25 February 2009

カラダって、ほんとに不思議

 昨年10月末から本格的に走り始めて、すぐさま左膝の膝蓋骨外側が痛み始め、3kmも走ると痛くて歩けなくなっておりました。

 これは大腿四頭筋の筋力不足と筋膜張筋のしなやかさが足りないと判断して、筋トレとストレッチを綿密にやってみました。

 が、相変わらず膝の痛みは治まらない。走るにも走れず、鎮痛剤内服+外用、お灸をすえてもだめで、Sports physical therapyに行ってみたけど、それでも良くならない。

 Runners knee と言われる腸脛靱帯炎(Iliotibial band syndrome)と言われるものともちょっと違うし、膝関節内というわけでもないし、うーん、困った。
 あれこれText読んだりしていても、どうも原因が分からない。 情けない。

 そこで、これはやっぱりProfessionalに聞くのがいいと考えて、通っているFitnessのPersonal sports trainerに頼ってみることにしました。長距離・トライアスロン専門で、栄養学にも精通しているというTrainerです。
 見るからに筋肉隆々、贅肉なんて一切ない、根っからのスポーツマンという感じ。

 初回。
 まずは走り方のチェックと、基礎筋力、持久力のテスト。
 片足でスクワットをしたのを見ると、彼がバーベルの重りを抱えてきました。そのバーベルの端に足底の内側を乗せ(つまり、外側に足首を捻挫しそうな形)にして、スクワットをするように指示してきました。
 やってみると、あら不思議。
 スクワットをすると内側に回り込んでいた膝(特に痛い左側)が、足の指の方向にきちんと曲がるではないですか! で、彼が一言。
 
へん平足なんだね。これで痛みの原因もわかったし、トレーニングの方法も組みあがったよ。

 おおー! すごい! ほんとですか! 
 さっすがProfessionalは、違う。すっかり信頼してしまいました。
 でも、へん平足って言われて、結構ショック。。 

 私の膝の痛みは、詰まるところが、膝を曲げると下腿がやや内側に回転し、膝蓋骨が外側に移動、それに伴い大腿骨遠位端と膝蓋骨が走るたびに摩擦したため、ということ。
 何で、下腿がぐらつくかというと、足の長軸方向のアーチが潰れている=へん平足だから、着地のときに下腿が内側に傾いて回転してしまう。
 何でへん平足かというと、それだけ年を重ねたから(がっくり)。
 というより、素足ででこぼこ道を歩くわけでなく、平らな道を歩いてばかりいるからそうなってしまうこともあるんだそうで。

 普通はここまで説明しないんだそうだが、こちらも(それなりに)MedicineのProfessionalだからということで、ちゃんと理解してほしいからと言われました。
 うー、勉強不足です。頑張ります。

 第2週目
 普段の生活や普通のスクワット トレーニングをしていると、四頭筋の主に大腿直筋、外側広筋、中間広筋は鍛えられるが、膝のぐらつきを抑えるには内側広筋を鍛える必要があるとのことで、マシーンを使ったトレーニング。
 それに加え、上半身の筋トレとインターバル ランニング。
 1時間のトレーニングで、最後には「膝が笑う」ほどくたくた。
 超スパルタです。こんなにトレーニングしたのは、学生の時以来でしょうか。
 日本語では、膝が笑うって表現するんだと言うと、うまい表現だなぁーって感心してました。


 第3週目
 へん平足を矯正するため、新兵器登場。
 これは、靴の中敷きにプラスチック製の矯正器具がついたもの。
 Vectorthoticsというもの。
 足の土踏まずの部分がしっかりと形成されており、踵の内側や外側、足底筋膜に直角方向にもパーツを付けて、足の傾きを変えることができるように設計されています。
 私の場合には、まず踵の内側に角度2度の矯正パーツを付けて走ってみることに。

 走り始めて約1kmで、明らかに膝の感触が違う!
 今まで膝の外側に荷重がかかっていたのが、今度はどちらかというと内側にかかります。また、着地時点での踵(外側)からつま先(内側)方向への力の流れが、進行方向と同じになっているのがわかります。

 すごいー。 いろんな意味で、凄い。
 
 たった2度、高さにすると5mmにも満たないパーツで、足の裏はおろか、膝、股関節まで感触が違います。
 人の体は、本当に複雑で、でも単純で、とても不思議です。

 新しいインソールにしてからというもの、膝の外側の痛みはすっかり消えてなくなり、走るスピードも上がり、走行距離も伸びました。

 膝関節の構造からして、膝がぶれないような屈曲運動は、ほとんど関節に負担をかけないということも理解できましたし、それがほんの少しでもずれると、途端に炎症を引き起こす原因になるということも、身をもって体験しました。

 欧米には、Podiatristという足の専門家がいます。こうした矯正器具も、そうした専門家が開発しているようです。
 私のPersonal TrainerはアメリカでSports physiologyを勉強し、現在はフリーランスで仕事をしていますが、毎日びっしりスケジュールが埋まり超多忙。 Fitnessに行くと、いつも彼がだれかの指導をしていますが、顧客の目標やニーズに合わせて、メニューを組んで、応援しつつ、指導しています。

 なるほど、Healthcareの専門家というのは、こういう形での仕事もあるんだなぁと、またひとつ興味の対象が増えました。

 さて、現在のところ、NIKE+iPodとともに約340kmを走破しました。
 以前のBlogで紹介した地図によると、東京を出発し、房総半島を一回りし、もう少しで水戸に到着です。
 
 暖かくなってきたし、日も長くなってきたし、足も痛くないし、もっと走れそうです。

14 February 2009

The Global 100 Most Sustainable Corporations in the World

 ご無沙汰しております。 
 心配してくだすっている皆様、すみません。。

 さて、今回はLOHASな話題で。

 2005年から発表されているThe Global 100 Most Sustainable Corporations in the World 2009 世界で最も持続可能な100社の話題です。
 
 開発学の分野でも、Sustainability 持続可能 ということが強調されています。
 環境や社会への悪影響を最小限にとどめるよう努力しつつ、より良いProductを生み出し続けること、そうした考え方がSustainabilityです。

 わかりやすい例が、ハイブリッド車。
 車のない生活は考えにくい、でも、限りある資源利用を少なくし、悪影響を最小限にするために技術を応用し、利便性の保った車を作る、ということでハイブリッド車が開発されました。

 さてこの100企業のリストは、カナダのCorporate Knights Inc. とアメリカのInnovest Strategic Value Advisors Inc.という調査機関が発表しているもので、世界中の大企業約1800の企業の環境や社会、人的資本、ガバナンスにおけるアウトカムに着目し、経営の質に注目した分析となっています。
 社会とのWin-Winを追求しようとしている、そんな企業という感じでしょうか。

 一覧はこちらで見ることができますが、まずは日本企業について取り上げてみます。
 http://global100.org/2009/index.asp

 2009年では100社のうち15社が日本企業、イギリスが17社、アメリカが20社となっています。

日本企業(英語でのアルファベット順)
 イオン http://www.aeon.info 2006, 2009
 ダイキン工業 www.daikin.co.jp/index.html 2007 - 2009
 JR東日本 www.jreast.co.jp/ 2007, 2009
 ホンダ:本田技研工業 www.honda.co.jp/ 2008, 2009
 クラレ www.kuraray.co.jp/ 2005 - 2009
 三菱重工 www.mhi.co.jp/ 2007
 日本郵船 www.nyk.com/ 2007 - 2009
 NTTデータ www.nttdata.co.jp/
 NTT Docomo www.nttdocomo.co.jp/ 2005 - 2009
 パナソニック http://panasonic.co.jp/index3.html 2006, 2008, 2009
 リコー www.ricoh.co.jp 2005 - 2009
 積水化学 www.sekisui.co.jp
 損保ジャパン www.sompo-japan.co.jp
 凸版印刷 www.toppan.co.jp 2007 - 2009
 トヨタ自動車 www.toyota.co.jp 2005 - 2009

 上記以外の会社では、
 2005年 5社 デンソー、
 2006年 10社 キャノン、デンソー、日興コーディアル、日本精工、
 2007年 13社 ベネッセ、大和証券、デンソー、野村ホールディングス、
 2008年 13社 デンソー、三菱重工、日本精工、積水化学、

 科学技術のクラレ、自動車のトヨタ、印刷関連のリコー、携帯通信のNTT Docomoが2005年から連続5年間で選ばれています。デンソーは、2009年のリストからは消えてしまいました。

 この中のクラレという会社、ほとんど知ることがありませんでしたが、その傘下で医療関連の製品も開発していました。透析・血漿交換の透析膜の製造、薬の医薬中間体製造(成分である化学物質を、実際の「薬」という形にすること)も行っているようです。歯科領域の人工歯牙もあります。
 どこかの会社のTV コマーシャルで見たような、こんなところに使われてる!って感じの発見でした。

 では、Health care関連企業はどんな感じか。 
 2009年は以下の7社。残念ながら日本企業はなし。

 Baxter International Inc アメリカ (製薬)2005 - 2009
 Fresenius Medical Care AG ドイツ (透析膜)2005 - 2009
 Genzyme Corp. アメリカ (製薬:先天性の酵素欠損症などに特化)2007 - 2009
 Glaxosmithkline PLC イギリス (製薬)2005, 2006, 2009
 Novo Nordisk A/S デンマーク (製薬)2005 - 2009
 Roche Holdings Limited スイス (製薬)2007 - 2009
 Smith & Nephew PLC イギリス (人工関節、内視鏡など)2005 - 2009

 上記以外で、歴代の100社に選ばれているHealth care関連では
 2005年 6社 Bristol-Myers、
 2006年 8社 Alliance Unichem、Johnson & Johnson、Novartis、
 2007年 6社 (すべて2009年にも選ばれている)
 2008年 6社 (すべて2009年にも選ばれている)

 バクスターというと、薬害エイズのときの非加熱製剤や昨年のへパリン問題を思い浮かべてしまいますが、Sustainabilityに関しては進んでいる会社なのですね。2007年には世界25位の売上高でした。
 グラクソ、ノボ、ロシュなんかは、医療者の方なら一つや二つ薬剤名が浮かぶと思います。いずれも大企業。
 グラクソは、2007年に世界第3位の売上高(ちなみに1位はファイザー)。予防医療の要であるワクチンを多く製造しています。子宮頚癌にかかわるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染を予防するワクチンも出していますね(残念ながら日本ではまだ承認されていませんが。。)。CSR(企業の社会的責任)活動として、アフリカにおけるマラリアに関する教育、リンパ管フィラリア症治療薬の無償提供、HIV感染に関する教育などを行っているようです。
 同売上第4位がロシュ。日本では、HIVやSexually transmitted disease(STD)に関する啓もう活動を行い、世界規模でのChemical waste(化学薬品ゴミ)の減量に取り組んでいます。
 ノボは第22位(2007年)の売上。インスリン製剤で有名ですね。ノボは、イギリスに糖尿病専門の研究機関をNHSと共同で設立したり、あるいは工場でのCO2削減・リサイクルを推進するなどの活動を1970年代から専門部署を設立して活動しているようです。
 売上高で見たら、武田製薬は17位、アステラスは20位なので、もうちょっとこういった活動にお金を回してもいいんじゃないかなぁなんて思います。

 どうせ買うなら環境にもやさしい企業の製品を、利用するなら労働者にやさしい企業のサービスを、同じ優先度の薬剤なら社会的貢献度の大きな企業の薬剤を、と思います。

 さて、この世界的不況下で、どれくらいの企業が環境、社会、人的資源、ガバナンスにも力を入れたまま維持し続けるか。来年のランクに注目したいと思います。