30 September 2008

Organisational culture and performance

 修士論文を書く上で、絶対に外せなかった、非常に重要と思われる論文をご紹介。
 Organisational culture(組織文化)と医療におけるPerformanceとの関連についてのレビューです。
 全文を読むには、Subscribeが必要です。

Scott,T., Mannion, R., Marshall, M. and Davies, H. (2003) 'Does organisational culture influence health care performance? A review of the evidence'. Journal of Health Services Research and Policy, (8), p.105-117.
http://jhsrp.rsmjournals.com/cgi/content/abstract/8/2/105

Objective: To review the evidence for a relationship between organisational culture and health care performance.

Methods: Qualitative comprehensive review: all empirical studies exploring a relationship between organisational culture (broadly defined) and health care performance (broadly defined) were identified by a comprehensive search of the literature. Study methods and results were analysed qualitatively to provide a narrative review with integrative discussion.

Results: Ten studies met the inclusion criteria. There was considerable variation in the design, study setting, quality of reporting and aspects of culture/performance considered. Four of the ten studies reviewed in detail claimed to have uncovered supportive evidence for the hypothesis that culture and performance are linked. All the other studies failed to find a link, though none provided strong evidence against the hypothesis.

Conclusions: There is some evidence to suggest that organisational culture may be a relevant factor in health care performance, yet articulating the nature of that relationship proves difficult. Simple relationships such as 'strong culture leads to good performance' are not supported by this review. Instead, the evidence suggests a more contingent relationship, in that those aspects of performance valued within different cultures may be enhanced within organisations that exhibit those cultural traits. A striking finding is the difficulty in defining and operationalising both 'culture' and 'performance' as variables that are conceptually and practically distinct. Considerably greater methodological ingenuity will be required to unravel the relationship(s) between organisational culture(s) and performance(s). Current policy prescriptions, which seek service improvements through cultural transformation, are in need of a more secure evidential base.
 (途中の太字は、私が付けました)

 このレビューでは、いくつかの論文をかなり詳細にわたって分析してあり、Methodologyの問題や研究の限界などに触れながら、それぞれの研究における結果をサマライズしてあります。

 たとえば、レビューされた1つの論文では、個々の小グループ同士の連携の良さはパフォーマンスにプラスの影響を及ぼしていることがわかったけれども、グループの中での(個々人の)連携の良さはパフォーマンスとは関連していない、という結果が出ていまた。

 このレビューでは、よく言われがちな「良い・強い組織文化のある所では、よいパフォーマンスが出せる」というような単純な公式は成り立たない、ということが強調されています。

 また、「文化」と「パフォーマンス」のどちらが先か、つまり、良い文化のあるところでパフォーマンスが良いのか、あるいは、パフォーマンスがいい状態が良い文化を生み出しているのか、という議論があると指摘しています。
 さらに、パフォーマンスを測定する上で、対象を分類する必要性(組織に属する個々人を焦点に当てた場合と小グループ、組織全体など)、また、その組織の属している地域からの影響(地域特性や文化、患者のニーズなど)を加味しない限りは、組織の文化・パフォーマンスを議論することに限界がある、とも指摘しています。

 学習する組織はいいパフォーマンスを出せる、と様々なビジネス書に書かれています。なんとなく大枠では「ただしそう」ですが、厳密に研究をするとなると、疑問がまだ残るようです。ただし、レビューにもありましたが、はっきりとしたプラス方向のEvidenceがないからと言って、Organisational cultureとPerformanceに関連がないとは言えない、とのこと。
 今後、さらに研究手法を工夫したリサーチが必要とのことです。

 うーん、、 
「質を改善する」ということを突き詰めていくと、本当に迷い子になってしまいます。

25 September 2008

MMR接種率

 Londonにはフリーペーパーがたくさんありますが、そのうちほぼ毎日貰ってくるのがThe London paperとLondon Liteという新聞。 サッカー記事とゴシップだらけですが、それなりに今の情勢をつかむのには、まぁ使えると。 
 それぞれに数独というパズルが3問づつのっていて、それを解きながら家に帰るのが日課です。



 さて、Liteから記事を一つ。
 [ London Lite, 24 Sep 2008, p4 ]
 
 全英の5才以下のMMRワクチンの接種率は74%ですが、London市内に限っては49%。今年の6月には10代の子供がはしかで亡くなっており、大流行をする前に接種することが望まれている。London市内の各PCT (Primary Care Trust)に対して6万GBP (1GBP=200YENとして1200万円)の予算をつけて、18歳以下の子供たちへのワクチン接種を勧めている、という内容。
(London市内にはPCTが31あるので、合計で約3億7千万円の予算が投じられているということになります。)

 本日のコラムには、辛口の内容。Shame on the selfish parents who shun MMR
 [ London Lite, 25 Sep 2008 web ]
 
 いわく、MMRワクチンを子供に接種しない親は、自己中心的で、反社会的である。 NHS (National Health Service)のコンピューターが不具合を起こしていたとしても、あるいはMMRワクチンの接種によって自閉症が起きる可能性があると思いこんでいても、それはいいわけである。 とのこと。
 
 MMRワクチンとは、measles:はしか(麻疹)、mumpus:おたふくかぜ、rubella:風疹の3つの種類が入ったワクチンのこと。 英国では、生後13カ月前後で1回目を接種し、3歳から5歳の間に第2回目(ブースター:免疫を活性化させる)を打つことになっています。
 接種のスケジュールがいろいろ変わったり、また13 billion GBP (2兆6千億円)かけたITシステムがうまく機能していないせいもあり、医療者も患者さんも混乱しているというのも低い接種率の一因かもしれません。
 日本やドイツで以前使われていたMMRワクチンでは髄膜炎が発症する可能性が指摘されていましたが、英国で使用されているMMRワクチンのなかのmumpus株(Jeryl Lynn株:ワクチンの種類)ではその可能性は限りなく低い(100万人に1人)とのことで、MMRワクチンを勧めることになっているようです。
 また、自閉症との関連性では、1989年にLancetで論文が発表されてから医療現場でも混乱があったようですが、その研究自体に疑問があり、現在では否定的な意見が多いようです。

 現在、私の勤めている診療所でも、NHSよりMMR予防接種のCatch up programmeを勧めるよう通達があり、該当するお子さんを持つ親御さんに予防接種を勧めているところです。
 The MMR catch-up programme

 日本から英国に来られているご家族では、日本での接種時期を逃したまま英国に住んでいるという方もおり、何かで受診されるごとに声をかけている、という現状です。

 少し古いですが、日本の予防接種行政に関しての問題提起を、感染症の専門医である五味先生が寄稿されています。
 日本の予防接種行政を考える
 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2003dir/n2547dir/n2547_03.htm

 日本では、WHOよりはしかに対しての最も対策の遅れた国として指摘されており、2006年よりはしかワクチンの2回打ちが施行されました。が、2006年の国立感染症研究所感染症情報センターが実施した全国調査においては、就学前児童のワクチン接種率は29.4%とかなり低い結果が出ています。
 また、
 昨年、日本では大学生のはしか大流行があったばかりですが、国立感染症センターの統計では2008年9月17日現在で、すでに10,774件報告されています。
 国立感染症センター 麻疹発生状況 2008年第37週
 http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

 麻疹を撲滅するには95%以上の接種率を目指すべきとWHOが勧告を出しており、日本は2012年までにそれを達成するべく取り組みが行われている、ということですが、、

 いずれにせよ、毎日患者さんを診ているPrimary careの現場の医療者たちが、本腰を入れて取り組まないといけない課題の一つです。 子どもを診ている小児科医だけでなく、子供のいる親を診療したならば、あるいは孫のいる祖父母を診たならば、「お子さん(お孫さん)の予防接種はお済みですか?」と一声かけることも、家庭医としては必須です。

 これからインフルエンザワクチンを接種する時期に入ってきます。
 英国や米国では、1度に2種類以上のワクチンを打つことは普通ですが、日本ではまだまだ実行が難しいかもしれません。それでも、スケジュールを組んで、しっかり勧めていきたいですよね。

 ただでも忙しい診療の中で、どうやってワクチン接種を勧めていくか。これは、システムを改善する必要もあるでしょう。電子カルテでアラートが出せるなら、18歳以下の患者さんが来たときに、自動的にワクチン接種歴について問診するアラートを出すとか、紙カルテの間にリマインダー用紙を挟む、受付の時点でハンドアウトを渡すなど、診療所・病院全体での取り組みが必要になってくると思います。接種希望があった際に、すぐに打てるよう在庫を管理するなど、薬剤部との協力も不可欠です。
 日本でも、英国でも、あるいは世界のどこでも、その地域を守る意味でPrimary careを担うものとして、心して取り組みたいと思います。

羊が一匹、羊が二匹、、


 LondonとManchesterを往復するにはNational Railを使うのですが、その間の田園風景が本当に心を和ませてくれるので、私はとても大好きです。
 
 右の写真は、電車の中からとったものです。
 白く見えるのが、みんな羊です。
 7月、8月にはいたるところで羊が放牧されていました。いまは、飼料を刈り取って冬支度をしている平原が多くなってきました。

 こうした風景を見るたびに、「あぁーUKだなぁー」って思います。

 もともと移動中が一番仕事がはかどる(原稿書きやら資料づくり)のですが、列車の中でがーっと仕事をしている合間に、フッと外に目をやると羊がのんびり草を食んでいるのが見られるので、ホッと一息つくにはもってこいです。

 それに、レンガが崩れそうなくらいに古い民家や教会など、UKの田園地帯をながめるのは本当にほっとします。

 いつか、ゆっくり田園地帯を旅して、「なぁんにもしない旅行」というのを計画したいなぁなんて思います。

21 September 2008

先に見える扉 その1:Anthropology

 Healthcare managementというものの見方で1年間学びを続け、含まれるSubjectのすべては網羅できなくとも、なんとなく「こんなかんじ?!」というのがわかったようになり、少なくとも、どの分野についてはどのJournalがいいとか、どのあたりの本を探せばいいのかという見当はつくようになりました。

 Dissertation(修士論文)を作成するにあたり、思考があっちに行ったりこっちに行ったりしながら様々なAcademic subjectsに出会いました。

 その中の一つが、Anthropology (人類学)です。
 ま、これは、「あなたの興味の分野はAnthropologyじゃないの?」とMentorやら先輩方から指摘されて気がついた、というものですが。。

 そもそも高校生の時に「人って何なのか、知りたい」という動機から、なぜか医学部を受験したことを振り返ると、最初からSociology(社会学)やAnthropologyが学びたいことだったのかもなぁ、、なんて思っています。
 けれども、医師という仕事、家庭医という役割、Healthcare Managementという見方を経験した今が、一番Anthropology/Sociologyを学ぶのに適した時期、なのかも、しれないです。

 さて、じゃぁ、Anthropologyってなんだ?ってことで、大学の図書館から借りてきました。
 その名も、
 What is anthropology
 Thomas H. Eriksen (2004) London:Pluto Press

 その中に定義として、一言で言うならば、Anthropologyとは、
the comparative study of culture and society, with a focus on local life.

 と書かれています。(Eriksen, 2004:p9)

 以前は、人類学というと、どこかの未開の地に行って新しい人類の生活スタイルを発見するとか、人類の文化に序列をつけて、どこの地域(文化)がより発達してるとかしてないとか、って言うことを議論していた(18世紀まで)そうなんですね。
 それが、19世紀に入り、その特定の地域に存在する文化はその地域独自のものであり、他の文化と比べてどちらが優位とかいうものはなく(Cultural relativism)、その地域に特異的で独自の歴史的発達を遂げており、どの文化も通過するといったような発達段階などはない(Historical particulatism)というような考え方が出てきたんだそうです。(個人的には、こうした「序列なんてない」という考え方が、USのAnthropologist(Franz Boas)から提唱されたのが興味深いですが。)
 
 自分の「外」や「違うもの」を認識することを通じて、普段はなかなか意識に上ってこないような('homeblindness' (p15))自分の「内」や「あたりまえ」というものが、その地域や習慣に基づくものだという認識をすることが、Anthropologyを学ぶにあたって大切なんだそうです。

 また、研究方法の一つとして、研究対象の地域にどっぷり浸かって一緒に生活しながら研究を進めるというparticipant observationというのも、この分野の研究手法でよくつかわれるもののようです。

 まだほんの少ししか読んでいませんが、こうしてみると、家庭医として働いているということで、Anthropologcalな視点が育つなぁなんて思いました。その地域にどっぷりつかり、その地域で生活し、その地域の独自性を認識しながら、その地域の問題に対処していこうとするのですもんね。常に頭の中は、「何で?どうして?」を考えているあたりなんかもね。(あ、ちょっとこじつけですか?)

 Anthropologyの中にも、またいろいろわかれているようなので、それはまた後々ってことで。 
 

20 September 2008

7つの習慣: 7 habits

 今さらって感じですが、英語で読んでみて、なるほどーって思ったので、日本語ではどんな風に表現してるんだろうと思って、再度読み返してみています。

7つの習慣―成功には原則があった!
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 昨日、Londonで大変お世話になってるN先生とも話したのですが、これって、これまでの哲学者やいろんな著名人達がいい伝えてきたものを上手くサマライズしてくれてます。

 でも、
 「それはわかってるけど、それが出来ないっていうのが困ってるんじゃん!」
 ってかんじ。

 ただ、「人にはそれぞれの使命があり、それを達成するために一番大切にすべきことを中心に、生きていきましょう」というのには納得。
 本の中の例で、マネジャーは森を切り開くときに、効率よく切り開くための方略をつかさどっており、リーダーというのは、その森を高いところから見て、切り開くべき森かどうかを見極める、というのがあります。
 自分自身の中にマネージャーとリーダーがいて、えてしてマネージャー(いろんなツールを使って効率よくタスクを進めていく)が主導権を握り、リーダー(どこに向かって進んでいくか)がしっかりしていないことがあります。そうすると、間違ったところに早く着くだけで、結局本当の目的地には、たどりつけない。

 Time managementやいろいろなツールは、「自分自身が何を一番大切に思っているのか」という自分のミッションステイトメントがあって、初めて生きてくるものなんだよなぁーって、痛感。もうちょっと、右脳(直感)だけじゃなくて左脳(分析)も使わないとな、うん。

 いろいろな自己啓発系の本や教育学、マネジメント系の本を読んで、うーんって頭がごちゃごちゃになっているときに、再度読み返してみると、ふっと繋がるところがあったりします。
 あぁ、そうだった、そうだった。私が目指しているのは、こっちじゃなくてあっちだった、みたいな、ね。

Infection control vs Environment

 UKで生活をして1年がたちますが、今もまだ、毎日1つは驚いてしまう日々を送っています。
 そんな中、UKで医療を行うようになって、何しろ驚いたことの一つ、それは

 外来で使用する医療器具は基本的に「全て」ディスポーザブル

 ということ。

 たとえば、小さな傷を縫うとき、日本であれば、洗浄・消毒して滅菌されたセッシ(ピンセット)やはさみを使います。 利用し終わったら、また洗浄・消毒の上、滅菌します。切れ味が悪くなれば刃を研ぎます。大きな病院では、医療材料部などの部門が、せっせときれいにしてくれています。

 が、UKでは、1回使いきりで、その後は全て「医療廃棄物」として捨てます。
 水いぼを取ったピンセット(ステンレス)も、ガーゼを切っただけのハサミ(ステンレス)も、膣内を観察するのにつかったクスコ(プラスチック)も、傷を縫うために使ったカンシや持針器(ステンレス)なども、すべて「ゴミ」になります。
 使う時には、滅菌済みの紙袋から取り出し、使ったら、すべて医療廃棄物用ゴミ箱行きです。
 ですから、処置台の上にセッシ立てやガーゼカストなんてものは見当たりません。

 思わず「もったいないなぁ、、」というのが感想。
 洗って消毒すれば使えるのになぁ、医療廃棄物として捨てるとなると資源は回収できないようなぁ、埋立地はどうしてるんだろう、、などと考えてしまいます。

 また、点滴の容器やチューブも、分別ではなく、すべてのルート(点滴パックから点滴の針まで)を一括してゴミ箱行きです。

 なぜそうした処理方法になったのか、この医療廃棄物はどのようにして処理されているのか、などについては、これから調べてみようと思っていますが、いやぁ、全部捨てちゃうというのはなぁーという感じ。
 いずれ地上のすべての鉱物の原材料がなくなった時、こうしたステンレスを掘り返すことになるんだろうかなどと、えらい先のことまで考えてしまいます。

 再利用するにもコストがかかりますが、捨ててしまうのにも当然コストがかかる。
 おそらく、医療事故などのコストも考えた上での判断なのでしょうが、何しろびっくりです。 全部洗って、消毒して、医療器具が足りなくて困っているところに出荷したらどうだろうなんて、考えてしまいます。(たぶん、医師法違反でしょうね、これは。)
 
 何かいいアイデアはないもんかと思ってしまいます。

17 September 2008

Healthcare Management

 まずはHealthcare Managementの守備範囲について、また今現在議論になっていることなどについて網羅したものを読むとしたら、これ。

 
Healthcare Management
Healthcare Management
  • 発売元: Open Univ Pr
  • 価格: ¥ 6,116
  • 発売日: 2006/11/30


 MSc Healthcare ManagementのHealth Policyについて講義してくださった Kieran Walshe が編集されたもので、まずはこれを読むことで、大枠について理解ができます。

 課題のEssayを核にあたって、まずこれを読んで、それから参考文献を当たり、どんどん孫引きをしていくという方法をとりました。

目次
1) Introduction: The current and future challenges of healthcare management
2) The politics of healthcare and the health policy process: implications for healthcare management
3) Financing healthcare: financing systems and healthcare costs
4) Healthcare systems: An overview of health service provision and service delivery
5) Managing healthcare technologies and innovation
6) Health and Well-being: The wider context for healthcare management
7) Managing in primary care
8) Managing in acute care
9) Managing in mental health
10) Service and capital management
11) Healthcare system strategy and planning
12) Healthcare commissioning and contracting
13) Information technology and information systems: so beguiling, so difficult
14) Human resource management in healthcare
15) Working with healthcare professionals
16) Governance and the work of health service boards
17) Managing in partnership with other agencies
18) Performance measurement and improvement
19) Leadership and its development in healthcare
20) Organisational development and organisational design
21) Personal effectiveness
22) Appreciating the challenge of change
23) Managing resources
24) Managing the people: the dynamics of teamwork
25) The user perspectives and user involvement
26) Quality improvement in healthcare
27) Research, evaluation and evidence-based management
28) Conclusion: complexity, challenge and creativity in healthcare management

Finish!


 またまたご無沙汰をいたしました。
 日本ではまだ残暑が厳しいと聞いています。台風の接近も心配ですね。

 さて、先週の土曜日、この1年間のMasters programmeの最後の課題であるDissertationを提出いたしました。
 Time managementについて人に語ることもあるというのに、やっぱり直前まで(提出日の午前10時まで)あーでもない、こーでもないと書き直し続け、最後には、とりあえず形にして提出、という感じになってしまいました。

 PassかFailかは、11月にならないと分からないですが、なんとかPassしてたらなぁと願っております。

 テーマは、なぜ日本のPrimary care の現場では、数多くの患者さんを待ち時間が少ない状態でManage出来ているのか、ということをCase studyとして解析するというものです。

 そもそもは、英国のNHS(National Health Service)での(日本の感覚からは)想像を絶する待ち時間(Waiting lists)があるということがどうしても理解しがたく、最初の授業を受けたときからずーっと疑問になっていたからなのでした。
 本来なら、NHSを舞台にResearchをしたかったのですが、さまざまな制約があり実現しがたい現実があり、逆に、なぜ日本では可能なのか?という質問に置き換えて、かつてお世話になった日本の診療所についてのCase studyという形をとりました。

 Researchは、質的研究の手法をとり、Overt Observation(観察されている人たちが観察されていると分かる状況での観察研究手法)と、Group interviewという方法をメインに、診療所の背景や研究機関に診療所をおとづれた患者さんの数などを提示し、なぜ多数の患者さんの診療を、検査なども含めて「その日のうちに」終了させることができているのか、看護師さんたちの働き方に焦点を当ててStudyをすすめていきました。

 Observation、Interviewを通じて、これほどまでに「できる」看護師さんたちに囲まれて仕事ができていたのだと、本当に感謝し、またさらに、どうしてこうした看護師さんたちが生み出されるのか、どういった要素が彼女たちのモチベーションに影響しているのか、さらに興味がわいてきました。
 日本の看護教育の特徴や、日本語の持つ言語の特徴、ものづくりなどに代表されるPerfectionism、Networking理論、組織文化、Operation managementなどなど、関連する分野は多岐に及び、到底Masterレベルで決着のつくものではない、ということがわかっただけでも収穫でした。

 このDissertationを勧めるにあたり、私のTutorになってくださったのは、Dr. Gill Harveyで、UKの看護に関する質改善のエキスパートでもあり、最近NHSにおけるQuality improvementに関するレポートをまとめた一員でもあります。仕事におけるキャリアもさることながら、小さなお子さんを抱えるお母様でもあり、またUKでも偉大なRole modelに出会うことができました。

 今後のBlogでは、Manchesterで出会った友人たちからの学びや、Moduleで使用されたText、論文を書くにあたって参考になった文献などを紹介していこうと思います。

 そうそう、2008年7月より、Londonにて仕事を始めました。
 日本人クリニックでGeneral Practitionerとして、臨床現場で働いています。
 やはり、患者さんと向かい合うということは、本当に刺激的で興味深くて、こうして医師として働けていることを有難く思う毎日です。

 それでは皆様、当分ご無沙汰でしたが、またお付き合いくださいませ。