12 December 2007

大学院での評価方法

こちらにきて驚くことの一つに、評価の方法があります。

英語の試験のTOEFLやIELTSを受験した方ならわかるかもしれませんが、評価対象となる能力にそれぞれ評価基準が細かく設定されていて、それを合算した形で最終結果として報告されます。
日本の医師国家試験も、コミュニケーション能力、自己学習能力、カルテの書き方、基本的臨床技術などの能力に対して細かく評価基準が設けられて、それに加えてペーパー試験ということになったら、ずいぶん出来上がる医師の質が変わるだろうにと思ったりもします。

さて、私のコースでは、授業のUnitsすべてで試験が行われ、それをどの程度の点数でPassするかによって、DiplomaかMScレベルかに分かれます。 Diploma levelでは40%、MScでは50%を取得する必要があります。
最初に、このクライテリアを聞いた時に、「50%ってどういうこと?それって落第じゃないの?」と思いました。 ただ、英国では70%を取るということは、「ほとんど不可能」ということになっているんだそうです(Pre-Masters Programmeの先生曰く)。 ですので、50%(点)台でも、全然がっかりすることはないからねと、言い聞かせられてきました。

Gradingは以下の通り
  • Grade A: 70% - Excellent
  • Grade B+: 60-69% - Very Good
  • Grade B: 50-59% - Good
  • Grade C: 40-49% - Competent
  • Grade D: 39%- Fail
EssayやExam、Presentationでは点数をつける際のCriteriaが決められています。それぞれのCriteriaにAからDまで設定されています。
どのくらい細かいかというと、
  • Organisation and Structure
  • Use of Literature
  • Presentation and Style
  • Use of an Accepted System of Referencing
  • Rationale and Analysis of Content
  • Quality of your Argument
評価は無記名で提出されたEssayを、担当教官(追加で外部講師)が評価します。 (Contentsを見たら、誰が書いたか分かるようなもんだとも思うのですが、、) 
さらに、eMailでAssignmentを提出し、その内容はPlagiarismに該当する部分がないかどうかチェックされます。
Plagiarismというのは、自分以外の人の考えを、あたかも自分のもののようにして論じるということなのですが、これに対しては非常に厳しく対応することが要求されます。特徴的な「単語」ですら、無断で引っ張ってきて使ったりすると、Plagiarismとして罰せられてしまいます。Internetで検索してきて、Copy&Pasteしただけなんてものは、学術的にも倫理的にも認められないってことです。使うときには、どこのどなたが使っていたものか、Referenceとしてきちんと提示することが必要なんですね。そのReferencingにもいろんな方法があって、Departmentが決めた方法にのっとって記載しないといけません。 こうしたことも、Pre-Masters Programmeできっちり教え込まれていたから良かったですが、そうじゃなければ、まず書ききれなかっただろうなぁって思います。

先日、初めてのAssignmentのFeedbackが返ってきましたが、それぞれのCriteriaにマークが付けられて、それについてのコメントが書き添えられていました。 議論の上でどの点が弱いか、今後どのように改善すればいいか、どの点は特筆すべき点だったかなどが丁寧に書かれていました。
このFeedbackは、今後の学びのモチベーションを上げるに十分すぎるくらいのパワーがありました。
一生懸命書いたものを、一生懸命評価してくれて、コメントを付けてくれて、必要であればTutorと議論することもできます。 点数だけが返ってくるような試験ばかりを受け続けた経験からすると、Feedbackの有難さが身にしみます。
個別のFeedbackに加えて、担当教官から全体へ向けたコメントも別紙で添付されており、どのように学習を進めていったらいいか、どんな文献をあたったらいいのか、今後のEssayに役立つ情報が満載でした。
むちゃくちゃな英語のEssayを読むだけでも大変だっただろうと思うし、短期間にFeedbackがもらえて、本当にありがたいなぁって思います。(この話をクラスメートにしたら、私たちはInternational Studentsで大金はたいてるんだから当たり前だという返事が返ってきました。 うーん、この辺でもお国柄の違いが出ますね。)

2 comments:

Anonymous said...

評価って大事ですよね

医学生時代、ペーパーテスト以外で評価してもらえず、研修医時代は自学自習が中心

自分が教える立場になってから、大学でも急速に「評価法」がすすんでいます
OSCEしかり、360度評価などなど

結局自分は正規の評価しをてもらう機会が殆どありません。「評価のはざま世代」です

だれか、評価してくれ〜と飢えていますので、レジデントになる来年からが楽しみです

ところで、しっかりした評価をしようと思うと、教育者の負担がどんどん増えます。教育者の負担を増やさずに、学習者の評価を充実させる。
最近そんなことを考えていますが、ポートフォリオを含めた「自己評価」がほとんど、要所にこちらからの直接評価を加えるという方略が結局の落としどころと感じています。

問題は、学習者が教育者からしっかり「みてもらっている感」をそぐわないようにするバランスだと思います。

思えば自分の大学時代のレポートはPlagiarismの塊でした。そんなことを許してはいかんですね、今思えば。

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 familymed758さん、風邪ひいてないですか?
 そうですね、「評価に飢えている」って感じ、よくわかりますー。
 しかも、その評価がNegativeであれPositiveであれ、次へのステップにつながるものだと確信できると、ものすごくモチベーションが高まります。
 
 若干、教育法や評価法をかじっている分、授業を聞きながら「まぁ、こういう授業形態でも仕方ないかなぁ」とか、「こんなフィードバックはどうかと思うぞ」とか考えながら過ごしています。

 確かに、評価をすることが教育者の負担増大になっていることは否めませんが、でも、もしかすると評価することが教育者の労力の大半を占めてもいいんじゃないかなぁなんて思ってます、特にMatureな学習者の場合には。
 英国で勉強していると、猛烈に「ある惑星へ向かう宇宙船へのフィードバック」の絵が思い浮かんできます。学習者は、非常にIndependentであることを要求されてるなぁーって感じます。 Independentであるけれども、ちゃんとレーダーで確認されているって感じるっていうのが、「みてもらっている感」なんでしょうね。