15 December 2007

思い入れというか、こだわりというか

 たった2ヶ月ちょっと日本を離れていただけで、こんなに日本や日本文化への見方が変わってくるとは思いませんでした。 おおざっぱにいえば、Negative からPositive になりました。 まぁ、そんなにおおげさなことでもないのですが。。

 2週間ほど日本に帰っていたのですが、日本の文化は「小さいことへの思い入れ」が基礎の一つになっているんじゃないかなぁって、とても感じました。 

 思い入れとも言いますが、こだわりとも言えるかもしれません。おおざっぱであることに満足をしない、とでもいいましょうか。 ちゃんとする、というか。

 たとえば、洗面室のタイルのメジ。
 安いビジネスホテルであったとしても、タイルのメジが曲がっているっていうこと、日本ではあまり見かけないですよね。 1cm四方のタイルがまっすぐに定規で引いたかのように、きれいに並んでいます。
 さて英国でどうかというと、London の4つ星ホテルであっても、メジがまっすぐに並んでいるということは、まれとは言いませんけれども、まぁ珍しい。 15cm四方のタイルが5mmくらいずれて貼ってあっても、そのままなわけです。 もちろん、タイルの表面に接着剤が付いていても、ふき取られた気配は見られない。


 たとえば、画鋲。
 日本の文房具屋さんや100円ショップで買った画鋲の中で、先の針の部分がとがっていなくて壁に刺さらないという経験されたこと、ありますか? 少なくとも、私は経験したことがありません。 さらに、画鋲の頭の部分に針が取り付けてありますが、真ん中に張りが付けられていない画鋲にも、お目にかかったことはありません。
 さて英国でどうかというと、10個の画鋲のうち1-2個は、針の先の部分がつぶれているといいますか、製造過程で残ってしまった金属片がついたままになっていて(写真参照!)壁に刺さらない! ついでに針が頭の部分の端のほうに取り付けられているので、壁に刺そうとおもっても、針が折れ曲がってしまうわけです。どうしてこれが商品になるのか、わからない。

 たとえば、道路の縁石。
 歩道のわきを囲っている縁石や中央分離帯の縁石などは、これまたきれいに並んでいて、人が歩くであろう場所の縁石の並びには綺麗に傾斜がついています。上下左右に出っ張っていたり、斜めに取り付けられていることって、少ないですよね。 さらに言えば、車道の路面から縁石の上面までの高さって、幹線道路では全国でほぼ同じなのではないかと思います。
 さて英国でどうかというと、古い道路はもちろんのこと、先日作ったばかりの歩道であったとしても、縁石の高さにばらつきがあったり、遠目で見ると波を打っているように見えることがあります。

 たとえば、パチンコの玉
 これは、日本での行きつけの美容師さんに教えてもらったのですが、日本でパチンコが流行るのは、そのパチンコ玉が「完璧に丸い球」からなんだそうです。 ほかの国では、1000玉のうちに数個はそうではないために、パチンコにならないわけです。

 タイルのメジも、画鋲も、縁石も、パチンコ玉も、別に大したことではないといえば、そうでしょう。 それが命にかかわることは、滅多にないでしょう。 けれども、その大したことではないことに「思い入れ」をもつというか、「こだわる」仕事をするのが、とっても日本的だなぁと思うわけです。 
 (でも、レンガや大理石を積み上げた建物ばかりの英国ですから、まっすぐということにこだわらないと崩れちゃうような気がしないでもないのですが、ね、、)

 その日本のこだわりの、思い入れの仕事には、多様に分化した道具たちの存在でも裏付けられると思います。

 ミシンなどがなかった頃から、日本の着物は和裁の仕立てる人たちが手作業でまっすぐに縫いあげていきます。 祖母は和裁の得意な人でしたので、祖母の仕立ててくれた着物の縫い目は、定規で測りながら縫ったのかと思うほどに同じ幅の目でまっすぐに縫いあがっていました。 和裁で用いる和針には、絹針、つむぎ針、がす針、木綿針など、30種類以上の針があり、それを使い分けて縫い上げていくのです。 それほどまでに、道具に思い入れる、こだわるのです。
 大工さんの使うのみや鉋(かんな)も実に多様で、だからこそ自然の木を使って釘などを使わなくても組あげていくことができるのです。 書道に使う筆、髪を結う櫛なども、とても種類が多いですよね。

 おそらく、日本で生活しているとこうした「思い入れ・こだわり」に触れる機会が多くなるので、特定の専門職についている人だけではなく、品質に対しての厳しい目が培われるのではないかなと思いました。 それが、非常に繊細な食文化やTOYOTAに代表されるような改善や工夫につながって、そうして出来上がったものを「美しい」と思う感覚を培ってきたのではないかなと感じています。

 日本で生活していたときに、まっすぐであること、同一性を保つことに少々嫌気がさしていたことは事実ですが、それも自分のアイデンティティの一部であるんだなぁと思うようになりました。 だって、ミシンで縫った着物なんて、着物じゃないって思ったり、タイルが曲がっているのが、ものすごく気になってしまうんですから!

 そういえば、英語の「About」って、何かについてその質を説明するという意味と、だいたいとか約という意味の両方あるっていうのが、意味深いなぁって思ったりもします。。。

 

2 comments:

familydoc said...

パチンコが海外ではやらない理由は他にもっと色々あるんだよ.(なぜか詳しい)

カメラいつ取りに来るか連絡下さいね.

Tag said...

Familydocさん、コメントありがとうございます。
さっそく、預かっていただいていたカメラで、イケテナイ画鋲を撮影してみました。
ほんとうに、「細やかさ」に関しては、英国はイケテナイことばかりです。
ひるがえってみれば、そこまでこだわらなくても、世界は回っていくってことなのかもしれませんけど、、