12 March 2008

ダブルブッキング

 授業も終盤に差し掛かってきて、授業内容にも、教授たちのサポート体制にも、図書館のサービスやキャリアサービスにも、大いに満足している。

 昨日の土砂降りじゃぁないけど、本当に「知識の土砂降り状態」とでも表現したらいいのか、新しい知識や考え方で「ずぶぬれ」になるくらい、というより、どっぶりつかっている状態。

 とても泳げるようになるには大分時間がかかりそうだし、窒息しないように息継ぎするのが精いっぱいだけど、でも、かなり満足している。(脳みそが「痛む」様に感じるくらい大変だけど。)

 それに、英国の時の流れ、時間の感覚にもだいぶ慣れてきた。
 えーえー、長い行列でも黙って並びますし、バスが来なくても電車がキャンセルになっても気にしませんし、1時間の時間のずれっていうのはズレに入らないんだって感じのことも、分かっております。

 でも、今日は久々にブチ切れました。
 あぁ、ずっとブチ切れないようにしてきたのになぁ。

 昨日の授業は、レクチャーの途中で部屋のダブルブッキングがわかり、結局30分も授業が中断。
 以前は、部屋を追い出されて、途方に暮れることもありました。

 通常、授業計画が発表されると、Department administrator が部屋を予約してくれます。
 授業がなくても、みんなで集まって何か議論したいときなどにも、部屋を借りることができます。 
 ダブルブッキングになるってことは、つまりは、Administrator もしくは、Booking office が手違いを起こしているわけです。

 昨日は、どうにか折り合いがついたらしく、継続して部屋を使うことができました。

 やれやれと思って、今日また学校に行ってみると、部屋の前でクラスメートがたむろしている。

 まーさーかー。。。
 そうです、ダブルブッキング、アゲイン。

 「まったく信じらんない!またですか?」という私に、クラスメートは、

まぁまぁ。 怒ったところで部屋が空くわけでもないし。。。
その通りだけどさー、昨日ダブルブッキングだったんだからさ、今日は大丈夫かなって昨日のうちにチェックするってことをしないわけ?あのね、日本にはね、二度あることは三度ある、っていう諺があるのよ。

ちょうどいいじゃん!コーヒー飲みに行こうよ!
 みんなに責任があるわけじゃないしさー。行こ、行こ!

あっちの部屋がサー、あいてるから使っちゃえばー。

少なくとも「Business School」って名前を使ってるくらいなんだからさ、もうちょっとどうにかなんないのかなぁ。

そんなに怒ると、血圧あがっちゃうよ? え、高血圧じゃない?そっかー、あははは。

えー、日本だとこういうことって、起きないの?

あのですね、日本だと起きないかどうかというよりも、問題があるってわかったら、それをどうにかしましょうっていうのをQuality Improvementで習ったでしょ? でしょ? その積み重ねなわけですよ!


 まぁ、こんな会話が続くわけです。 これ、ほんとの話です。
 慰めてくれるクラスメートにありがたいと思ったり、「これって、普通じゃん?」っていう意見に脱力してみたり、、、
 
 結局またまた30分以上授業が遅れ、おかげで授業は押せ押せで進む。

 こんなことで怒ったってしょうがないし、文句を言ったところで
「それは、こちらの部署じゃ分りかねます」
って答えが返ってくるのも、百も承知している。

 でもですね、どうにかならんもんかと思うわけです。

 待たせる、ということに関して、ひっじょーーーに無関心だなぁと、思うわけです。
 日本の山手線みたいに、30秒かそこら出発が遅れただけで「お待たせして申し訳ございません」なんて言ってくれなくっていいんです。そこまでは望みません。っていうか、英国では可能性として、かなり高い確率で、無理です。
 
 ただ、もう少しどうにかならんかなぁと思うわけです。

 おそらく、こうした小さなエラー、ちょっとの時間のロスが、NHSにおける膨大なWaiting listにつながるんだろうし、Royal Mailの窓口の4重位に連なる長い行列になったり、銀行のキャッシュカード発行に4週間かかったりすることにつながるだと思うわけです。

 明らかにサービスの低下だと思うのです。
 アウトカムとして「優秀な生徒を世の中に送り出す」ということに対して、そんなに影響はないでしょう、おそらく。ただ、満足度を大いにあげる可能性があると思うわけです。

 この意見にも「別に、大学は学生の満足度って、気にしてるのかなぁ?」なんて答えがクラスメートから帰ってきて、またまた脱力なんですが、、

 「どうにかならんもんだろうか?」って思わないのか、そのあたり、本気でResearchしてみたくなります。

 Toyota方式だの、Six Sigmaだの、Total Quality Management だの、学ぶのはいいんですが、そのImplementationについて、どう考えているんだか。
 NHSでのQuality Improvementに関する質的研究の論文を読んでみても、どうしてNHSでうまくいかないのかっていう分析の論点が、どうにもずれているような気がしてなりません。 そこも問題かもしれないけど、それよりも、時間に対する感覚をどうにかしないとだめだろう、って思ったりするわけです。

 日本人が特別に「いらち:短期でイライラしやすい人たち」なわけじゃぁないと思うんですけどね。違うんでしょうか、世界標準だと。

 時間に対する感覚だけじゃなくて、非常に細かいところに気を使う、気を配る、心を砕く、というのが、どんなにか素晴らしい付加価値を生み出しているか、iPodの金属加工を見るだけでも、唸るくらいです。

 そのあたりが理解できない、体得できない、実行に移せなければ、Leanだったり、Toyota方式だったりっていう質改善の方略は、日本以外の組織においては、本来生み出されるであろうOutcomeを導き出せないような気がします。

 やっぱり、この辺をDissertationでやりたいんだけどなー。 難しいのは分かるんだけどなー。 せっかくの「怒り」のエネルギーをどうにか消火、いやいや昇華させたいものです。

2 comments:

Anonymous said...

「まあまあ、そう怒らないで」
なんて言葉は、他人事だと出るものですが、実際に遭遇すると「イラっ」としますよね。
でも逆に言えば、それだけ日本、日本人のよさを再認識しているわけで、そんな日本にTagさんが学んだものを持ち帰れば、本家を上回れるポテンシャルがあるということですよね。正式な学問体系はなっていないですが、実践という意味では日本人はやっぱりすばらしい!

Anonymous said...

 familymed758さん、いつもありがとう!
 そうなのよね、イラっとくるのもあるし、かなり脱力しますね。。
 ただ、イタリア人から言わせると、イギリスはかなり「まとも」だとか。
 少なくとも、待っていればバスは来るという時点で、イギリスはすごいという話を聞いていると、ある意味日本は「ちゃんとしすぎ」かもしれませんね。

 とはいえ、間違いなく日本人の気質で優れた点といえるものだと思います、この時間に対する感覚は!