotland, Wales, and England)の地域へ配分され、さらにPrimary Care Trustなどが地域の病院・診療所に配分するという形になります。)

 さらに言うなら、ガイドラインを「発表・発行しっぱなし」ではなく、どのように現場に導入したらいいのかということを、How to Implement guidelines という形で提供しているあたりも、見習う必要があると思いました。 
 どんなに素晴らしいガイドラインであっても、その方法論が現場に即していない、あるいは現場に導入する際に大幅な変更を余儀なくされる場合には、往々にしてガイドラインが無視される形になっちゃうこともありますものね、、、

 Implementation tools:http://www.nice.org.uk/usingguidance/implementationtools/implementation_tools.jsp

 ただし、非常に速いスピードで新しいガイドラインが発行され、さらにReviseされたものが出てくるので、医療従事者個人にそのCatch upを任せることは難しいと思われます。そこで、組織の中にこうした質管理を担当する人員が配置され、さまざまな臨床現場の生のデータが集められて評価されているようです。

 一事が万事、システム構築です。
 日本のように、個々の医師にその資質や能力の発展を依存するのではなく、システムとして教育や質管理や組織運営の観点からサポートする体制が取られているようです。
 もちろん万全とはいえないからこそ、どんどんNHSも変わっていっているわけですが、学ぶところはたくさんありそうです。

While NHS serves healthcare in most of area in UK, there is an independent organisation named NICE to improve people's health and prevent illness. NICE establishes many practice guidelines related to public health, technology and treatment based on Evidence-based Medicine.

According to information from the website of NICE, these guidelines are categorised into 3 section; (Available at: http://www.nice.org.uk/aboutnice/about_nice.jsp)
  • public health - guidance on the promotion of good health and the prevention of ill health for those working in the NHS, local authorities and the wider public and voluntary sector
  • health technologies - guidance on the use of new and existing medicines, treatments and procedures within the NHS
  • clinical practice - guidance on the appropriate treatment and care of people with specific diseases and conditions within the NHS.
For us, as Japanese physicians, 'The Guideline' shows how to diagnose and treat particular diseases and symptoms. However, contents in NICE are more than you imagine!

In addition, most of guidelines are revised and up-dated regularly. I would like to know how this system is organised and managed with skilled professional human resources and funding.

Administrators, Executives, and clinical professionals would not have to follow these guidelines exactly; however, budgeting is based on the outcome of Audit, thus their performance would follow the quality which NICE's guideline shows.

Furthermore, it could be important suggestion for us to learn how to implement guidelines into practice. There are skills sets on the web to support administrators to apply and implement guidelines into practice. They provide not only guideline itself, but also practical skills for clinical professionals to fill the gap in real clinical setting.

Also, an individual physician is not only person to take responsibility for clinical quality outcome and up-to-date their ability at clinical setting. Many professionals support quality control system and manage based on specific knowledge.

I think, a clinical quality is very depending on individual physician's attitude and moral in Japan. IN NHS, there are huge amount of examples and failure related to education, quality control and management of systems which we could learn and apply into our healthcare system.

05 November 2007

Manchesterの交通事情

 生活する上では、ほとんど「徒歩」でどうにかなってしまいます。
 大学の一番南からManchester Piccadilly駅までは、歩いて20分くらい。
 自転車を購入しようとも考えましたが、「即効で盗まれるよ~」って言われてあきらめました、、
 スケボーやインラインスケートで歩道を滑走する人もいます。 

 Manchesterでちょっと遠くまで行くときにしょっちゅう使うのが、バス。 たくさんの会社が運行しています。
 困ったことに、どこにも「乗車賃」が載ってないんですね。ときどき「運転手の言い値か?」と思うこともあります、、、

 バスに乗るときは、行き先を告げると運転手さんがチケットをプリントアウトしてくれます。
 1回に0.8ポンドから1.7ポンド。 長距離になると3ポンド位になります。
 1ポンド240円と計算すると、「エエッ?!」ってかんじ。 なので、学校まではもっぱら歩きます。
 1日乗り放題で3ポンド、1週間のパスだと9ポンド位。
 シーズンチケットや年間チケットもありますが、毎日学校に行くのでなければ割高になってしまいます。
 さらに言うなら、「時刻表はないと思え」という感じでしょうか。
 始発停留所から乗ろうとしても、時刻どおりに乗れたためしがない。
 なので、みなさん停留所で待っている人に「どれくらい待ってる?」とか「**行きはいっちゃったかしら?」などと聞いて回っています。 でもみんな、あんまり気にしてないみたい。。


 City Centreから郊外まではTramが走ってます。
 乗る前にチケットを買うんですが、改札もなければ車掌さんの確認もなく、「良心」に基づいて料金を支払う制度なのか?と思ってしまいます。
 郊外は、今まさに建設ラッシュで、お台場みたいに巨大なビルとマンションが立ち並んでいますし、大きなショッピングモールもあります。
 METROLINK:http://www.metrolink.co.uk/


 LeedsやBirmingham、Londonなどへの長距離の場合には、電車を使います。
 早めにインターネットで予約して購入すると、Londonまで片道9ポンドほどで行けることも。
 学生は約30%割引になるので、Student Cardを作るとお得なのです。
 Student Cardは、いくつになっても大学院の学生でも作ることができます。
 乗り心地は、明らかに日本の新幹線のほうが勝ってますし、多くの乗客を乗せられると思います。
 Londonでは日本の新幹線車両を導入するなんて話もあるそうで、「素晴らしい!」
 座席は2席や4席にテーブルがついていたりするので、相乗りになった人とおしゃべりしながら旅行することもできます。
 さすがに列車は「時刻表は、ある」のですが、どのホームから乗るかは直前にならないとわからない。さらに言うなら、途中の駅では時刻通りには電車は来ない。
 先日、突然列車が止まったのでどうしたかと思っていたら、乗客が非常扉を開けたんだそうで、、
 そこで車掌さんのアナウンスが、「現在停車しておりますし、もう少し時間がかかると思いますが、5分ほど早く運行してますので大丈夫です。」とのこと。 早いってどういうことですか?! 時刻どおりに運行するなんて、そもそも不可能でしょ?っていう前提で動いているようですねぇ、、Sorryなんて絶対聞けません。
 National Rail Enquiries:http://www.nationalrail.co.uk/

 Great Manchesterの交通全般は、GMPTM(Official public transport site for Greater Manchester)からどうぞ。 
 GMPTM:http://www.gmpte.com/

台所の蛇口

 英国に来てから、生活する上でいろんなところで、怒ってしまう、というか、怒りを通り越してあきれてしまう現象が多々あるんですが、それを気ままに書いてみようと思います。

 本当にたくさんあるんですが、とりあえず、「台所の蛇口」から行ってみましょうか。

 台所って、料理するところですよね。 当然、お皿やお鍋を洗ったりするわけです。
 油のついたものは、お湯で流したいと思うし、野菜はお水で洗いたい。

 でも、熱湯のようなお湯と氷のように冷たい水では、お皿を洗う時に困るんですよ。
 
 想像してみてください。
 お風呂の蛇口が、お湯とお水で別の蛇口になってたら、なんか、がっかりでしょ?

 大学の寮の台所は、熱湯のようなお湯が出てくる蛇口と、水の蛇口がそれぞれ別なんです。
 しかも、蛇口の長さが短いので、お皿まで水流が届かない!
 じゃぁ、シンクに程よい温度の水をためて洗いましょうかと思うんですが、その排水口を閉じるためのゴムのような蓋が、ない!

 毎回、ご飯を食べてからの食器洗いが、結構「がっかり」な感じなんですよねー。
 設計した人、絶対自分で料理作らない人だと思いますね。
 想像力に欠けるというか、親切じゃないというか、あたまが悪いというか。

 それに引き替え、部屋についている洗面台の蛇口は、お湯と水が調節できるようになっているんですよね。 やればできるじゃん、みたいな。

 さて、これからお皿を洗いに行ってきます、、、

04 November 2007

Comparative Health Policy - Book Review


 Comparative Health Policy - Robert H. Black and Viola Burau   ISBN 0-333-98599-0  (Palgrave Macmillan)  

 現在のコースにおける推薦図書のひとつ。
 
 世界の医療政策に関する比較を、政治的・歴史的・文化的背景に基づいて分析したり、予算配分や責任の所在、Human Resource、医療専門職への対応、公衆衛生に対する姿勢、などの多くの視点から分析をしています。 統計学的データは主にOECDから持ってきてありました。
 

 学生を対象に書かれており、内容もJournalに投稿されているような難しい書かれ方ではないので、比較的読みやすかったです。
 
 「医療政策とかって、政治家と役人が考えたらいいんでないの?」 と思っているような医療従事者に対して、まさに自分たちの現場で起きていることが政策に直結しているのだと思わせてくれるような内容になっています。
 
 
 あえて弱点を指摘するなら、OECDからのデータを時々Modifyしてるところ。
 「IT発展や医療にかけるコストと医療の質は反映しない」ということを述べている箇所で、MRI保有台数のリストを載せていますが、(あえて?)日本のデータは載せてありません。
 日本は、MRI保有台数、平均寿命とも現時点で世界1ですから、筆者の言わんとしていることに相反するんですね。   だからといって、この本の有用性は変わらないです。
 医療政策の全体像をわかりやすく解説してありますし、臨床現場にいる医療従事者が自国の医療政策に目を向けるいいきっかけを作ってくれるんじゃないかと思います。
 

 このBook Reviewは、コースでの最初のAssignment(1000 words)でしたー。
 
 ちょっとmodifyして載せますー。
 文法間違いなどなど、お許しを―

*Book Review (Assignment)

To understand overall idea of health care system and related policy among many countries could be a challenge for clinical professionals and under graduates and postgraduate students. The book named Comparative Healthcare Policy written by Robert H. Blank and Viola Burau published by Palgrave MacMillan, New York in 2004 (ISBN 0-333-98599-0) introduces cross-country comparison in health care issues and concerns with statistical data and practical examples. This is one of the recommended books for the students of Masters of Healthcare Management at Manchester Business School in 2007.

One of the authors, Dr. Robert H. Blank, the chair of public policy at Brunel University in London, has published many books related healthcare issues and policies. Ms. Viola Burau is another author, the associate professor of political science at University of Aarhus in Denmark, and interested in comparative analysis of health policy. Both of them have published health policy related academic articles. This book is written primarily for students; however, highly evaluated contents would be suitable for stakeholders who responsible for making healthcare policy. Worldwide healthcare systems are examined from various views such as background context, financing and resourcing, and medical professionals’ standpoints. In this review, firstly the strength points will be indicated and these strength points will be examined. To follow the discussion about strength, the weakness of the discussion in this book will be described and an analysis of the weakness will be explained. Finally, conclusion will be given in the end of this book review.

 There would be two strength points in this book to understand the worldwide health care policy. One of the strength points could be wide range of aspects to analyse worldwide health care systems. The authors analyse the health policy in each countries from the government side to the position of medical professionals and home care which ‘is a complex policy field’ (P 167). While most of developed countries have been facing many health care issues such as increasing health care expenditure, the problem solving approaches are different. By comparing historical and statistical data of countries, the authors successfully show that there is no perfect solution to sustain health care systems efficiently in each country. Moreover, several potential schemes to make future health care policies are suggested by introducing background context and financing and resourcing structures in health care system to existing problems. In addition to the analysis from decision makers’ view, medical professionals’ roles in health care policy are emphasised. It is suggested that the implication with appreciating the role of professionals is crucial when health policy is established. This result of analysis would encourage medical professionals who are tackling daily issues in practical setting to recognise how essential their behaviour towards making health policy.

Using a lot of examples of real practice in different countries would be the other strength point of this book. To describe with a combination of academic theories and practical examples has an advantage to make readers understand the idea of health policy. Additionally, comparing and comparison of practical examples in different countries are helpful not only to understand the specific aspect of topic in each chapter, but also to grasp overall idea of health care policy. This approach would be beneficial especially for students.

 On the other hand, one possible weak point in the book would be that the amount of patients’ opinions towards health care system is relatively small compared with the rest of the facts based on statistical data and academic research papers. Although there are tables which show the types and settings of health care services and the expenditure on medical services (pp 74-75) and description about health care choices in many countries, the facts related to the patients’ satisfaction about healthcare in different services are limited. The patients’ opinions such as satisfaction rate and their behaviour among each health care system would be helpful to expand the understanding of efficient health policy in different countries and cultures. Furthermore, explaining of the strategies to control the power of media which affects patients’ opinion could be more beneficial to recognise patients’ health care demands in each country.

In addition, some statistical data from Organisation for Economic Co-operation and Development is not up-to-dated. For example, table 4.1 on page 91 shows MRI units per million population in 1995; however the data of Japan in where the highest number of MRI is available is not listed in this table. If there is the data of Japan such as 35 in 2003 (ECD 2006), the conclusion of the authors that the measuring healthcare quality with technological developments such as MRI units’ availability is questionable would be difficult. Because, Japanese life expectancy also the highest in the world base on the WHO data (WHO 2006).

In conclusion, this book could be one of the good resources especially for students who would like to expand their health policy. Although some weak points such as relatively small amount of patients’ voice and non up-to-date resources could be suggested, these points would not significantly decrease the quality of this book. Most of contents are well analysed with wide range of aspects supported by large amounts of practical examples and academic data of different countries. Moreover, the reader of this book would be realised that these advantages would make them not only understand about what health policy is, but also have the new idea to solve existing healthcare issues in their own countries.

Bibliography

OECD (2006) [Online] OECD Health Data ‘OECD Health Data 2006 How Does Japan Compare’ available at: http://www.oecd.org/dataoecd/30/19/36959131.pdf [Accessed 9th October 2007]

WHO (2006) [Online] ‘Core Health Indicators’ Available at: http://www.who.int/whosis/database/country/compare.cfm?strISO3_select=JPN&strIndicator_select=HALE0Male,HALE0Female&language=english&order_by=FirstValue%20DESC [Accessed 11th October 2007]